魔王城って意外と分かりやすい
魔王ってどうやって生まれるんですかね?というどうでもいい疑問が浮かびました。本当にどうでもいいですね。
相変らずグダグダですがよろしくお願いします。
「それでは勇者様とりあえず武器も決まったわけですしさっそく魔王討伐に向かっていただけますか?」
「え!?もうですか!!っていうかちょっと待って、その魔王っていうのはなんなの?なんでそんなことになってるの?」
「それは・・話せば長くなるのですが・・・」
カトレアさんが急に真面目な顔になりなにやら深刻そうなオーラをだしている。
「じつは、ここ最近魔族による事件や暴動が頻繁に行われるようになって近隣の国や村が大きな被害をこうむっているのです。中にはもうすでに壊滅状態にまで追い込まれている場所もあるようでもはやこれは見過ごすわけにはいかないということでわが国は魔王討伐のために動き出したのです」
「壊滅状態って・・そんなひどいことになってるのかよ」
確かにそれは見過ごせないよな。
「ん?でも、ここ最近ってことは前まではそんなことなかったってこと?」
「はい。数年前まではこういった大きな事件や被害も無かったのですが急に魔族の活動が活発になってきて今ではこの有様です」
急に活発にか・・どうしてだろう?何か理由があるはずなのだろうけど。
「うーん、さっぱりわからん」
「とにかく今この現状をどうにかしなければいずれわが国も何らかの被害をこうむる筈。そうなる前に元凶をどうにかしなければいけないのです!!」
「な、なるほど現状はわかった。けれどもさ俺に魔王討伐とかは無理だと思うんだよね。ほら俺、体格も平凡だし力もそんなに無いしさ」
なんか自分で言ってて虚しくなってきた。
「いいえ、あなたは選ばれし者。必ずやこの世界を救ってくださいます!!」
うお!まぶしい!!そんなキラキラした顔で俺を見ないでくれ。
「うう・・あ、でもその魔王っていうのはどこにいるの?俺あんまり体力も無いから遠い場所だと辿りつけないかも」
「それなら心配後無用です。ほらあれをご覧ください」
カトレアさんはそう言って大きな窓の方を指差した。その方向を見ると
「え・・何あれ」
そこには立派な建物があった。しかしその建物の見た目はどこか不気味で所々からとげのような物が飛び出している。いかにも近ずいては駄目ですよ感が滲み出ていた。
「あれが魔王が住んでいるという魔王城です」
「・・・ってか待って、何か近くないですかあの城」
俺の気のせいか何だかすぐそこに城が建っているような気がするんですけど。
「ええ、ここから歩いて15分位ですかね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?
え?ちょっ・・15・・ま、何・・へ?
「15分んんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!」
「はい」
畜生おおおおおおおおお!!魔王どこに城建ててるんだよ!!もっと考えろよ!!もっといい場所あるだろう!!もっと断崖絶壁の孤島とかさ!火山が噴火してるような危険地帯とかさ!!
「えーとほ、本当に行かなきゃ駄目?」
「はい」
だめだ。俺の人生終わった・・
「勇者様大丈夫ですか?」
「あ~~~~~・・」
ははは・・こんなわけの分からないような場所で死ぬなんて思いもしなかったよ。
「とにかく善は急げです。勇者様行きますよ!!」
「あ~~~~~~・・え?」
カトレアさんが俺の手を握っていた。あれ?何かこの光景すっごいデジャブなんですけど。
「カトレアさんちょっと待っあああああああああああああああああああああ!!!」
俺が静止する前にカトレアさんは走りだした。
「もういやだあああああああああ!!」
しばらくして・・・・・
「さぁ、勇者様着きましたよ」
「うおえええええき、気持ち悪い・・」
ふらふらになりながらも何とか意識を保ちつつ正面に聳え立つ魔王城を見上げた。近くで見て俺はさらに絶望した。
「嘘だろ・・」
でかい、でかすぎる。こんな建物今まで見たこと無いぞ。っていうか何だか城の中から変な声?なのか何なのかは分からないが不気味な音が響いていた。
「それでは勇者様、私はここまでしか近ずくことができません。ここから先は勇者様一人で行っていただくことになります」
「え!?ちょ、ちょっと待って!!俺一人で行くの!?もっと仲間の人とかいないの!?」
「それが、今わが国の兵士たちは壊滅状態になってしまった国や村の救援作業のために出払ってしまっているのです」
「だ、だったらその人たちが帰ってきてからでもいいんじゃないの?そのほうが魔王討伐に成功する確率も上がるんじゃないの?」
嫌だ、一人は絶対に嫌だ!!
「ですが勇者様彼らが帰ってくるのは当分先の話になってしまうのです。それにわが城の調査隊の調べによると今魔王城の魔力が急激に弱まっているとのことなのです。ですからチャンスは今しかないのです!!」
もお何で魔王城そんなにタイミングいいんだよ!!誰かの陰謀か?陰謀なのか!?
「勇者様、お願いします!!あなたしかいないのです!!」
カトレアさんが半泣きになりながら俺に頭を下げてひたすらお願いしてきた。
「う、ううううう~~~」
女の子が半泣き状態になりながらこんなに必死にお願いしているのにウジウジしている自分がとても情けなかった。
ここで断ったら本当の意味でヘタレで最低な男になってしまう。だけどこんな場所に一人は嫌だ。
「うううううううううううううううううう・・・・・・・あああああああ!!!!」
ここまできたらもうしょうがない!!男をみせろ俺!!
「わかった!!わかったよ!こうなったらもうやけだ!!魔王でも何でもかかってこい!!」
「ゆ、勇者様!!」
カトレアさんの表情がパーッと明るくなった。
俺は一度決めた決心がまたぶれる前に魔王城の正面扉に向かって歩き出した。
「じゃあ、行ってきます!!」
カトレアさんに大きな声でそう告げた後、俺は勢いよく扉を開け放った。
中に入ってみるとなんともいえないひんやりとした空気と沈むような重い空気が漂っていた。
「・・・・・・・・・・」
どうしよう、もう逃げ出したい。
とりあえず、少しずつ奥え奥えと進んでいく。進んでいくたびに先ほどよりも淀んだ空気と時々聞こえる何かの鳴き声に俺のメンタルポイントはゴリゴリ削られていった。
しばらくして一つの部屋にたどり着いた。部屋の扉には死神を彷彿とさせるようなデザインの装飾が施されていた。
「開けたくねぇ・・開けたくねぇよ~・・」
泣き出しそうになりながらも恐る恐る扉に手をかける。その時
「あの~私の部屋に何か御用ですか?」
「うびゃあああああああああああああああ!!」
突然後ろから声をかけられた。俺は叫び声を上げながら慌てて後ろを振り返った。
すると、そこにいたのは・・・・