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終わらぬ物語シリーズ

あーしたてんきにになぁれ!

作者: Bi₂O₃

「あーしたてんきになぁれ!」

 男の子はそう叫ぶと、空に向かって足を蹴り上げて靴を飛ばしました。その靴は真っ暗な空をくるくると回り、地面に落ちると底を上に向けて止まりました。

「あーあ、明日もおてんと様は見れないのかー……」

 男の子は不満げに呟きました。それを見ていた大人たちは、悲しそうな表情で空を見上げました。空はただただ真っ暗なだけで、そこにおてんと様の姿はありませんでした。


 ──むかしむかし、空にはおてんと様と呼ばれるとっても明るいお星様がありました。おてんと様は、空から暖かい光で私たちを見守ってくれていて、おてんと様のいる空は綺麗な青色だったそうです。

 ある日突然、おてんと様は現れなくなってしまいました。たくさんの雲がおてんと様を隠してしまったのです。それからというもの、どれだけ時間が経っても空が明るく輝くことはなくなってしまいました。

 おてんと様がいなくなったことで、食べるためのお米や動物たちが育たなくなってしまい、みんなはお腹がすいて困っていました。そして、お腹がすいた大人たちはついに食べ物を取り合って喧嘩を始めてしまったのです。たくさんの人が怪我をして、たくさんのお家が燃えてしまいました。


 おてんと様が帰ってくれば、きっと大人たちも喧嘩をやめてくれるはずです。男の子は、今日もおてんと様を探しに靴を飛ばします。

「あーしたてんきになぁれ!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 重いテーマでした。 いつか晴れの日がくると良いですね。
2023/04/25 13:08 退会済み
管理
[一言] 実際問題、太陽がいつまでも照り輝いているとは限りませんものね。 それこそ大噴火でもあれば、火山灰のせいで太陽が遮られて異常気象待ったなしになるらしいですし。 子供たちが明日天気になぁれと祈…
[一言] 切ないですね。 神話の世界ならおてんと様(天照)は宴会の賑やかさに興味をひかれて出てくるわけですけれど、環境破壊や核戦争などで太陽が隠れてしまったなら、どうすることもできないのかもしれません…
感想一覧
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