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日常となる演説

 2人の間に会話が無い。一言二言交わすことはあっても何故か直ぐに終結してしまう。


 これが義兄妹間の仲なのか、と思ったがそういえば優芽は俺の事を嫌っているのだった。


 大事な前提を忘れてしまっていた。ここ3日2人で一緒に歩いて登校しているからかド忘れしてしまっていたらしい。


 そもそも本当の兄妹だったとしても、今は思春期。会話を交わすことなんてほぼほぼ無いと思っていた方がいいだろう。


「最近は学校、どんな感じなんだ?」


 意を決して優芽に語りかける。


「…」


「優芽?」


「…」


 あれ、俺ついに無視されるくらいまで嫌われてしまったのか。無視まではされることなんてなかったのに。


「優芽!」


「んぁ、へっ、何?!」


 何やらぼっーとしていただけらしい。

 何か様子がおかしいが、多分俺は関係ないので触れることはしない。


「いや、学校どうだって聞きたかっただけだ」


「はぁ?そんなしょうもないこと聞かなくていいでしょ。びっくりしたじゃん…」


「あぁ、すまん」


 結局会話が終わってしまったな。こりゃどうしたものだろうか。

 まさか怒られるとは思っていなかった。


 そのまま俺たちは学校に着くと、無言で別れを告げて各々の教室へと散った。







 昼休みになり、俺は最近日常になりつつある優芽に関する演説をみんなの前で始めることにした。


 演説を始めた日、何故か同クラのみんなはもちろん。他クラスの生徒たちも俺の演説を聞き入るようになり、いつの間にか昼休みの俺のクラスの前には生徒で溢れるようになってしまった。


 今は優芽がこの学校にいることが学校中に広まった結果。俺の演説へのお客さんは減ってしまったが、これは努力の結果が現れていると言うことなので嬉しいのだ。


 俺は朝から考えておいた原稿を午前中何度も確認したが、再度確認して完璧に覚えた。


「今日も演説待ってるぜ」


 俺と優芽が義兄妹だということはいつの間にか皆に知られていた。特にそれで変な目に合わされる訳では無いし、逆に皆俺に対して謎の価値観を見出しているらしい。


 俺は自分の机から立ち上がると、廊下の方から女子たちがキャーキャーと騒ぎ出す。

 最近、何故か女子人気が高くなったんだよなぁ。そんなに俺の演説面白いかよ。


 でももしかしたら、彼女が出来たりして…と期待してみてもいいかもしれないな。


「今日も皆さんお待ちかね。我が親愛なる義妹いもうと。そして今やシャーベット1の人気を誇る優芽のことについて語っていくぞ!」


「待ってたぜー」


 クラスの男子がノリに乗ってくれる。こいつらがいるからメンタル保ってられるんだよな。


「廊下にいる皆もよろしくな!」


「結城くーん!頑張って!」


「結城さま〜。好きー」

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