8通目 未練と後悔
結果として私は2人で外に出るのは危険だと判断した。
彼にはバイトが休めなくて、と言い訳。
それを聞いた彼は、それなら仕方ないねと少し寂し気に瞳を揺らした。
申し訳ないとは思わなかった。
都合のいい女になるのだけは避けたかった。
前科✕犯。
彼が社会的に許されないことをしてきた数。
その数に引っ掛かりを覚えたのだ。
彼が前科者であるのは知っていた。付き合って初日に言われたからだ。それでもお付き合いを続けてきたのは意味がある。更生をしてくれるとどことなく思ってたからだ。檻の中にはいろんな前科を持っている人間がいる。だからそのことだけで言えば何ら普通のことのなのだ。そこから更生して「外」に出ていく人たちもいる。
彼は噓を吐いている。
彼が言っていたのは✕犯。罪状は✕✕✕✕。
だけど噂では✕✕✕✕の他に✕✕✕もしているというのだ。
何故教えてくれなかったのか。
時計を見る。
今頃彼は一人外出しているだろうか。
私は起動させていたパソコンに向きあう。
「社会福祉法人 ✕✕✕の会。」
彼を一人にさせないために私は調査を始めた。
果たしてこれは正しかったのか。
少しでも彼といるべきだったのではないか。
でも不安を抱えたまま一緒に居るのは得策ではない。
その日の手紙にはこう書かれている。
『今日は君に会えない日。
分かっているのについついラヴレターを書いちゃうんだ。
次は一緒に出掛けられたらいいね。
愛している【ん】だ。心から。
少しずつ伝えていけたらいいな。』
好きが大好きに変わり、愛してるへ。
少しずつ変化していく彼の気持ち。
同じように思いながら、私の中で膨らむ疑心暗鬼。
だけど大丈夫。
彼を心から愛しているから。