魔王と友達になった!どうすればいい?
最近迷走してます・・・
そんなわけで、俺は魔王とお友達になったわけだが・・・
それにしてもなんで友達?しかも、自分のこと倒そうとしていたやつとだぞ。なんでも言うこと聞くって言っちゃったしもっとひどいことされると思ってた。
いや、まぁこの魔王に関しては全然魔王ぽっくないからありえる話なんだけどさ。でも気になるよな。
「あの、魔王様」
「は、はい」
「なんで俺と友達になってほしいなんてお願いしたんですか?」
「あ、えと・・・・」
すると、なぜか魔王は顔を赤くして
「わ、私その人間の方とお会いしたことがなくて・・・そ、それで理由はどうであれ私に会いにきてくれた人なら仲良くしてくれるんじゃないかと思って・・・」
あれ?なんかおかしくないか。だってカトレアさんは魔王のせいで色んな村や国で魔族による暴動がおきてたりして中には壊滅状態にさせられたりしてる所もあるって言ってたんだぞ。その魔王が人間と会ったことがないなんてことあるのか?
「魔王様、人間と会ったことないんですか?」
「は、はい。実は私このお城から外に出たこともなくて・・・」
なんと!箱入り娘ならぬ箱入り魔王ですか。
だとすると魔王はもしかして今外の世界がどんなことになっているのか知らないんじゃないか?
「魔王様。今このお城の外の世界がどんな状態になってるのか知ってますか?」
「お城の外のことですか?いえまったく・・・・」
ん~~~~?ますますおかしいぞ。どうも話が噛み合わない。もうこうなったら直接聞いてみるか。
「魔王様、よく聞いてくださいね」
「は、はい」
急に俺が真面目な顔になったからか魔王は少し緊張したような面持ちになった。
「実は、今外の世界では魔族による暴動や事件が多発しているんです。そのせいでいろんな国や村で大きな被害が出てて中には壊滅状態になっているところもあるそうです」
「・・・・・・・・・・・・・え?」
それを聞いた魔王は俺の話がうまく飲み込めていないのかポカーンとしていた。
「それでこの事態を引き起こしたのは魔王のせいだとこの国のお姫様であるカトレアさんに言われてあなたを討伐しにきたんですよ」
俺が説明を終えると魔王は目を見開きプルプルと震えていた。
「そんな・・・・そんな、私はなにもしてません!」
よほどショックだったのだろう。魔王の目は一気に充血し瞳から大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。
「どうして・・・・なんでそんなことに」
「大丈夫ですか?」
俺はたまたまポケットに入っていたハンカチを魔王にさしだした。
今の俺なかなかかっこいいと思うんだ。うん。
「本当に何も知らないんですか?」
「はい・・・・一体誰がそんなことを」
俺がさしだしたハンカチを顔に押し当てながら泣き崩れてしまった。
この様子じゃ本当に何も知らなかったみたいだな。
じゃあ、一体なんでこんなことになってるんだ?誰かが魔王に変わって魔族たちを裏で操ってるってことなのかな?
しばらく泣きじゃくった後魔王はだいぶ落ち着いてきたようだ。
「魔王様だ、大丈夫ですか?」
「はい・・・・すいません。私とりみだしてしまって・・・・」
えーーと。すいません、俺こういう状況にでくわしたことないんでどうしていいかわかりません!
あぁ、魔王とはいえ女の子が泣いているのに俺なんて声をかければいいかぜんっぜんわかんね!どうしよう。助けて!もうっ誰か助けて・・・
「ま、魔王様。なにか心当たりとか無いんですか?最近魔族の動きが怪しいとか」
「い、いえそういうことは特に・・・それに皆さん私にすごくよくしてくれててそんなことするような人たちではないんです」
まぁ、魔王に対してはそうだよなー。
「それに、中には魔族の方たちと友好関係を結んでくれてる所もあると聞いたことがありました」
へぇ~そんなところがあるんだ。魔族と友好関係ってことはそこまで邪険にされてるってわけでもないのか。
「う~ん。ますますわからないなぁ~」
「・・・・・・・あ!」
俺がうーんと唸っていると魔王が何か思い出したようだ。
「どうしました!?何か思い出しましたか?」
「そういえば少し前のことなんですが一部の魔族の人たちが人間の世界に興味があるから旅をさせてくれないかって言ってきたことがありました」
「旅ですか?」
「はい。あ、そうだ」
またもや魔王はなにか思い出したようだ。
「それでその人たちが旅に出た後にこのお城からあるものがなくなっていることがわかったんです」
「あるもの?」
なんだあるものって?
「ええと、たしか持っている者の意思に応じて様々な力を発揮する魔石の杖と相手の思考を乗っ取ることができる邪気の笛だったと思います」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
そんなすごいものがなくなったの?っていうかそれその旅をしたいって言ってた奴らが盗んだよね多分・・・
「そ、それでその魔石のなんとかと邪気の・・・なんとかは今はどこに?」
「それが未だに見つかっていないんです」
おいおいおいおいこれはもうそういうことだろう。
「魔王様、俺が思うに今起こっているこの暴動やら事件はその旅をしたいって言っていた奴らが起こしているんじゃないんですかね」
「ど、どういうことですか?」
「恐らくその2つの道具はそいつらに盗まれたんですよ。で、それを使って色んなところで好き勝手やってるってところじゃないかな」
「そ、そんな・・・」
っていうか無くなった時点で盗まれたんだって気づこうよ。本当にピュアだなこの魔王は。
「まぁ、俺の憶測でしかないですけど。いずれにせよこの旅の集団はあやしいですね」
俺がそう言うと魔王は少し考えるようにして
「わかりました。彼らの後を追いかけましょう」
すっと立ち上がりどこかえ向かっていく魔王。
俺も慌ててその後をついていく。
魔王の部屋を出て廊下を奥のほうに進んでいく。すると部屋と部屋の隙間になにやら怪しい感じの隠し階段があり下に向かってのびていた。
魔王の後に続いて一緒に階段を進む。下の方に向かうにつれ少しづつ薄暗くなっていく。しばらく進むと目の前に一つの扉が見えてきた。そこには「魔王様以外立ち入り禁止」という掛け看板があった。
「あの、ここは?」
「ここはさっきも言いました魔石の杖と邪気の笛がしまってあった場所です。この部屋には他にも強力な魔力を秘めた道具が眠っています」
なるほど。だから魔王様以外立ち入り禁止なわけね。
魔王が部屋の扉を開けると中には確かにすごそうな道具がたくさんしまわれていた。
部屋の中に入ると魔王はなんともなさそうだったが俺はなんともいえない寒気とおぞましさを感じていた。
「そ、それで何でこの部屋に?」
魔王は何か探しているようで部屋の中をキョロキョロしている。
「少し、探し物がありまして・・・どこにあるのかなぁ」
俺も部屋の中を見渡すがあまり長居はしたくない場所だった。
「魔王様、あの・・・・」
「う~んと・・確かこの辺に・・・・・あ、あった!」
魔王はお目当てのものを見つけたようだ。
「じゃ、じゃあ早く部屋からでましょう・・・」
「佐藤さん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
「だ、大丈夫です」
本当は全然大丈夫じゃなかった。
「で、なにを見つけたんですか?」
「えーと、これです」
魔王が差し出した手の上にはなにやらコンパスのようなものが乗っていた。
「これは?」
「これは持ち主の今見つけたいものがどこにあるのかを示してくれる「ケルベロスの道標」です」
すごい名前だな・・・ケルベロスって確か首が3つある地獄の番犬?だったっけ?
「持ち主の見つけたいものってことは魔王様があの旅をしている奴らのことを見つけたいって思えばそいつらの所まで案内してくれるってこと?」
「はい、その通りです」
なんて便利なものが。さすが魔王以外立ち入り禁止の部屋にあった道具。
「これを使って彼らの後を追いかければきっと追いつけるはずです」
「そうですね」
・・・・・・ってあれ?まてよ。このままじゃ俺ものすごーく厄介なことに巻き込まれませんか。今更だけど。
「あの~魔王様。これは俺も一緒についていかなきゃならない感じですよね?」
「え・・・・佐藤さん一緒に来てくれないんですか?」
うっ・・・・そんなウルウルした瞳で見つめられても困るんですが。
「そ、そうですよね。これは私たち魔族の問題ですもんね。私がなんとかしなきゃいけませんよね・・・・ぐすっ」
ず~んと落ち込みながらすすり泣く魔王。
え、なにこれ。俺が悪いことしたみたいでなんだか胸が痛むんですけど・・・
「だ、大丈夫です。私、ぐすっ・・・1人でも大丈夫ですから・・・ヒック・・」
・・・・・・・・・・だああああああああああああああああああああああああああ!?
もうわかったよ!俺も行くよ!行くしかないだろこんなもん!
「じょ、冗談ですよ魔王様。俺も一緒に行きますって」
「ほ、本当ですか!?」
一気に表情が明るくなる魔王。はぁぁああああああ・・・・・しょうがねぇよなこりゃ。
「え、えっとそれじゃあこれからよろしくお願いします!」
「こちらこそ」
こうして俺と魔王はなぜだか一緒に旅の一団を追いかけることになった。
・・・・・・・あれ?俺ここに何しにきたんだっけ?