初恋
これは一人の男の子の初恋を描いた物語…
男の名は隼人。性格はとても明るくクラスではムードメーカーとして過ごしていた。
隼人は小学校から野球をやっていて野球一筋の人生を歩んでいた。
野球部では持ち前の明るさを武器に副キャプテンであるとともにエースをつとめていた。
当然野球一筋の隼人は彼女などできるわけもなく作ろうともしなかった。
中学二年の秋…
一個上の先輩が引退し自分達の代になった。
隼人『オレらの代になったけどやっぱ先輩がいないと部活での居心地も違うなあ!』
慎二『ほんとだよな!先輩いたときはちょっと肩身が狭かったからな…』
慎二とは隼人の小学校からの大親友。
野球部では隼人とバッテリーを組んでいてお互いわかりあっている仲だった。
慎二『てかてか聞いてよ!この前3組のみきちゃんのアドレスゲットしちゃったあ!』
隼人『また彼女作ろうとしてんのかよ!どーせまた失敗してフラれるだけだろ。』
慎二『うるせぇなぁ…今回はまぢなんだよ!』
隼人『それ毎回聞いてる気がする…』
慎二『そんなことより隼人こそ!野球ばっかやってないでちょっとは彼女作りに励んでみろよ!?』
隼人『ばーか。野球が彼女だからいいんだよ!ワラ』
こんな感じで二人は学校を後にした。
そして冬になりクリスマスが近くなってきた。
部活が終わった隼人は着替えをしながらあることに気付いた。
隼人『やばっ!教室に忘れ物しちゃったわぁ…慎二一緒にいこうぜ!』
慎二『やでーす!面倒だしいまみきちゃんとメールしてんだから邪魔しないでくださぁい!』
隼人『おまえ…意外とうざいな。』
そう言い残し隼人は教室に向かった。
隼人『あれ?なんで教室電気ついてんだよ。』
ガラガラ…
隼人『おまえなにやってんの?』
そこにいたのはクラスメートの彩香だった。
彩香『隼人こそなにしにきたの?!』
彩香は少し驚いた様子で言い放った。
彩香はよく喋る子で部活はテニスをやっていた。
隼人とは仲がよくたまに遊んだり相談をしたりしている仲だった。
隼人『オレは忘れ物したからとりきただけだよ。でおまえはなにしてんだよって!』
彩香『相変わらずただの野球馬鹿だな隼人は!彩香はぁ忘れ物しちゃったんだな♪あは♪』
隼人『ぶりっ子キャラしてもキモいな彩香は…』
彩香『うるさいなぁ!あっわかった!こんな可愛い子と二人っきりになったから照れ隠しでそんなこと言ったんでしょ?ワラ』
隼人『……ぢゃオレ帰るから!』
彩香『ちょっとぉそこスルーしないのぉ!』
隼人『うっさい!てかもう外暗いしどーせ帰り途中まで一緒だから送ってやるよ。』
彩香『ぇえ隼人と帰るのー!まぁ知らないやつに襲われるよりはいいか!しょうがないから帰ってあげるよ!』
隼人『調子のってねーで早く帰るぞ。』
彩香『はーい♪』
隼人『てか寒いなあ…』
彩香『うち寒いの苦手なんだよね…しかも今日に限ってコート着てくるの忘れたし…』
隼人『しょうがねぇなぁ』
隼人は彩香に自分がきていた部活で着ているグラコンを彩香に着させた。
彩香『いいってぇ!隼人寒いんぢゃないの?悪いよぉ…』
隼人『我慢できる程度に寒いから大丈夫だよ。そろそろテスト近いんだから風邪ひかないようにしろよ!』
そして別れ道…
彩香『今日はありがとね♪助かった!』
隼人『おう。ぢゃまた明日な。』
彩香『ちょっと待って!』
隼人『なに……』
チュッ!
彩香『今日のお礼!気をつけて帰ってね。ぢゃね♪』
隼人『……ぢゃ…ね。っておい!はっ?…いまなにが起きたの…』
隼人はその瞬間いままでに感じたことのない気持ちになった。
隼人はそのときは気付いてなかった…それが初恋だということを…
それから彩香のことは気にはなるがきにしないようにしていた。
それから月日が経ち高校に入学。
隼人は野球の名門校に入学し練習漬けの毎日を過ごしていた。
高二の夏。
急に彩香からメールがきた。
彩香『いま大丈夫…?』
隼人『大丈夫だけどどした?』
いきなりのメールに隼人は焦りとともに変な気持ちになっていた。
彩香『いまから逢えない?』
隼人『いまから!?いま何時だと思うてんねん!』
彩香『いま隼人に逢いたいの…あの別れ道にきて。待ってます。』
隼人はジャージ姿で別れ道に向かった。
すでに彩香はいた。
隼人『どーしたん?こんな夜遅くに…』
彩香『好き…』
隼人『………』
彩香『中二のときから隼人のこと好きだったの。』
隼人『いきなりどーしたん。。』
彩香『ほんとは一緒に帰ったときに気付いてほしかった。でも隼人気付いてくれなかったもんね。うちどーしよーかほんと悩んで…だから!……!?』
隼人『もう言わなくてもいいよ。わかってた。オレもあのとき好きやったんや。』
隼人は彩香を抱きしめながら言った。
彩香『ぢゃなんで…』
隼人『恐かった…』
彩香『?どーいうこと?』
隼人『初めて好きになった人にフラれるのが恐かった。』
彩香『あたしがふると思った?』
隼人『人を好きになったことがなかったから…』
そう言うと彩香は隼人の口をふさぐような勢いでキスをしようとした。
しかし隼人は避けた。
彩香『ぇっ…』
隼人『こういうのは普通男からするんだよ。』
隼人は不器用ながらそっとキスをした。
その時間は短い時間なのになぜか物凄く長く感じた。
そっと隼人は唇を離し…
隼人『付き合おう。二人で幸せになろう!』
彩香『うん!』
その日から二人の恋愛は始まった。
隼人は初恋であった。
二人は隼人が部活が休みたんびに遊びに行ったりして隼人が試合のときは彩香は見に行ったりしていた。
そして月日が流れ高校三年の夏の大会前…
隼人は練習の毎日。
当然彩香とは逢えない日々は続くが彩香も練習で逢えないのを知ってるから納得はしていた。
とはいえ彩香は隼人に逢えない日々が続きちょっといらだちを覚えてきた。
ある日夏の大会前にちょっとだけ逢いたいと彩香が隼人にメールをした。
しかしいつになってもメールがこない…
直接隼人の家に行こうとし家をでて隼人の家が近づいてきた。
そのとき彩香は最悪な光景を目の当たりにした。
隼人が知らない女と歩いてる…
隼人が彩香に気付き悪気もなさそうに…
隼人『おう!メール返せなくて悪いな。どうした?』
彩香『あの女だれ?』
隼人『あれはマネージャーだよ!ちょっと夏の大会近いからスコアブック見せてもらって研究しようかなって思ったわけよ!浮気かと思った?』
彩香『バカ!!』
彩香はその場から走り去ってしまった。
隼人はなんもわかっていなかった。
隼人『意味わかんないやつだなあ…』
そっから距離が段々離れていった。
夏の大会も終わり一段落つき隼人は彩香に電話をした。
プルルル…
『この電話は現在使われておりません。』
隼人『はあ?どーいうことだよ。』
隼人は戸惑いを隠せなかった。
隼人は彩香の家へ向かった。
ピーンポーン…
隼人『彩香いるかぁ?』
ガチャ。
彩香母『あら、隼人くん。彩香ならうちにはいないわよ。』
隼人『どこにいったかわかります?』
彩香母『さぁ?最近見ないわねぇ…』
隼人『最近見ないわねぇって自分娘くらいしっかり管理しろよ。。』
彩香母『なんか言った?』
隼人『いえなにも!お邪魔しました。』
ガチャン。
隼人『あいつどこ行ってんだよ。まあそのうち連絡くるの待つか。』
数日後一通のメールがきた。
『隼人へ。隼人にはもうついていけません。』
隼人『誰だよこいつ。。。!?もしかして…』
隼人は返信をした。
隼人『彩香……?』
『うん。』
隼人『なんでだよ!逢って話してから決めようよ!』
彩香『もう隼人に話すことなんてなにもない…。。』
隼人『ちょっと待てよ!冷静になれって!』
彩香『さようなら…』
その日以来メールはもちろん電話もこなくなった。
隼人は冷静になって考えた。
隼人『もしかしてあいつ勘違いしてんぢゃ…』
でもすでに遅かった。
淡く切ない初恋がピリオドを打たれた瞬間だった。
隼人はそれから大学にいっても野球をやり大学卒業後は教師になった。
小学校の教師になり担任をやるようになった。
初恋から15年…
新しいクラスを担任するようになった。
その中でどこと無く彩香に似ている小学生がいた。
上の名前も一緒。
しかし隼人は気にかけることもなく普段の生活をしていた。
保護者との三者面談の時期。
彩香に似ている子の上の名前は木下だった。
隼人『次の木下さんどうぞお。』
ガラガラ…
そこに立っていたのは紛れも無く彩香だった。
隼人はなにがなんだかわからないまま…
隼人『どうぞおかけになってください。』
保護者が口を開いた。
『隼人久しぶりだね…!』
やっぱり彩香だった。
結婚してるという事実よりもこんな場面で彩香に逢えたことに対してびっくりしていた。
隼人『彩香…?』
彩香『彩香だよ!忘れちゃったんかぁ?こんな可愛い子を!ワラ』
隼人『忘れるわけないだろ。いままで忘れてこれるわけないだろ。』
彩香『昔と変わってないんだねぇ。』
隼人『あの時のやつは…』
彩香『言わなくていいよ。わかってるから。ちゃんと理解してたよ。でも隼人はあたしなんかと付き合ってるより独身のほうがうまくいく気がする。だから身を引いたの。』
隼人『なんで…』
彩香『もう遅いよ。』
隼人『いま幸せか?』
彩香『幸せ!』
隼人『そっか。なら納得するよ。好きな人の幸せを応援できない男はモテないからな!』
彩香『あの時も幸せだったよ。楽しかったよ。』
隼人『いい思い出だよ。』
彩香『隼人。うちの子よろしく頼むね。』
そういって三者面談は終わった。
そして隼人の初恋は終わった…
とてもとても舞い散る桜のように…
しかし二人の想いは何年たっても…いや生涯一生変わることはなかった。
二人とも学んだことがあるという。
それは…
好きという気持ちだちぢゃ付き合っていけないということを。。