7通目 本当の「外」
檻には退院以外の方法で本当の「外」に出られる方法がある。
それが「特別外出」だ。
その許可が下りた時だけ、外でも公園でもない「一般社会」に外出することができる。
私は3日後に退院が控えていた。
彼と離れ離れになる。けど、私は檻の通所施設に通うことが決まっていた。
幸い、その施設の授業終了時間と彼の外出時間が重なっている。
2人とも不安はなかった。
そんな矢先、彼からの思わぬ報告。
『特別外出の日が決まったよ。
君の退院日の2日後。
もし可能だったら本当の「外」で会いたいな。
【め】んどうかけるけどよろしくね。
君と会えない時間も君でいっぱいだよ。
こうしてラヴレター書いている間も幸せ。
大好きだよ。』
彼と「外」で会える。
それは私にとっても喜ばしい報告だった。
そして嬉しいことに、友達も同じ日に退院と一緒の場所に通所することが決まっていた。
私は病棟で過ごす時間の大半を友達との時間に充てていた。
そんな友達が言いにくそうに話してくれた。
「あんたほんまにあの人と付き合い続けるんか?」
昼下がり、リビングルームで麦茶を飲みながら友達が言う。
「どういうこと?」
シャチのプラコップを机に置きながら、私はけげんな顔をした。
「気を付け。あんたの彼氏、良い噂聞かんで。」
「えっ?」
「ま、噂は噂。本当かどうかは自分で確かめ。」
そういうとこっそりメモ用紙を渡してくれる。ここで話すべきではないと判断したのだろう。
友達のやさしさに感謝しながらメモに目を通す。
そこには、あの優しい彼はいなかった。