初めて抱いた想いは、、、
短編小説にしようと思ったら、思いの外長くなってしまいました。(*´∀`)アハハ
私立『日の光学園』
この学園特別進学科トップの、彼女のヘッドホンから彼の曲以外が流れたことはない。ただの一度もだ。彼女は彼以外の曲を持ってすらいないから当たり前だ。
普通の女子校生ならば、もっとたくさんのアーティストの曲を持っていると思うのだが、彼女は、白夜火輪は、彼以外の曲を持っていない。
理由は簡単だ、白夜火輪がそれ以外のアーティストに興味がないからだ。白夜火輪にとって彼の歌は自分の全てだ。
大企業白夜製薬会社社長の一人娘として、この世に生を受けた白夜火輪は、淑女になることを宿命づけられていた。
しとやかな子に見られるように、食事のマナーを一から十まで。お母さまに紹介された先生からお裁縫、華道の手ほどきを受ける。お父様の取引先の人とお茶会。ヴァイオリン、ピアノのお稽古。学がある女に育てと、一日に何時間もお勉強。強い女になれと、合気道などあらゆる護身術を先生から習う。
そんな窮屈な人生の中で、彼女は出会った。自分の実在理由に。彼の歌に。
家の車で女学校から帰る途中。外から聞こえてきた歌に魅入られた。『高嶺の花と小さな太陽』
この曲は大人気アイドル、光芒輝が作詩、作曲、演出。なにからなにまで彼が創った曲だった。
ちょうど、『発売まであと何日!』という広告が張り出された頃だった。
この曲がほしい。そう思った彼女は、その日のうちに、家の目を盗んで、長い行列に並んで、生まれて初めて自分で物を買った。生まれて初めて自分のほしいものを手に入れた。
家に帰って、曲を聞いてみた。
歌の内容は、主人公の想い人が、主人公のことを『自分には届かない高嶺の人』と言う。そこで主人公が、『貴女が僕を高嶺の花というのなら、太陽をずっと見つめるために、僕はあなただけの花でいましょう。』と返す。甘々のラブソングだった。正直言って、漫画の世界でしか存在しない空想だ。でも、なぜかこの曲に惹かれた理由が分かった気がする。
主人公とその想い人は、身分に差がある。それでもなお、主人公は彼女のことが好きなのだ。どこか自分と彼と重ね合わせてしまった。
身分が違う同い年の二人の話。ただ違うのは、彼女たちが会ったことすら無いということだ。そして彼がの彼女ことを何とも思っていないということだ。そして、彼が彼女を、光芒様が私を好きなのではなく、
「私があのお方のことを好きなのです。会ったことも無いあのお方のことを、どうしようもなく好きになったのです。」
酷く悲しいものだった。




