ⅲ
新型のTNTキャノンを開発したり、紫雲に取り付ける武装を増やしてたら遅れた。
なんか行き当たりばったりで書いたおかげで結局今が何年で、これは何年前の出来事か。っていうのがわからなくなってきた。
取り敢えず今現在(つまり紫雲が頑張って働いているとき)を西暦2793年、28世紀としておく。どっか矛盾してるところがあるかもだけど許して。
あと本文の説明パートを長ったらしく書きまくったせいで、ここからどうやって戦闘パートに繋げるかいい感じの接続詞が思いつかなかったので一回ここで切って投稿してから、次話で戦闘パートに入るね。今回は絶対に戦闘パートに入る自信がある。多分今日中には投稿する。
スターゲートよりハイパーレーンに突入してから3週間、目的としていたカイパーベルト上に広がる宙域、通称「凍り付いた宙域」に到着した。
ここはカイパーベルトに多く存在するメタンや水などを採集するためのプラットフォームが建造されたり、小惑星を採掘し、採集するための採掘船が行き来する宙域だ。
しかし一番近いコロニーが天王星上にあり、中継地となる小規模補給基地もあたりに少し散らばっている程度であり、とにかく利便性が悪いので人が少ないのが特徴である。
そのためはぐれ者達が隠れ住むには丁度良く、この宙域では真っ当に生きている人々よりもはぐれ者達の方の総数のほうが圧倒的に多い。その様な者達は、ある程度のサイズの小惑星をくり抜き、その中に基地や彼らの交流の場である賭博場、物々交換のためのマーケット等、彼等が生きていくには不都合のないような物を作っている。
そして彼らも人間種族である。生きていくためには食料品や酸素生成のためのフィルターなどが必要である。
又、危ないお薬やお酒等の娯楽品を作るための素材や、彼らの基地を作るための資材を得る必要がある。
しかし彼らははぐれ者達。大抵は犯罪者等であり、コロニーに一歩でも足を踏み入れようものなら次の瞬間には周囲を保安部隊に取り囲まれ、即お縄、からの監獄惑星や監獄用コロニー送りとなる。そのため彼らは自らの手でそのような物資を得ることができない。
すると彼らにできることは一つだ。ここに至るまでに使った船を使い採掘船や数少ない、この一帯を通る一般通過艦を襲い、宙賊として生き延びることだった。
大抵の艦は武装などついておらず、時折72ミリ単装電磁砲を2基か3基と、低威力の2連装対空パルスレーザー砲を4基の標準的な自衛用の装備品を載せている艦がいる程度だ。それでも非武装の、あっても81ミリ連装電磁砲1基程度しか載せていない採掘船にとっては十分な脅威である。非武装の宙賊艦であっても、その質量と速度を生かした体当たりや、艦の船首側を補強して衝角攻撃を仕掛けてくることがある。
装甲の薄い宙賊艦であっても81ミリ連装電磁砲1基程度では速度の乗った宙賊艦を止めることなどできるはずもなく、デブリや採掘した際の破片から身を守るために装甲が厚くされている採掘船であっても易易と装甲と外郭を突き破られ、内部の気密区画まで破られる。
大抵の場合は宙賊によって狙われていることを警告された時点で速やかに、持っている資源の一部やエアフィルター、食料品に娯楽品等を放出し、その旨を宙賊艦に告げ、見逃してもらう場合や、先に資源や資材を渡しておくことで、見返りとして宙賊からは襲撃されないようにすることが一般的である。
このように、宙賊は特に採掘船や、採掘船の次に襲われやすい足の遅い輸送艦からは親の仇の如く―実際に親の仇の場合もあるが―嫌われており、百害あって一利なし。という結論になったため、最初は、正規軍主導で。次に軍の委託を受けたPMCが。
しかしそれでも対応しきれない量の宙賊がいた。統一連合政府は仕方なく、厳格な審査のもと、希望するものに私掠船討伐許可証を付与するようになっていった。
私掠船討伐許可証を付与され、自らの手で宙賊を屠る者達は傭兵と呼ばれるようになっていった。
元々、宙賊艦を撃破してもどこからも報酬はもらえず、もらえるのは砲弾やレーザーによって破壊され尽くした元宙賊艦だった鉄塊であり、下手をして核融合炉などを撃ち抜いてしまうと艦は爆発四散し、何も得られない。という殆どボランティア活動であった。
しかも艦艇やその装備品や消耗品などの費用を負担されるのでもなかったので、裕福な退役軍人の老後の暇つぶしや、裕福な家庭の生まれの者がごく少数なるばかりであった。
そのため宙賊を討伐するための数を揃えるために始まった制度が、全く持ってなんの意味もなさず、むしろ宙賊側に鹵獲された傭兵や、PMCの艦艇、兵器によって宙賊が強化される。という自体に陥った。
この状況に業を煮やした企業連合や輸送会社は傭兵としての素質はあるが、金銭的な余裕がなく、傭兵になれない。という者たちに対し、兵器や艦艇を与え、宙賊を撃破すると報酬を受け取れる。という制度を作った。
これにより傭兵側は傭兵になることができ、企業側は航路の安全を確保することができ、加えて自らの企業で作った艦艇を宣伝することができた上に、艦艇が実績を積み上げることができ、ひいては正規軍のコンペにも有利になる。という関係になった。
その50年後、統一連合政府が崩壊すると、政府が担っていた私掠船討伐許可証の配布は企業連合が担うようになり、手続きの効率化を進めるために企業連合から派生した「独立傭兵連合」、通称傭兵ギルドが傭兵に関することを一手に引き受けるようになった。
傭兵連合は出資元が変わらず、企業連合だったため、新人傭兵たちは傭兵連合側から艦艇を借りる、或いは旧型艦をかなり割引された値段で買い取ることができ、宙賊の撃破報酬などは企業側が出していた。
企業連合に属していない企業の船団の護衛の際などには、傭兵連合が傭兵の斡旋をし、船団護衛の報酬などは先ず、傭兵連合側に渡り、そこから仲介手数料を引かれた報酬を受け渡されるという形式をとっている。
なんか思った以上に本文の説明が長くなった。というか殆ど説明。まぁ、もともと世界観説明のための作品だからいいよね?
あとこの本文の説明だと宙賊が簡単に一掃されそうだけどどっから出てくるんだろうね?某医者石のように完成したものはいくらでも供給されるのとおんなじ理論なのかな?と思って計算してみたら宇宙全体で大体毎年3000万人くらいの宙賊予備軍が発生しているみたいだからそのうち10分の1しか宙賊にならなかったとしても宙賊が尽きることはなさそうだね。
因みにこの計算は27世紀の時の宇宙全体の人口である約3015億人がもととなってるから、一番最初の宙賊による襲撃と思しき事件が発生した23世紀前半の宇宙全体の人口、170億人だと宙賊が滅ぼされないくらい補給することってできなさそうだけど気にしない。
tips.統一連合政府と企業連合。 統一連合政府は軌道エレベーター建設の際に影響力を強めた巨大企業の連合体に対抗する形で作られた組織。国際連合が中核となって各国がまとまった結果このような組織ができた。
ただし実情はそのまま国際連合の名前が変わっただけの代物であり、結成時から西側と東側での分裂があったり、アフリカの諸国が民族や資源の問題で割れまくっていたため、全く意味をなさなかった。なんなら構成国同士での紛争や戦争も起こってた。
状況が変わったのは各国が軌道エレベーターを建て、地球外から安価に資源を運べるようになってからである。この技術革新により始まった第一次宇宙開拓時代に政府が積極的に乗り出したため、ある程度足並みがそろい、統一連合政府の影響力が強まった。
そして統一連合政府ができてから約300年後、もともとの派閥争いや汚職に加えテロやクーデターなどにより崩壊した。
軌道に乗ってからたった2行弱で滅ぼされる統一連合政府君カワイソス
企業連合は2108年から行われた軌道エレベーター建築計画にかかわっていた、当時の様々な分野の巨大企業が集まって作られた連合体が母体となっている。もともとは軌道エレベーター建設のための技術提携のために作られた連合体だったが、外宇宙探査用の宇宙船や月や火星への植民船や、それを作るための軌道上に浮かべられた造船ドッグを作るに至ると莫大な利益を上げた。そのため軌道エレベータ建築のノウハウを保持するためにそのまま連合体は存続した。
また、この成功をみたほかの大企業達も連合体を作り軌道エレベーターを作った。そのためそれぞれに個別の名前があるものの、大抵は2番手、3番手の連合体も併せて企業連合と呼ばれる。