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第五話 冒険の始まり

 冒険者ギルドは屋台の店主が言った通り露店街のすぐ先にあった。ご丁寧に看板にでかでかと冒険者ギルドエヴァンタイユ中央区画支部と書かれている。外装はかなり綺麗である。

 オールは扉を開け中に入るとかなりの数のプレイヤーが列を作っているのが目に入った。その先には銀行の窓口のように仕切られた受付カウンターがずらりと並んでいるのが見える。妙に自分に視線が集まっているのがオールは気になるが、一番空いていそうな列の最後尾に並び自分の番を待つ。あまりにも人数が多かったためかなり時間がかかりそうと思ったが、意外にも早くオールの番が回ってくる。


「冒険者ギルドエヴァンタイユ中央区画支部へようこそ! 私は受付担当のライラと申します。初めてのご利用ですか?」


「あーはい」


「冒険者へのご登録ですか? それともご依頼ですか?」


「えーと、仕事を探してまして」


「でしたらご登録ですね。ステータスの確認を行いますのでそのままお待ちください」


 そう言って受付嬢のライラはオールに向かって手をかざす。


「フィン・ウド・ヴェリテッド [アナリーゼ]」


 呪文のようなものを唱えるとライラの手元にあった紙が少し光り文字が浮かび上がっている。


「ふむふむなるほど、お名前はオールさんですか。 分かりました、登録を認めます。冒険者証を発行しますね」


  何が起こったのかさっぱり理解できなかったオールだが登録がスムーズに終わってしまったことに安心した。

 ライラが手元にある紙に印を押すとオールの目の前にウィンドウが現れアナウンスが聞こえてくる。


<Name>オール <Rank>F


<Quest>


【冒険者ギルドに登録しました。現在のランクはFです。MenuにGuild(ギルド)が追加されました】


「あ、ありがとうございます」


 目の前にウィンドウで表示されている冒険者証とアナウンスはとりあえず無視してオールは礼を言う。


「では、冒険者システムについてご説明させていただきます。冒険者ギルドはランク制を取っておりランクはFからSまで存在します。冒険者様のステータスの平均値、Questや討伐での実績によりランクが決まります。Questは当館にあります掲示板から自分のランクに合ったものを受諾してください。またQuest対象ではない害獣や魔物を討伐した場合、報酬はお出しできませんが素材は冒険者様に権利がございます。また、Quest対象の害獣、魔物の素材は当ギルドに権利がございます。隣の素材回収所にて換金していただくことになります。もしQuestに失敗した場合、指定された違約金を支払って頂くことになりますのでご了承ください。ここまでよろしいですか?」


 一息で言われたがオールはなんとか理解し頷く。


「次に規約ですが、こちらをお読みください」


 オールはライラから冒険者ギルド規約と書かれた紙を渡されそれに目を通す。書かれていたのは以下の事項だ。


1.冒険者ギルドは冒険者に対し指定された金額を支払わなければならない。

2.冒険者はQuestを受諾する際、ソロの場合自身のランクと同じものでなければならない。パーティーを組んだ場合は一つ上まで受諾することができる。

3.冒険者が一般市民に対し害を与えた場合、即刻除名される。また犯罪者として指名手配される。

4.冒険者同士争った場合、国や都市の法に則り加害者と定められたものは除名される。ただし催事としての決闘、技術指南は除く。

5.冒険者が死亡した場合、冒険者ギルドは一切の責任を負わない。

 

 ファンタジー小説で登場する冒険者ギルドと比べるとかなり厳しめだがプレイヤーの治安を良くするためには効果的な規約だ。一通り目を倒してからオールは紙を返した。


「規約を再度確認したい場合はいつでも受付係にお申し付けください。では、良き冒険をあなたに」

 

 一礼してからオールはQuestを見るべく掲示板に向かった。そこには見知った人物がおり、オールに気づいたのかこちらに手を振ってくる。


「よぉ! さっき振りだな嬢ちゃん!」


「どーも。エルムさんも冒険者ギルドに登録したんですか?」


「おうよ、今からQuestを達成しにいくところよぉ! そうだ嬢ちゃんQuest受けるんだったら食料と水は必ず持ってったほうが良いらしいぜ!」


「ん? どうしてですか?」


 エルムはオールに手招きし小声で話し始める。


「仲良くなったプレイヤーから聞いたんだがよ、どうやらこのゲーム隠しステータスがふんだんにあるらしいんだよ」


 オールもエルムに合わせて小声になる。


「隠しステータスですか……」


「まだ憶測でしかないらしいけどな、とりあえず空腹と渇きは十中八九あるらしいぜ」


 そういえば、とオールは屋台の前で空腹感に襲われたことを思い出す。空腹と乾き、サバイバルゲームで言えばゲージがなくなってしまえばHPがどんどん削られていき死に至る。この世界でもそうなら食料と水が冒険中に手元にないことは死活問題である。


「なるほど、度々ありがとうございます」


「いいんだよ。どことなく嬢ちゃんのことは気に入っちまったからな。そうだ、どうせならフレンド登録しとくか?」


「じゃあ、お願いします」


 エルムがメニューウィンドウを操作するとオールの目の前にフレンド申請エルム、YES/NOの文字が書かれたウィンドウが現れる。YESを選択すると自動的に自身のメニューウィンドウからFriendの項目が開かれた。そこにはエルムと書かれておりタップすると通話、メッセージ、パーティー申請、フレンド解除の4つの項目が出現する。


「おし! 俺ぁ冒険に繰り出すとするわ! なんか有益な情報が出てきたらメッセージ飛ばしてくれよぉ!」


 そう言ってエルムは去っていった。オールは見送ると本来の目的であったQuest掲示板に目を移す。


「Fランクだとこの辺か、うーん、雑草の除去に猫探し、家の掃除、雑用ばっかだなぁ」


 そこでオールは一つのQuestに目が留まる。


「野犬10頭の討伐、被害報告場所北門周辺の森、報酬5000gif、受注可能人数残数1か」


 確認しようとQuest受注依頼書に触れると依頼書が消滅し、アナウンスが聞こえてくる。


【Questを受注しました】


「まだ受けるか決めてなかったのに」

 ハァッと溜息をついたオールであったが、この世界での戦闘を試してみたいという気持ちに流されてしまいQuestを遂行する覚悟を決めるのであった。


最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

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