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消えゆく街の人々

変な時間に投稿しちゃいました。よろしくお願いします。

翌日、ぐっすり眠ったおかげで昨日までの疲れもだいぶ癒えたので改めて街の中を見てみようということになった。


「おはようシェリルさん」


「おはようございます。今日もいい天気ですね」


宿屋の前でシェリルさんと待ち合わせまずは街のどの辺に行ってみるかを決めることにした。昨日は街の周りをぐるっと回っただけだったので、まだ見てないところはたくさんある。


「そうですね、それじゃあまずは街の中心部分に行ってみませんか?」


中心部か。この前の町でも中心部の方にまず行ったしそれでいいかもな。


「わかりました、じゃあまずはそこに行きましょう」


という訳で俺達は街の中心部目指して歩き始めた。まだ日が昇ってそれほど時間は経っていないだろうが街の中には既にたくさんの人が歩き回っていた。忙しそうに走り回っていたり、大きな荷物を担いでいたりしているのを見るかぎりこの人達はいろんな店の関係者かなにかだと思う。


「佐藤さん! 今の方見ましたか!? 体がお馬さんみたいでしたよ!!」


「すごいですよね、本当にこの街にはいろんな種族がいるんですね」


どうやら人間以外の種族もこの街では色々な店をやっているみたいだ。空を見上げれば鳥のように翼をはためかせ優雅に飛んでいる人影のようなものも見える。


「すげぇ・・・・・・」


自然と俺の口からそんな言葉が出てきた。




しばらく歩くと街の中心部につながっている大きな階段のある場所についた。この街はかなり広いらしく、所々に地図のようなものが貼ってあったので迷うことなくたどり着くことができた。


「これを登れば街の中心部分ですね。佐藤さん行ってみましょう」


俺達は階段を上り始めた。階段は石造りになっており、段数はざっと数えて五十段以上はあるだろうか。横幅がかなりあり昨日見たあの人の多さでもこれだけ広ければ問題なく通行することができるだろう。


「ん? シェリルさん。ちょっと待ってください」


「どうしました?」


途中何気なく階段の横の壁を見たとき俺はそこに黄色い紙でできた何かの張り紙が貼ってあることに気がついた。


「これは・・・・」


そこには黒い字でこう書かれていた。


‘昨日オーリエ街内でまたもや行方不明者が発生しました。行方不明になっているのは三丁目のエリシア・ニーティスちゃん(12)。何か目撃情報がありましたらオーリエ新聞社までお願いします’


「行方不明者ねぇ・・・・」


「何だか嫌な話ですね。この方も無事だといいのですが」


こういうのって中々目撃情報とか得られないことが多いし、この張り紙がまだ貼ってあるってことはこの子はまだ見つかっていないのだろう。


「本当に無事だといいんですけどね。もしかしたら、これも・・・・シェリルさん?」


「さ、佐藤さん・・・・あれ見てください」


シェリルさんが指を指した先を見るとそこには、


「な、なんだよこれ」


壁中にこの張り紙と同じ黄色い紙がびっしりと貼られていたのである。見てみればその紙全部に行方不明者発生と書かれていた。

この紙全部がそうならとんでもない人数がこの街で行方不明者になっていることになる。


「一体何なんだこれは」


どうしてこんなに行方不明者が出てるんだ。ざっと数えても百人以上はいるぞ。


「佐藤さん、どうやらこの新聞社、街の中心部にあるみたいですよ。行ってみましょう」


「あ、ああ。はい」


俺達は階段を再び上り街の中心部へと到着した。


「うわぁ、随分と広いですね」


さすが中心部なだけあってそこには様々な店が並び、道も広く、色んな建造物に囲まれていた。


「さ、佐藤さん!! いろんなお店がたくさんあります!!」


シェリルさんの目がキラキラしている。うわぁ、目に見えてテンション上がってんな~。今にも走り出してどっか行っちゃうんじゃないだろうか。

そう思っている時だった、


「ねぇ佐藤さん、あそこなんだか人だかりができていませんか?」


「え? どこですか?」


「ほら、あそこです」


そう言われて見てみると確かに少し遠くの方に何やら人だかりが出来ている。


「ちょっと行ってみましょう!!」


「あ、ちょっと! シェリルさん!!」


駆け出したシェリルさんを追いかけて俺達は人だかりのある方へと向かった。



人だかりの場所にたどり着くと何やら真ん中で一人の男が皆に何かを配っていた。


「何を渡してるんでしょう?」


「さぁ?」


シェリルさんは人だかりに近づくとその間から中へ中へと入っていき配られているものを受け取ろうとした。


「シ、シェリルさん? 大丈夫ですか?」


「は、はい。にゅ!! あの、すいません!! 私にも一つください!!」


シェリルさんまるでスーパーのタイムセールに突撃する勇敢な主婦の方々みたいになってるな。

そして、シェリルさんは男が配っていたものを受け取ってくるとまた人の隙間からズルリと這い出てきた。


「だ、大丈夫ですか?」


「は、はい~何とか」


「ところで、一体何を配って・・・・」


そこでシェリルさんの手に握られていたものは先程階段を上っている途中で見かけたあの黄色い紙だった。


「佐藤さんこれ・・・・」


渡された紙を見るとそこにはやはり行方不明者発生の知らせが書かれていた。


「これは・・・・」


俺はなんだかまたしても面倒事に巻き込まれるのではないかという気がしていた。



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