子供の消える町クレングス(3)
えーと....何だこの状況は?何で俺たち今この男の子に頭をさげられてるんだ?
「ちょ、ちょっとまって。え?なに友達を助けて欲しい?どういうこと?」
すると男の子は少し困ったような表情をして
「お兄ちゃんたちにしかお願いできないことなんだ。この町の外から来た人ならあの場所にも行ってくれるだろうし......」
あの場所?町の外から来た人ならってどういうことだ?
「ねえ、いいでしょお兄ちゃんたち?」
「い、いいでしょって言われても......シェリルさんどうします?」
「どうしますと言われても......いきなりすぎて私にもどうしていいか」
2人して顔を見合わせ困惑する。
正直な話俺はとてつもなくいやな予感がしていた。もし俺が元いた世界でこんなこと言われても恐らく断っているだろう。
そんな様子を察したのか男の子の顔がみるみるうちに曇っていく。
「だ、だめなの?」
「ああ、いや駄目って言うかほら今日はもう日も暮れてきたしとりあえずその話はまた明日ってことでどうかな?」
「そ、そうですね。今日はもう暗くなってきましたしまた明日ゆっくりお話を聞かせていただいてもよろしいですか?」
シェリルさんも俺の意見に便乗してきた。
「......わかった。じゃあまた明日この場所に来てくれる?そうしたらまた詳しく説明するから」
男の子は少しシュンっとしながらもなんとか俺たちの提案を了承してくれた。
「わかった。じゃあ明日のお昼くらいにまたこの場所に集合ってことでいいかな?」
男の子はこくりとうなずいた。
その時、教会の鐘が再び町中に向かって大きく鳴り響いた。
「じゃあ、そろそろ僕帰らないと。お兄ちゃんたちまた明日ね」
そう言って踵を返し走り去ろうとする男の子。
そこで俺はあることに気がついた。
「あ、ねえ君!そういえば名前はなんていうの?」
「僕?僕はアーデル。アーデル・クインチっていうんだ。お兄さんたちは?」
「俺は佐藤勇治」
「わ、わわ私はシェリル・フェステッドと申します」
「勇治お兄ちゃんにシェリルお姉ちゃんだね。うん、覚えた!じゃあまた明日お昼くらいにね」
「ああ、わかった」
そのままアーデルわ町中えと走り去っていった。
「ふう、なんだかまた厄介なことに巻き込まれそうな予感......」
「いったいどういうことなんでしょうかね?友達を助けて欲しいって」
うーん、アーデルの様子からすると結構深刻そうな感じだよなぁ。
「まぁ、とりあえずその話は明日あいつから詳しく聞くことにして俺たちも今日泊まる宿とやらを探しましょうか」
「あ、そうですね。早くしないと野宿になってしまいますからね」
それだけは絶対に嫌だ。訳の分からん世界にいきなりきて早速野宿とか俺のメンタルが大ダメージをくらうこと必死である。
「とにかく探しに行きましょう」
俺とシェリルさんで宿を探すこと数十分後、それほど大きくはないが二人で泊まるには十分な感じの宿屋を見つけた。
「よかった。なんとかあったな」
「はい!じゃあとりあえず中に入ってみましょう」
店の中に入ると中はなかなかこぎれいで普通に泊まる分にはまったく問題はなかった。
ちょっとした休憩スペースにテーブルが二つほど並べてありその横に受付のカウンターのような場所があった。
そのカウンターの奥にはおそらくこの宿屋のオーナーであろう若い女の人が座っていた。
「あのーすみません......」
「あら?いらっしゃい。何名様ですか?」
「えーと2名です」
「2名様ね。あーうんと悪いんだけど今部屋が一つしか空いてないのよねぇー。だから2人とも同じ部屋になっちゃうけどいいかしら?」
「「え」」
まさかの相部屋ですか。
「ど、どうするシェリルさん?」
「え、えーと......わ、私は佐藤さんさえよければ同じ部屋でも大丈夫ですけど......」
大丈夫なの!?
「で、でも佐藤さんが迷惑ですよね。私と一緒なんかじゃ......」
「いえ、シェリルさんがいいなら俺は全然問題ないです(キリッ」
むしろ大歓迎ですけどなにか?こんな可愛い子と一緒の部屋に泊まれるなんて滅多にない。
もしかしたらこれから一生ないかもしれない。そんな貴重な体験ができるチャンスを見逃す手はないだろう。
「じゃあ、2人とも一緒の部屋ってことで構わないね」
まぁ、仕方ないよね。1つしか部屋がないんだから。俺のせいじゃないよね。
「それしゃあ2名様で800ベリルなります」
......ん?あれまてよ。そういえば俺こっちの世界に来たばっかりだからこの世界のお金とか持ってないぞ。
......あれ?まずくねそれ。そう思っていたら
「800ベリルですね。はい」
シェリルさんは自分の服につけていた小さな袋の中から数枚の金貨のようなものを取り出し受付の女の人に渡していた。
「はい、ちょうどね。部屋は2階の一番奥の部屋だよ」
「はい、わかりました。それじゃあ行きましょうかって......佐藤さん?」
「シェリルさんお金持ってたんですね」
「あ、はい。一応必要になるだろうと思って持てる分だけ持ってきました」
「そ、そうだったんですか」
よかったシェリルさんがいて。野宿にならなくてよかった。
俺は心の底からそう思った。
案内された部屋に入ると中には小さなテーブルが1つ。そして1人用位の大きさのベッドとベージュ色をしたソファーがひとつずつ。
壁には綺麗な海辺の景色が書かれた絵がかけられてあり床には茶色の少しふかふかした絨毯が敷かれていた。奥のほうには小さな扉があり開けてみるとそこにはトイレとシャワールームのようなものが1つあった。
「なかなかいい部屋ですね」
「.......」
「あれ?シェリルさん?」
なぜかシェリルさんは部屋中を見渡しながらポカーンとしている。
「ど、どうしたの?」
「はっ!い、いえ私自分の城の部屋以外を見たことがなかったのでなんだか感激してしまって」
あ~なるほどね。そういえばシェリルさんは箱入り魔王様でしたっけ。
「とても、素敵な部屋ですね。なんだかわくわくしてきました」
「あははははは」
こうやって見ると本当に普通の女の子なんですけどねぇ~。
まさかこの子が魔王だなんて思わないよねぇー。知らない人は。
「とりあえず、おなかすいたなぁー。ご飯ってどうすればいいんだろう」
「あ、それなんですが近くにレストランがあるそうですよ。せっかくですし行ってみませんか?」
レストランかぁー......
「いいですね。行ってみますか」
「はい!」
というわけで俺達はレストランで夕食をとることにした。
「はぁ~うまかった」
「ですね~。なんだか魔王城で食べるのよりも全然おいしかったです」
おいしい夕食にありつけて満足した後、俺達は宿に戻り今日はもう寝ることにした。
「あ、そうだ」
「ん?どうしたんですかシェリルさん」
「寝る前にお風呂に入ろうと思って、たしかこの部屋にシャワーがあったので」
「あぁ、そうですか......」
......シャワー?今シャワーって言った?
「じゃあ、ちょっと軽く入ってきますね」
そう言って部屋の奥のほうにある扉の中に消えていくシェリルさん。
「......」
マジですか!!!!!
やべえ何だこのドキドキイベント!!
シャワーって!シャワーって!(大事な事なのでry
どうしよう。ここはやはり男としてはやるべきなのか。
え?何をかって?そりゃあ愚問にもほどがあるなぁ。
もちろん......
シェリルさんのシャワーシーンを覗くってことさ!!
そうこうしているうちに奥の部屋からシャワーの音が聞こえてきた。
ゴクリ......
よ、よし。いくぞ......
俺は気づかれないようにそーっと扉に近づいていく。だんだんと近ずいてくるシャワーの音に俺の心拍数はどんどん跳ね上がっていく。
そしていよいよ扉の目の前まで来た。
俺は一度思い切り深呼吸した。そして意を決したように俺は扉のドアノブに手をかけた。
その瞬間
「あぎゃあああああああああああああああああああああがががががががががががが」
俺の体中に突如ものすごい電流が走った。
アニメとかでよくある電気が走った瞬間骸骨が体の中から見える表現が今まさに適用されるのではないかと思うほどの衝撃だった。
俺はひとしきり感電した後意識を失いその場に倒れこみ気絶しました。
しばらくしてシェリルさんが扉の前で倒れている俺を発見しものすごく驚いていたのは言うまでもなかった。
まぁ、あれだ。その......覗きはよくないよね!皆は真似しちゃ駄目だぞ!←(お前がいうな)