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吸血鬼の住む城(4)

双子が登場。

「お兄ちゃん、私もっとお兄ちゃんの血が飲みたいな」


「え!?」


あれだけグビグビ飲んどいてまだ飲み足りないというのか。どんだけ俺の血美味しかったんだよ・・・・。


「いや、ちょ、これ以上吸われるのは・・・・」


「そんなこと言っても今のお兄ちゃんには抵抗することなんてできないんだよ?」


確かに手足の自由は奪われてるし、何か体も重くなってきてる。今の俺にはどうすることもできない。まさにされるがまま状態だ。

彼女はにやりと口元を緩ませると再び頭の後ろに腕を回してきた。


「だから、ね? また飲ませてお兄ちゃんの血。ふふふ・・・・」


ひいぃぃぃいいいいい!! 誰か助けてーーーーー!! これ以上はらめえええぇぇぇえ!!

そう思った時だった、


「お、お姉ちゃん・・・・それくらいにしてあげなよ・・・・」


不意に扉の方からそう声が聞こえてきた。


「ん? 何よアイナ、今いいところなんだから邪魔しないでよ」


そう不機嫌そうな声を出して振り返った彼女の視線の先にはまたしても一人の少女がいた。彼女と同じサラサラで綺麗な金色の髪。その子はそれをツインテールにしていた。綺麗に整った顔立ち、雪のような白い肌は彼女と全く瓜二つだった。違うところといえば瞳の色と着ているドレスの色くらいだろうか。彼女にアイナと呼ばれた子は青と白を基調としたドレスを着ており、瞳の色は澄んでいる綺麗な碧色だった。それ以外は鏡合わせにしたんじゃないかっていうほど似ている。


「そ、その人も嫌がってるしお姉ちゃんも今日は充分血を吸ったでしょう?」


「だってお兄ちゃんの血、美味しいんだもん!! だからもっと吸うの!!」


「そ、そんなことしたらその人し、ししししし死んじゃうかもしれないでしょ・・・・」


何!? 死ぬ!? そんなの冗談じゃないぞ!!


「大丈夫よ、人間はそんなに簡単に死んだりしないんだから」


いやいやいやいやいや、俺もう結構参ってるんですけど! 体に異常が出まくってるんですけど!!


「ね、お兄ちゃん?」


「え、いや・・・・・・」


「ほ、ほらお姉ちゃんこの人もこう言ってるんだし・・・・」


「もう、うるさいな!! 私に指図するんじゃないわよ!!」


急に彼女は怒鳴り声を上げた。その声は部屋中に反響して響き渡った。


「ひっ!・・・・ご、ごめんなさい・・・・」


「はぁ・・・・もういいわよ! 今日の吸血はやめといてあげる」


そう言うと彼女は俺の体から離れてくれた。な、何とか助かったようだ。


「アイリ、このお兄ちゃんを牢に連れて行ってちょうだい」


「わ、わかった・・・・」


そう言い残して彼女は部屋から出ようとした。しかし、そこで何かを思い出したかのようにピタッと止まってこちらに振り返った。


「そういえば私まだお兄ちゃんに自己紹介してなかったね。私の名前はキャロル。また明日、血を吸いに行くから楽しみにしといてね」


そう言って軽くウィンクをしてきた。が、そんなことよりもまた明日血を吸いに行くという言葉に俺の意識は反応していた。

あ、明日も吸われるんですか・・・・。俺はがっくりとうなだれた。


「だ、大丈夫お兄さん?」


顔を上げれば心配そうな顔で俺のことを見てくる少女。確か名前はアイナだったっけ?


「大丈夫と言えば嘘になるかも・・・・」


「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! お姉ちゃんが血を吸いすぎたから・・・・」


ペコペコとひたすら頭を下げてくる。この子は結構、謙虚・・・・いや、臆病そうと言ったほうが良いのかな。喋り方も何だか覚束無いし。


「いや、別に君がやったわけじゃないんだからそんなに謝らなくても」


「ご、ごめんなさい!」


だから謝らなくていいって言ってるのに。


「えーと・・・・アイナちゃんだっけ?」


「は、はい!」


名前を呼ばれただけでそこまでビクッとするのは何でだろうか?


「俺のこと牢とやらにまで連れて行かなくていいの?」


先程からペコペコされてばかりで全く話が進まないので俺の方から話をふってみた。本当は牢になんて行きたくないからこんなこと言いたくなかったんだけど、あまりにもこの子が可哀想すぎるのでつい言ってしまった。優しいなぁ~俺。


「え、あ、そ、そうでした。で、でも血を吸われたばかりでまだ体が重いだろうし・・・・」


な、なんだろうこの子。先程の彼女とは全く性格が違うんだが。こっちのこと心配してくれてるし、何というか吸血鬼っぽくない。


「心配してくれるんだ」


「い、いやその・・・・お姉ちゃんのせいでこんなふうになっちゃったから」


俯いてしゅん・・・・となってしまった。

おお・・・・・・か、可愛い!! こんな状況で何を言ってるんだと思うかもしれないがこれは可愛い! 何というか無性に頭をなでなでしたくなる感じだ。別に俺はロリコンではないが。・・・・・・別に俺はロリコンではないが。(大事なことなので二階いry・・・・)


「君は優しいんだね」


そう言うとアイナちゃんは目を丸くした。


「そ、そそそそそそそそんなことないです!!」


顔を真っ赤にして分かりやすい動揺をするアイナちゃん。なぜだか俺の顔は自然とにやけそうになっていた。







しばらくして、体の体調が戻るとアイナちゃんは俺の手首と足首に枷をはめそのまま俺を牢まで連れて行った。

どうやら牢は地下にあるらしく壁に隠されていた秘密の階段をずっと下に降りていく。初めは薄暗くて何も見えなかったがアイナちゃんが階段を下り始めると横の壁にかかっていた照明がどんどん点いていき一番下まで明るく照らしだした。


「き、気をつけてくださいね。ここの階段意外と段差が高いから」


「わかった」


そうして俺達は階段をずっと降りていく。一体どれだけ深い場所にあるんだよ。さっきから終着点が見えてこないぞ。



それから下ること数十分。


「つ、つきましたよ」


「や、やっとか」


一体何段あったんだこの階段。振り返ってみたが入口はもう見えない。そこにあるのはひたすらに伸びる階段だけだ。


「だ、大丈夫ですか?」


「あ、ああ。大丈夫大丈夫」


「そ、それじゃ行きますよ」


そう言ってアイナは黒い禍々しいオーラを放つ鉄の扉を開け放った。


「うわ・・・・。何だここ」


中はいくつかの照明が上からぶら下がっておりうっすらと明るい。両脇には鉄格子のようなもので閉じられた部屋がいくつもありそれが奥の方までずっと続いている。空気は冷たくひんやりしていてこんなところにずっといたら陰鬱な気分になってしまいそうだ。


「あ、足元暗いから気をつけてくださいね」


アイナに連れられゆっくりと中を進んでいく。嫌な汗が額を伝い何とも言えないじとっとした気配が体中を包む。


しばらく進むとアイナは左側の牢にあった扉を開き、俺を牢の中に入れそのまま扉を閉じた。

外でカチャリと鍵のかかる音がした。


「ご、ごめんなさいお兄さん・・・・。しばらくここで大人しくしていてくださいね」


申し訳なさそうにアイナちゃんはそう言った。そして、そのまま立ち去ろうとした時俺の向かい側にある牢の方で何かが鉄格子に掴みかかりガシャンと軋む音がした。


「ね、ねぇ! お願い! 何でもする、何でもするからここから出して!! おうちに帰して!! お願い!!」


そこにいたのは俺と同じ人間の女の子であった。必死に鉄格子に掴みかかりそう叫んでいる。


「俺も何でもする!! だから家に返してくれ!! 妻と子供が家で待ってるんだ!! 頼むよ!!」


「おうちに帰りたいよーー!! ここから出してよーーーー!!」


「母が、母が病気で寝込んでるんだ!! 早く帰って看病してやらないといけないんだ!!」


「出せ!! 出せよ畜生!! 俺達が何したって言うんだ!!」


彼女の叫びをきっかけに他の牢の中からもたくさんの叫び声が聞こえてくる。男の人、女性、それから子供にお年寄りまで。先程までの静寂は一気に取り払われてしまった。


「ご、ごめんさい! ごめんなさい!!」


それを聞いたアイナちゃんは耳を塞ぎその場にうずくまってしまった。


「アイナちゃん! これは一体どういう事なんだ!?」


そう呼びかけるとアイナちゃんは顔を上げてこちらを見た。目から涙をあふれさせその粒が頬を伝っている。

なんでこの子は泣いているんだ? 俺の頭はアイナちゃんの表情を見た瞬間にその疑問でいっぱいになった。


「お願い・・・・許して・・・・」


最後に震えた声で小さくそう呟くと入口の扉まで逃げるように走って行ってしまった。


「あ、おい!!」


俺の呼びかけも虚しく扉はバタンと音をたて閉まってしまった。


「一体何がどうなってんだ?」








一方その頃。


「確かこっちの方で音が・・・・ねぇ、佐藤さ・・・・あれ? 佐藤さん?」


シェリルは今になって佐藤がいないことに気づくのであった。



グダってるーーーー!!

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