表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旋律の彼方  作者: 華浅葱
1/5

0. 残音

0.残音


 愛音(あいね)は夢を見ていた。

 真っ白いその世界には3年前に交通事故で亡くなってしまった父・信吾しんごが居て、幼い…5歳くらいの愛音と一緒にピアノを奏でている。そしてその後ろには…もう長い間声さえ聞いていない母、加奈子かなこが微笑みを浮かべて佇んでいた。

 真っ白い世界の中にあってもピアノの鍵盤はキラキラと輝き、信吾と愛音が生み出す音達はこの家族を優しく包み込んでは遠くへ消えて行った。


 愛音が疲れたと訴えると、父と同じように自身も音楽家の母は「しょうがないわね」と笑って少女の横に座る。ギュウギュウになって3人で座った黒い椅子。「おいそんなに押すなよ」と言う信吾は笑っていた。そして愛音や加奈子もそれにつられて声を出して笑い合う。


 両親の連弾を聴きたいが為についた小さな嘘。

 全てが懐かしくて、愛音の心が揺れ始める。


 微笑む父に、母に、そして幼い自分に「どうして」と少女は問わなかった。

 過去の幻想に問うたとして決して答えなど得られないことを理解する程には、少女は成長していたから。しかし旋律が消えると共に生まれた歪みを正す方法を知らない少女はいまだに幼く、それを自覚する彼女は静かに顔を曇らせた。

 


 心が揺れる。




 揺れて、揺れて、何かが崩れる前に目を覚まさなければ。


 

_

2008/5/12


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ