白雪姫
・・・おや、来たのかい?
少し待ちたまえ。今噺を用意しよう。
シュ・・・ッ。
女は本棚から古く分厚い本を取り出す。
この噺は個人的には好きではないんだがね、
まあ、君にとっては面白いと思うよ。
これは、醜い女の物語さ。
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むかしむかし、とっても美しいけれど、
心の醜いおきさきがいました。
おきさきは魔法のカガミを持っていて、
いつも魔法のカガミにたずねます。
「カガミよカガミよ、この世で一番美しいのは誰?」
おきさきは、カガミがいつもの様に、
「あなたが、一番美しいです」
と、答えるのを待ちました。
しかしカガミは、
「あなたの娘、白雪姫です」
と、答えたのです。
おきさきは、白雪姫の2度目のお母さんです。
おきさきは激しく腹を立て、白雪姫を猟師に殺させようとしました。
でも心の優しい猟師は白雪姫をそっと森の中に隠して、おきさきには白雪姫を殺したとうそをついたのです。
白雪姫は、森に住む七人の小人たちと暮らす事になりました。
そして小人たちが山に働きに行っている間、掃除や洗濯や針仕事をしたり、ごはんを作ったりして毎日を楽しく過ごしました。
「白雪姫、わたしたちが仕事に行っている間、誰も家に入れちゃいけないよ。あの怖いおきさきに、ここが知られてしまうからね」
と、いつも小人たちは言うのでした。
ところがある日、
「カガミよカガミよ、この世で一番美しいのはだれ?」
と、おきさきがカガミに聞くと、
「山を越えたその向こう、七人の小人の家にいる白雪姫です」
と、答えたのです。
「なんですって!!
あの猟師、裏切ったね!よし、こうなれば」
自分で白雪姫を殺そうと考えたおきさきは、物売りのおばあさんに化けると、毒リンゴを手に七つの山を越えて小人の家に行きました。
そして、窓を叩いて言いました。
「美しい娘さんに、おくり物だよ」
「まあ、何てきれいなリンゴ。おばあさん、ありがとう」
けれど、そのリンゴを一口かじるなり白雪姫はバタリと倒れて、二度と目を開きませんでした。
白雪姫が死んだ事を知った小人たちは悲しみ、せめて美しい白雪姫がいつでも見られる様にと、ガラスのひつぎの中に白雪姫を寝かせて森の中に置きました。
そしてある日、1人の王子が森で、白雪姫のひつぎを見つけたのです。
「何てきれいな姫なんだ。まるで眠っているようだ」
王子は思わず、ひつぎの中の白雪姫にキスをしました。
するとキスしたはずみで、毒リンゴのかけらが白雪姫ののどから飛び出したのです。
目を開けた白雪姫は、
「わたしは、どこにいるのかしら?」
と、王子に尋ねました。
「ずっと、わたしと一緒にいるのですよ。姫」
王子と結婚した白雪姫は、ずっと幸せに暮らしました。
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めでたし、めでたし。
・・・さてと、面白かったかな?
・・・
これは中々つまらない噺でね、
あまり読む気はなかったんだ。
だってそうだろう?
こんな「ありきたりな噺」なんて、
まだ脳が未発達な幼児にしか興味を
惹かないよ。
この噺はただの醜い女の嫉妬の噺に
すぎないからね。
始めに言っただろう?
これは、白雪姫の噺ではないんだよ。
これはどこにでもある普通の噺さ。
あの子が可愛い。だから嫉妬をする。
そして殺意が湧き、最後には殺そうとする。
至って普通の感情さ。
どこがおかしいというんだい?
嫉妬というのは、誰もが持っているモノだろう?
今回はそれが行き過ぎて事を招いただけの事だよ。
なんの面白みもないね。
この噺を読んで、可哀想と思った方は殆ど、白雪姫が毒りんごを食べたところを読んで、そう思ったのだろうね。
あはは、
まぁ、誰もがそう思うだろうねぇ。
あれもまあそうだけれどね、私はそこじゃないと
思うんだよ。
私が一番悲劇だと思うのは、
“ 白雪姫の未来が、
王子様に勝手に決められてしまったことさ ”
わけがわからない、という顔をしているね?
簡単な事さ。
最後の辺りの噺を読んでご覧?
王子は勝手に白雪姫を
“ 自分のモノにしたんだ ”
“ ずっと一緒にいる。”
これ以上の呪いの言葉はないからね。
これではいくら白雪姫でも反論出来るわけがない。
なにしろ、自分を助けてくれた恩人なのだから。
だからこの噺で卑怯なのは、王子様なのさ。
まぁ、この言葉には願いも込められてはいるがね?
とりあえず、これを幸か不幸か捉えるのは
あなた方次第だ。
さて、そろそろお開きにするとしようか。
あまり一つの噺に固執したってつまらないからね。
またおいで。
私も次の噺を用意しておこう。
クスクスクスクス・・・。
これはまた酷い作品になりました。
すみません´д` ;