やっぱ異世界いくならチートだよな!
「やあ!迷える子羊くん」
気がつくと、俺はいつの間にか、全く知らない場所で立っていた。
「無視すんなし!!」
ベシッと、頭お叩かれてしまった。
声がする方向に目を向けると、そこには、綺麗な黒色の少女がいた。
だいたい、16~17歳ぐらいの見た目で、いかにも《おねーさん》な感じの雰囲気を漂わせていた。
無視したつもりはないが、相手は怒っているので、とりあえず謝ることにした。
「あ、えと…すみません」
「ん。今回は許したげる」
そう言ってその少女は俺に、ニコッと笑いかけてくれた。
(あ、惚れたわ…だがこの子は一体…?)
「あぁ、自己紹介が遅れたね。僕は平和の神『フォルセティ』こう見えても男の子だよ!ヨロシクね♪」
「あ、俺は、稜廸 宗って言います。って…は?神?しかも…男…だと?」
世界は時に残酷な事をする。この俺が、男に惚れただと?
「いやぁいきなりでごめんね~なにが起こってるのか、よく分かってないでしょ?」
「いえ、全然。ところで神様が一体俺に何の用で?」
「そこ聞く?もうちょっと、お話…しよ?」
神様が上目遣いをしてくるが、男だから遠慮はしない。
「可愛く言ってもダメですよ。ほら早く」
神様はぷく-っと頬を膨らまして、
「ちぇ-、つまんないの。ま、いっかそれで本題なんだけどさぁ、…君異世界にいってみる気はないかい?」
出た。なんとなくは想像していたけど、まさか俺にも特別な力があるのでは?
「一応聞きますが、何故俺なんです?」
「それはね君の想像力がとてつもないからだよ!」
……意味がわからない。
想像力だけで異世界に行けたら、苦労しないじゃないか。
「どういうことです?」
「君みたいな想像力豊かな人っていうのは、異世界での生活が楽になるってデータがあってね?」
どこ情報だよそれ!
「そんなわけで、異世界にいってほしいんだよ~!ちゃんとほしい能力があれば使えるようにするからさぁ」
「まぁ、いくこと事態は別にいいんですけど、まさか…魔王的なやつを倒してこいとか言うんじゃ」
「当たり前じゃないか!何のためのチートだよ!」
ですよねーまあいいけど。
「じゃあ早速能力を付与するけど、なにがいい?」
むぅ…悩む。どうするべきか。どうせ魔法とか言う便利能力で科学水準中世辺りだろうしなぁ~。どうせなら科学技術で無双したい…だが異能力バトルも捨てがたい…。
悩むこと40分。
「決めた!」
「やっと?悩みすぎだよ~。で?何にしたの?」
「その名も、【想像を具現化する能力】だ!前の世界での技術を異世界で使い、なおかつアニメのような異能力で異世界のイメージを壊さない。まさに今の俺にピッタリな能力じゃあないか!!」
「確かに、面白そうな能力だね~。じゃあ、その能力でいいかい?」
俺は迷うことなく、そして力強く、
「ああ!この能力で魔王をぶっ飛ばしてやんよ!」
と、うなずいて見せた。
もう後戻りは出来ない。
「それじゃあ扉、開けるよ~。気を付けてね!」
俺は覚悟を決め、開かれた扉の中に入っていった。
神様の最後の一言に、不安を抱きながら。