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プロローグ
灰黒の雲が、空に大きな城を構えている。
轟々と音を立てながら迫ってくる様子は、 彼女を思わせる懐かしさだった。
会合の日はいつも、彼女が。
郊外に位置した、草が這う大仰な建築物。
大きな門に、こじんまりとしたコウモリのドアノッカーは、一族の転落を匂わせる。
コンコンと、軋みながらも子気味良い音が鳴った。
奥からコツコツとこちらに来る様子が、耳を立てずとも聞こえてくる。
「今晩は、アルベルト様。
…今宵もアルベルト様で、宜しかったですかな?」
少し開いた扉から、大きく曲がった鷲鼻が飛び出ているのも、見慣れた光景だ。
「ああ、いいよ。
もう皆着いているかい」
「着いていますとも、いつも貴方様が一番遅いではありませんか」
大きそうな鼻息を立てると、それに呼応したのか扉もギイと音を立て、開いた。
今宵はサックス家一番の大行事。
一族総出の、生贄探しだ。
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