【コーラ1】材料って大切
キリエ君を採用した次の日。
キリエ君は遅刻もせず時間通りに来てくれました。(ちなみに時計というものもあるけど普通時間を知るには鐘が鳴るのを聞くらしい。江戸時代?)
「さて、まずは飲み物から作りたいと思います」
「飲み物ですか? 料理を作るために僕を採用したんじゃ?」
「まあ、そうだけどね。でも料理より飲み物のほうがよく口に運ぶでしょ? だからどうってわけでもないけど、とりあえず飲み物から作ろうと思って」
ちなみに、調理台、調理道具etcは昨日のうちにセバスさんが俺の狭い部屋に詰め込んでくれました。狭ぇ。
「で、俺はこの世界の食べ物・材料とか全然知らない。だからキリエ君頑張って」
「……伯父さんから聞いてびっくりしましたが、リュウ様って本当に違う世界から来たんですか?いえ、疑うわけじゃないんですけど」
「この世界が幻覚だとかそういうのじゃない限りホントだね。元の世界の記憶はちゃんとあるし。あと伯父さんってセバスさん?甥なの?」
「いえ、本当の伯父ではありませんが、伯父の甥の息子の祖父の……って辿るのも面倒なので、省いて伯父です」
「ふうん。あと、もうちょっと気楽にしていいからね。敬語とか使われ慣れてないから、頼むよ」
「善処します」
直す気なさそうな返事。
◆ ◆ ◆
「材料の確認、じゃなかったその前に何作るかの確認ね。俺の世界でコーラって呼ばれてた飲み物を作るよ」
「こ-ら、ですか?どんな飲み物ですか?」
「んーと、茶色、甘くて、複雑な味はないけど香料が少し強め。あと炭酸」
「たんさん?」
「あー、これはいいや」
原型ができたら俺のチート魔法でドライアイス作ればいいだろう。
「で、材料だけど。砂糖、水が必要なのは俺でもわかる。茶色は砂糖をカラメルにすればいいかな。
問題は香料なわけだ。
キリエ君、」
「キリエで構いません」
「……キリエ、甘い香りが少しと、スパイスの様な香りがして、少し強めの香りがする香料ってある?」
「……ざっと50くらいはありますが」
うわあ。結構な量じゃん。
いや俺の説明が大雑把すぎるんだと思うけど。でも俺にそんなの求めても無理だし。
「……とりあえずそれ全部紙に書き出してくれる?少量ずつ手に入れて俺がにおい嗅いで確かめる」
「お大尽ですね……」
うっさい、一応ここ領主サマのお屋敷なんだからそんくらい贅沢に使ったっていいだろーが。
しかし、紙に書いたものをセバスさんに渡すと、すべて揃うまで一カ月はかかるとのことだった。まじかよ。