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第三話 チュートリアル2

 女神リーベは武器棚に歩み寄り武器の説明を始めた。


「武器棚にあるのは剣、槍、盾、杖、槌、弓の6種類です。これらは基本武器と言います。チュートリアルではこの基本武器から適性のあるWeaponSkillを取得していただきます。オールさん、どの武器でもいいので一つ手に取ってみてください」


 オールは武器棚から剣を手に取る。


【ブロンズソードの装備が確認されました。WeaponSkill[剣(F)]を取得しました】


「お、これがアナウンスか」


「Skillを獲得したみたいですね。武器を装備すると適性があればその武器種のWeaponSkillを得ることができます。また、基本武器から派生した様々な武器のWeaponSkillが存在し、基本武器のWeaponSkillを取得していなければ派生先のSkillは獲得できません。更にランクによって度合いは違いますが、武器を扱う際の補正とステータスへのボーナスが発生します。この世界では主にWeaponSkillによってステータスが上昇する仕様です」


 端的に言えばレベルアップ制ではなくスキル制ということだろう。基本武器のWeaponSkillを獲得していなければ派生先の武器が使えないのはなかなか興味深いとオールは思う。


「続いてAssaultSkillについて説明します。AssaultSkillとはSPを消費し、特定の動作を行うことで発動するSkillです。これはNPCやプレイヤーから指南してもらうか自身で技と呼べるレベルの攻撃を放った際習得できます。ホワイトモデルを参考にAssaultSkillを習得してみてください」


 気付けば白いマネキンがオールと同じ剣を手にしていた。繰り返し同じ動作で垂直に剣を振り下ろしている。刃には薄く銀のエフェクトが発生している。

 オールは白いマネキンの横に並び動作を真似る。オールこと万野櫂花は祖父から自衛の術を身に付けろと言われ、幼少の頃から剣術、薙刀術、弓術、合気道に励んでいた。そのため剣、槍、弓には自信がある。慣れない諸刃構造の剣であるが構えて剣を振ってみる。だが、想像していた通りには振れない。自分の体から何かが抜けた感覚に驚き、剣筋が乱れてしまったのだ。


「なるほど、これがSPを消費した感覚?」


 オールは返答がなかったことに少し寂しさを覚えたが、再び構えをとり剣を振る。同じ感覚を味わうが今度は身構えていたため銀のエフェクトが発生し、しっかり剣振ることができた。


【AssaultSkill[バーティカルスラッシュ]を習得しました】


 アナウンスが流れSkillを習得したことを告げる。


「おお! 早いですね。では次の武器に行ってみましょう!」


 オールは各武器種を順番に装備しWeaponSkillを取得し剣でしたことと同じように白いマネキンの真似をした。

 盾、杖、槌は扱ったことがないためか少し戸惑ったが、なんとか全てのAssaultSkillを習得することができた。


「まさか全ての基本武器に適性があるとは驚きです! あまり他のプレイヤーの事はお話できませんが、まだあなただけですよ!」


「あ、ありがとう……」


 あなただけと言われたことにオールはつい嬉しくなってしまった。

 どんなスキルを獲得したのか改めてメニューウィンドウからSkillを確認する。


<SupportSkill>


<ProductionSkill>


<WeaponSkill>

[剣(F)][槍(F)][盾(F)][杖(F)][槌(F)][弓(F)]


<AssaultSkill>

[バーティカルスラッシュ][ラフスタブ][ライトプレス][シャープネススラップ][ヘビィストライク][アキュレートショット]


 一通りスキルウィンドウを確認しウィンドウを閉じるといつの間にか白いマネキンと武器棚が消えていた。おそらくチュートリアル終了とともに消えたのであろう。



 女神リーベは笑顔を浮かべる。一拍おいてパンっと手を叩き話し始める。


「最後に今まで4つのSkillについて説明してきましたが、実はもう一つ特別なSkillが存在します。それはAwakening(アウェイキング)Skill(スキル)といいまして、取得できるSkill、取得方法共にプレイヤーによって異なります。頑張って取得してくださいね!」 


 ゲームタイトルにもあるAwakeningと名のつくSkill。詳細は話してくれなかったが重要なものなのだろう。


「これでチュートリアルは終了です。世界の説明に入ります。準備はいいですか?」


 オールは頷き聞く準備をする。


「説明といってもほとんどはご自身の目で見て確認するしかありませんので説明というより注意事項です。ご了承ください。 Geofuの世界には様々な国や街が存在し、その中で人々が秩序をもって暮らしています。その秩序を乱すことは善たる人々にとっては度し難いことです。各街でルールを確認することをお勧めします。ただ、プレイヤーの方々には自由が保障されています。道徳や規律に反する行いをしたとしてもシステムから害することは致しません。ご自分の意志で責任を持って行動しましょう」


 冷静になってオールは今言われたことを分析する。なんとなくわかる事はルールに反すれば街や国から罰される可能性があるという事だろう。NPCが国や街を運営している事はにわかには信じがたいが、目の前に明らかに知性と人間性をを持ったNPCが存在しているのだ。それに今からそれらを目にすれば嫌でも分かってしまうのだから。


「それでは今からGeofuの世界にお連れしますが、いきなり街に送り出すとNPCたちに綻びが生まれてしまいます。その為プレイヤーは魔物が溢れた大陸から飛空船で避難してきた避難民ということになっています。なのでスタート地点は飛空船からになります」


 オールは避難民という設定はかなり斬新だなと思う。普通のゲームならポンと街に転移させてもNPCは知らん振りだ。本当に国や街を運営しているなら確かにその設定は必要かもしれない。


「ちなみに現在接続しているプレイヤーは7万5千278人です。それだけのプレイヤーが同じ街に存在してしまうと混乱が生じます。ですのでプレイヤーは危険度の低い大小60の都市からランダムでスタートしますのでご了承ください」


 女神リーベが手を前にかざすと扉が現れその扉がゆっくりと開かれていく。


「では行きましょう! あなたに新たな才能と良き冒険を!」


 オールは唇をギュッと噛み締め、踏み出すのだった。


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