子供の消える町クレングス(5)
そんなわけで、とりあえず俺達はアーデルの案内で町外れの森の中にある洞窟の場所まで来てみた。
「こ、こんな森の中にこんな洞窟が・・・・すげぇな」
「大きいですねー・・・・」
俺たちの目の前には軽く見上げる程度の大きさでごつごつとした岩に囲まれた洞窟があった。森の中だからなのかなんなのかは分からないがとてつもなく不気味な雰囲気をかもしだしていて中からはどこかひんやりとした空気が伝わってきた。
「こ、ここにアーデルの友達と町の子供たちがいるんだよな?」
「うん、あいつは今いるか分からないけど・・・・捕まってる子達はいるはずだよ」
「そ、そうか」
「佐藤さん、一度中に入ってみませんか?」
「え!?」
この中に入る・・・・正直めちゃくちゃ怖かった。できればここから様子を伺うだけであとは他の誰かに任せたい気持ちでいっぱいである。
しかし、今この場所を把握しているのは恐らく俺たちだけだし町の人達に話したらそれはそれで面倒なことになりそうだ。
「仕方ないな・・・・入ってみますか・・・・」
内心びくびくしながらも俺達は洞窟の中に入って行くことにした。
この洞窟の内部に詳しいアーデルを先頭にして俺とシェリルさんはその後をついていく。
しばらく進んでいくと壁伝いにに火のついたたいまつのようなものが掛けられていて薄暗い通路を照らしてくれていた。
その明かりを頼りにどんどん奥の方まで進んでいくと進路を塞ぐように一枚の木の扉のようなものが現れた。ちょうどこの洞窟と一緒の大きさでよく見ればドアノブのようなものもつけられていた。
「ついたよ、お兄ちゃんたち。この先に皆が閉じ込められてるんだ」
「ま、マジか・・・・」
「この扉の向こうに皆さんが・・・・とりあえず入ってみましょう」
アーデルが扉を開けるとそこには俺たちが泊まっていた宿の部屋のおよそ2倍くらいの広い空間が広がっていた。
よく見れば中にはテーブルやベッド?のようなものまである。他にも鏡やらなぜか食器の棚まで置いてあった。きちんとランプの照明もあり部屋の中は意外と明るかった。
「本当に誰か住んでるんだな」
「そうですね。意外ときっちりされていらっしゃるみたいです」
いや、こんなところできっちりしなくても・・・・
部屋の中を見渡すと奥のほうにもう1つ扉が見えた。
さっきの木の扉とは違いこちらは鉄で出来ている様でドアノブのところに南京錠の様な形をした鍵がかかっていた。
「この扉の向こうに皆がいるはずなんだけど・・・・おかしいな僕がこの前来た時は鍵なんてかかってなかったのに」
試しに扉を開けようとしてみる。しかし、どれだけ力をこめてもやっぱり開く訳がなかった。
「だめだ、やっぱり開くわけないよな」
「どうしましょう・・・・」
「とりあえず、この場所に鍵がないか探してみよう」
「そうですね。どこかにあるかもしれませんしね」
と言う訳で3人でこの扉の鍵を探すことにした。その時
「オマエタチ・・・・ココデナニシテル・・・・」
「え?」
「へ?」
声がしたほうを振り返るとそこには腰の辺りにぼろぼろの布切れを巻き、体中が毛むくじゃらで顔の真ん中には大きな一つ目と大きな口があるとてつもない巨人がいまし・・・・
「ってわあああああああああああああああああああああ!!」
「きゃああああああああああああああああああああああ!!」
どうやら俺達この部屋の主に出くわしたようです。