何そのメルヘンな響き!!
新パートです。よろしくお願いします。
これは、一体なんだ? 俺は今まで見たこともない生き物を前に硬直していた。
「佐藤さん? どうしたんですか?」
そんな、俺の様子を心配してか後ろからシェリルさんが覗き込んできた。
「・・・・・・はっ!! あ、あのシェリルさんこれは一体なんですか?」
「え?」
シェリルさんが俺の視線を辿っていく。
そして、同じものを見つけた瞬間シェリルさんも固まってしまった。
「あ、あのシェリルさん? もしもーし」
「・・・・はっ!! す、すいません。つい見入ってしまいました」
シェリルさんも俺と同じ状態になっていたようだ。
「この見た目からするとこの方は妖精さんだと思います」
「よ、妖精!?」
何そのメルヘンな響き!! 妖精なんておとぎばなしとかでしか聞いたことないぞ。
「たぶん、この森に住んでいる方ではないかと」
「はぁ・・・・これが妖精・・・・」
手のひらほどの小さな小人。それに透明な羽。体中に描かれている奇妙な模様。青くて長い髪。
確かに言われてみればそう見えなくもないな。
「ところで、佐藤さん。なんだかこの方苦しそうじゃありませんか?」
「え? あぁ、そういえば」
さっき見つけたときに何だか唸っていたような。
「う、うぅぅ・・・・・・はぁ、はぁ・・・・」
どこか怪我でもしているのだろうか。その妖精はまた苦しそうな声をだしていた。
「ど、どうしよう。おい、大丈夫か?」
俺はとりあえず妖精に話しかけてみた。
「うっ・・・・だ、誰」
妖精はかろうじで体を起こし俺達の方に顔をむけてきた。
「どうしたんですか? どこか体調でも悪いのですか?」
「あ、あなたたちは?」
「俺達はたまたまこの森に入ってきた通りすがりのものだ。それよりもどうしたんだ? 何かあったのか?」
すると、妖精は自分の腹をさすりながら
「お」
「お、なんですか?」
ぎゅるるるるるるるるるる。
「お腹がすきました~~・・・・」
「「・・・・・・・・・・」」
はい?
「いやぁーあなたたちが通りかかってくれて助かりました!! もぐもぐ・・・・ぷはっ!! 本当にありがとうございます!!」
「・・・・い、いえいえ」
「ど、どういたしまして・・・・」
どうやらこの妖精ただ腹が減ってあそこに倒れこんでいただけらしい。
なので、俺達が買っておいた食糧を少し分けてあげたらあっという間にたいらげ一気に元気になった。
「いやー本当に助かりました。お二方は私の命の恩人ですね!!」
「は、はぁ・・・・」
「あ、申し遅れました私は妖精族の‘シグナム’と申します」
「佐藤勇治です」
「私はシェリル・フェステッドといいます。よろしくお願いします」
「こちらこそですぅ~」
シグナムは元気よく飛び上がるとぺこりとお辞儀をした。
こうやって飛んでいるところを見ると本当に妖精なんだなと思える。
「ところでさ、シグナムは何であんなところで倒れてたわけ?」
俺は今、一番気になっていたことを尋ねてみた。
「実は・・・・私あそこに隠れていたんです」
「隠れてた? 何でですか?」
「それが、この森に最近異変が起きてまして。えーっとですねこの森は私達、妖精族がたくさん住み着いている‘妖精の森’(フェアリーフォレスト)と言われています。私達、妖精族はこの森に住んでいるあらゆる生き物たちのために土地や木々を常に浄化し続けることで共存してきました。また、私達は他の種族にも友好的で人間の方や魔族の方にもまったく害を与えることはしませんでした」
「ふむふむ・・・・それで?」
「ですが・・・・ここ最近私達の仲間の中に他の種族へ攻撃的になるものがでてきたのです。そして、最初は少数だったその仲間たちがいつの間にかどんどんと増え始め今ではこの森に入ってくる人間や動物たちに積極的に攻撃を仕掛けるようになってしまったのです」
「マ、マジかよ!! どうしてそんなことに!!」
「私にもよくはわかりません。ですが、恐らくこの事態を生み出した元凶がきっとどこかにあるはず。そう思って私は1人でその元凶を探し回っていました。そんなときに私の行動を怪しんだその仲間たちが何をしているのか問い詰めようとしてきたんです。ばれたら何をされるか分からないと思った私はその仲間たちから逃げ出したんですが、これがなかなかしつこくて必死に逃げ回ってたんですがだんだん疲れてきてしまって、そしたらちょうどいい所にいい感じの草むらがあったんでしばらく隠れていたんです。だけど、彼女らなかなかいなくならなくって・・・・」
「それで・・・・ずっと隠れてたら腹が減りすぎて動けなくなったと」
「お恥ずかしながら・・・・」
頭をぽりぽりと掻きながら顔を赤くするシグナム。
ふむ・・・・結構可愛いな。って今はそんなことはおいといて、
「じゃあ今この森の中ってかなり危ない状態なんじゃないのか」
「そうですね。このまま進むのはやめたほうがいいかもしれませんね」
わざわざ危険な場所と知っているのにそこを進んでいくのはどうかと思う。
しかも、この森結構でかいので下手したら今日中に抜けることができないかもしれない。
「どうしましょうか佐藤さん」
「このままここにいるのも危険だし、もしかしたらこの森を通らなくても進める方法があるかもしれない。そう考えるとやっぱり無理には進まず一旦引き返した方がいいと思うな」
「そうですよね」
俺とシェリルさんは意見をまとめとりあえず一旦この森から出ることにした。
「と、いうわけだから悪いけどシグナム俺達一回この森から抜けることにするわ」
「そうですか。いや、その方がいいと思います。このままお2人に何か被害が及ぶのは私も嫌ですし」
「すみません。何も力になれなくて・・・・」
シュン・・・・とシェリルさんは俯いた。
「とんでもないですぅ~!! 私のこと助けていただき本当にありがとうございました!! 私は私でまた頑張りますから気にしないでください」
ニコッ!! と明るい笑顔を見せてくれたシグナムに俺も少しばかり気後れしてしまった。
「じゃあ、頑張れよ」
「はいですぅ~!! お2人もお元気でぇ~!!」
シグナムに別れを告げさっき来た道を引き返そうとした。
その時だった、
「お前たち、そこで何をしている」
「「「え?」」」
引き返そうとした道の木々の中から数十人の妖精が飛び出してきた。
「聞こえなかったか? 何をしているのかと聞いているんだ」
「えっと・・・・」
「これって・・・・」
「だ、大ピンチですぅ~・・・・」
妖精たちはにやりと笑うと、
「怪しいやつらだ。捕まえるぞ!!」
こっちに向かって一斉に襲い掛かってきた。
「ちょっ、えええええええええええええええ!!!」
「お2人とも逃げるですぅ~!!」
結局、俺達は森の中を進むことになってしまった。
「マジかよぉぉぉぉおぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!」
こうして森の中での必死の逃走劇が始まった。
と、いうわけで新キャラも登場して新しい場所での物語りとなりました。
今まで読んでくださった方、そしてこれから読んでくださる方もこんな駄目作者ですがどうぞよろしくお願いいたします。
そして!! 嬉しいことに皆様のおかげで10000pv&1700ユニークを突破いたしました!! 本当にありがとうございます!!