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ある日魔法は唐突に  作者: 亜入
第一章
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プロローグ 自問自答は唐突に


「人が恐怖を抱く瞬間はいつか?」


 テストで悪い点数を取った答案用紙を親に発見されてしまった時のことだろうか。それとも今日中に提出しなければならない宿題を家に忘れてきた時だろうか。

 一生懸命時間をかけて終えたものを家に忘れてきてしまった、あのヒヤッとした瞬間は少し大人になった大学生の今でも忘れやしない。

 あの時は今までの勤勉さを認められ翌日に提出することを認められたはしたが。


 じゃあ少し大人の視点に切り替えてみよう。

 恋人に浮気がバレてしまった。それは想像が容易くいわゆる修羅場というやつになるだろう。自分はそんな経験をしたこともないので妄想で補うことしかできないのだが。

 親しい友人曰くそれはそれは生きた心地がしない空間になるとのこと。

 じゃあ浮気をしなければいいのではないかと至極真っ当な意見をぶつけてみたがそれでもやめられないと話していた。……いつかこの人が背中に包丁を刺されても文句は言えまい。


 なら大人になれば恐怖を感じる瞬間なんて少なくなるんじゃ、と思う子供は大勢いると思う。

 でもそんなことはない。寧ろ大人になるにつれて怖がりになって人は増えているんじゃないかと。

 例えば子供のころは好きだった昆虫。その辺にゴロゴロいるアリや土を穿れば出てくるダンゴムシを素手で触って見せびらかしていたり。

 子供時代に田舎に住んでいた人はカブトムシやクワガタを捕まえに山を走り回った経験をしたに違いない。都会生まれ都会育ちの自分にはすごく羨ましいとさえ思う。都会で暮らしている子供が捕まえられる虫はせいぜいセミくらいだ。

 昔は平気だった虫もよく見てみると不気味で気持ち悪くなってしまい、素手で触るのはお断りな人がそれなりの占めていそうだ。

 ほかに思いつくものとしたら高い場所が苦手になってしまったとか。恐怖心が薄い子供時代は度胸試しで、危険だとわかっていても高い場所に上ってみたり。やってみるとスリルを味わえ、上った瞬間を見ていた友人からの評価も爆上がり、そして達成感もあるという一石三鳥。

 反対に大人になると地に足をつけるのが大好きだ。安定した地番が一番安心する地位だし、不安定なものを嫌うようになる。場所であっても地位であっても。


 子供は自由奔放でいい。公園を自由に走り回り、高い場所はなんのその。木登りも難なくやってのけてしまう。見ず知らずの子供が駆け回っている姿を見ると少し物思いに耽ってしまう。

 自分はいつから自由に走り回らなくなってしまったのだろうか、いつから周りの様子を窺うようになってしまったのか。それを人は「成長」という言葉で言い表されるし、子供はいずれ成長しなければならないものだ。純粋で真っすぐでのびのびとしたあの時期。自分にはあったっけ?




 ……少し話が脱線したようだ。人が恐怖する瞬間はいつか。この疑問について考えていたのであった。

 そうだな……。例に出すと高い場所が苦手という人は純粋な恐怖心、いわば人間の本能と説明できよう。虫をよく見てみると気味が悪いという経験則からなる恐怖、高い場所が苦手という生物の本能からなる恐怖。

 言いくるめてしまえば恐怖する瞬間なんて人よりけりだし決められっこない! 

 と、説明してしまえばそれまでだが。じゃあ何故答えがない疑問を自己分析しようとしたのか?




「人が恐怖を抱く瞬間はいつか?」




 当然疑問を出す以上、自分なりの答えを提出せねばならない。

 友人に聞いてみたら数分思考し答えられる単純な問題なのかもしれない。

 でも今の自分、城ケ崎明なら一瞬で即答してしまうことだってできる。


 それは……、ある日快晴の空の下。空に正体不明の物体が現れた時だ。

もの書き初心者です。

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