表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13通目のラヴレター  作者: ネクタイ
5/18

4通目 俺にとっての存在

日記のような小説は、その週のうちに書き上がった。

彼宛ての封筒に同封する。誰かのために小説を書き下ろすのは初めてだった。どんな反応をするんだろう。期待と不安で胸がいっぱいだった。


彼は一緒にいるときその話をしなかった。

感想がないのか、興味がないのか。興味がなければわざわざ手紙に読みたいなんて書かないだろうし、私自身に関心がないわけでもなさそうだった。その答えはその日の手紙に書かれていた。


『俺がモデルの小説書いてくれてありがとう。

あんなラブラブな物語の主人公が俺でいいのかな。

ちょっと恥ずかしいけど、君ともっとラブラブになりたい。なんてね。


一人だとつら【い】けど、君がいてくれるから大丈夫。

今の俺にとって君の存在が大切なものになってるんだ。

まだ出会って間も無いのにね。


きっと君が先に退院してしまうから、少し淋しい。

でも俺も早く外に出られるようになるから。

少し待たせちゃうけどごめんね。好きだよ。』


彼はちゃんと読んでくれていた。

会う度に少しずつ目を合わせられるようになってきて、話をして、お互いのことわかってきたつもり。


彼にとって私は大切な存在になり始めているのだ。


同時に、私にとって彼は大切な存在になり始めていた。


友達にそのことを話す。

檻の外の人間に言ってもわからないと思ったからだ。

「じっくり時間かけて見極め。そしたらわかるんとちゃう?」

友達の意見はいつでも的確だった。

そうだ、付き合ってまだ一週間もたってない。

会える時間だけで言えば3時間半といったところだ。


そのことを書いておこう。

レターセットをいつも通り取り出しながら、私は深呼吸をひとつした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ