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不器用で不格好な恋愛初心者に送る愛の歌  作者: きくぞう
第一章 隠れオタクの恋愛模様
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 あなたは魔法インド少女ナマステを知っているか?

 私の名前は川島恵かわしまめぐみ。何を隠そう、隠れオタクである。

 私は三度の飯よりアニメとゲームが大好き。だけど、世間一般ではオタクは蔑まれている。オタクとばれるだけで白い目で見られる。だから私は、自分がオタクであることをひた隠しにしていた。

 だけど、本当はアニメの話とかゲームの話を思いっきりしたい。一緒に語り合えるオタク仲間を作って、一晩中アニソンを歌いまくり、ファミレスで夜な夜なゲームキャラ談義に花を咲かせたい。

 そう思って、入学当初、私は漫研のドアを叩こうとした。だけど、私にはそのドアをノックすることができなかった。自分がオタクであることがバレてみんなに白い目で見られるのが嫌だったのだ。

 その後、私はそれなりの話が出来る友人ができ、それなりの付き合いをし、当たり障りの無い学校生活を送っていた。

 今日も私の友人は、やれ誰かに告白されただの、やれ新しいファッションだの、やれ最近の流行だの、本当にどうでもいい話を繰り返している。正直言って、全く自分にとって興味のない話であるが、学校生活を円滑に過ごすためには必要最低限の知識として抑えておく必要がある。そのせいかどうかは分からないが、私は良く告白されることがあった。


「好きです、川島さん! 僕と付き合ってください!」


 今日も、あまり話をしたことが無い見知らぬ男子生徒から告白をされた。

 この男は、私の何に惹かれて告白してきたのだろうか。一体、私の何を知っているのだろうか。


「あなたの趣味は?」


 私の問いに、男はサッカー観戦と映画鑑賞と答えた。

 ……くだらない。全くもってくだらない趣味だ。

 最近始まった深夜アニメ「魔法インド少女ナマステ」の話でも出れば、まだこの男に興味の一つでも出ただろうに。

 インドのヨガ修行を極めた魔法インド少女ナマステ。そして、彼女の兄弟子でありながら悪の道に染まったダイバダッタ率いる非道のヨガ集団。この熱いドラマに比べれば、なんと薄っぺらで中身の無い告白なのだろうか。

 私は男の告白を秒で断った。今の私には恋愛なんて必要ない。必要なのは、週末に発売される限定商品、「ゴーダマステッキ」である。

 ナマステちゃんが魔法を使う際に使用するゴーダマステッキ。それの初回限定盤が今週末に発売されるのだ。しかも初回特典として、なんとナマステ全身可動フィギュアがつくと言う。これは絶対に見逃せない商品だ。

 友人の映画の誘いをやんわりと断り、決戦の土曜日が訪れた。

 開店時間より1時間早く、私は目的の場所である「アニメイト」へ向かった。

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