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第二話 チュートリアル1

 想像していたものとは違う光景に櫂花は少し肩を落とした。それもそのはず目の前にあるのはひたすら白、真っ白な空間だけなのだ。


『Geofuの世界へようこそ』


 突然背後から話しかけられ櫂花は思わず身構えた。振り向くとそこにはホロディスプレイがあった。通ってきたはずの扉は無くなっている。


『プレイヤーネームを入力してください』


 櫂花は迷うことなくいつも使っていたオールというプレイヤーネームをホロキーボードに打ち込む。これは自分の名前、櫂花の櫂を英語にしたものだ。鈴音に付けられたあだ名でプレイヤーネームとしても使用している。


『プレイヤーを作成します。外見が変更されます。』


 光に包まれ、今まで着ていた白いワンピースがグレーのチュニックの上に上下の皮鎧になっていた。肩まであった黒髪も胸元まで伸び、黒と銀が折り重なった髪色になっていた。


『チュートリアルを開始します。世界の管理者により進行されます』


声が聞こえた後ホロディスプレイが消失し、神々しい光の中から白い翼が生えた人形のように美しい女性が現れる。その姿は明らかに現実離れしているはずなのに、オールには妙にリアルに感じた。まるで物凄く完成度の高いコスプレイヤーだ。


「私はこの世界をまとめる六女神の一柱リーベです。チュートリアルの進行とGeofuの世界の説明を任されています。チュートリアルを開始してよろしいですか?」


 突然現れ女神リーベと名乗った女性をまじまじと見つめるオール。何処と無く女神が恥じらっているのは気のせいであろう。


「あ、はい。お願いします」


「え〜、えと、そうですね。まずはMenu(メニュー)の開き方とメニューウィンドウの説明から行きますね…」


「意外とお茶目なんだ」


 オールは目の前の女神をキャラクターだと認識していた。しかし、この世界にはキャラクターは存在しないのだ。


「い、いやお茶目だなんて、見つめられてちょっと動揺しただけですよ!」


「え!?」


 まさかこんなどうでもいいコメントに対して返答がくるなどオールは思ってもいなかった。考えを察したのかリーベは少し意地の悪い笑みを浮かべる。


「私はNPCですがちゃんと会話できますよ!」


 オールはNPCと会話できることを聞いてはいたが半信半疑だった。まさか現実世界で人と話している時と同じように会話できるとは予想以上だった。


「では気を取り直して。<Menu>と唱えてみてください」


「あ、め、<Menu>」


 そう唱えるとメニューウィンドウが表示される。メニューウィンドウは縦長で、そこには上からStatus(ステータス)Skill(スキル)Equipment(エクイップメント)Inventory(インベントリ)Log(ログ)Map(マップ)Friend(フレンド)Setting(セッティング)とありかなり一般的だ。


「はい、視界にメニューウィンドウが現れましたね? 頭の中で唱えてもMenuは開かれます。では一番上のStatusをタップしてください」


 言われた通りStatusの項目をタップする。すると新たなウィンドウがポップする。


<Name>オール 

<Sex>Female

<Race>全能種(Quarter Human)

<Age>18


<HP>F

<SP>F

<STR>F

<VIT>F

<AGI>F

<INT>F

<DEX>F

<LUK>F




 ステータスウィンドウにはプレイヤーネーム、性別、種族、年齢、ステータスの順に表示され、右横には自分の外見が表示されている。年齢が18というのはおそらく設定年齢であろう。種族については今の所はっきりとは分からない。改めてオールの外見を見てみると顔は現実世界の櫂花を少し幼くした様相である。瞳が青と赤のオッドアイなのは種族的特性なのかもしれない。


「各種ステータスにはランクが存在します。ただ、種族やステータスの詳細ついては世界に降り立ってからご自身でどんな効力が発揮されるのか確かめてください。Skillは別個で説明しますので置いておいて、次にEquipmentですが……」


 その後の説明は要約するとこうだ。

Equipment   現在何を装備してるか確認する項目。

Inventory    常時装備されている魔法のポーチ入っている持ち物を表示する項目。

Log         Skillを獲得した際などにアナウンスが流れるそうでそのアナウンスを記録する項目。

Map      現在位置周辺を確認できる項目。

Friend      フレンドやパーティーの登録や解除、確認ができる項目。

Setting     ログアウト、メニューウィンドウの色の変更、プレイヤーの報告、利用規約の確認ができる項目。


「ここまで駆け足で説明いたしましたが大丈夫ですか?」


 他のゲームと共通するものが多かったためオールはすんなりと理解できた。


「はい、大丈夫です」


「ではSkillのチュートリアルに移りますね。準備が必要なので少々お待ちください」


 女神リーベが右手を前に出すと鮮やかなエフェクトが発生し、目の前に武器棚と白いマネキンのようなものが現れる。


「準備完了です! Skillの項目をタップしてください」


 Skillをタップすると、Support(サポート)Skill(スキル)Production(プロダクション)Skill(スキル)Weapon(ウェポン)Skill(スキル)Assault(アサルト)Skill(スキル)の4つの欄が表示される。今の所全て空欄だ。

 

「前提としてSkillとはあなたの中にある才能を可視化したものだと思ってください。獲得できるかはあなたの才能次第って事ですね」


 これはGeofu~Awakening of talent~の真骨頂といってもいいだろう。Skillを振って得る訳ではなく、特定の獲得条件を満たせば必ず獲得できる訳でもない。全てはプレイヤーに内包された才能によって決まるのだ。


「各種説明に移りますね。まずはSupportSkillです。SupportSkillとは常時発動する補助や特殊効果があるSkillです。特定の条件を満たせば才能があれば取得できます」


「なるほど、パッシブスキルってわけね」


「パッシブですか……まぁ、Skillによって補正が発生するという意味合いではそうですかね」


 聞き流してもらってよかったのにと思うオールである。変なところで機械的な面を見せるNPCだ。


「あぁ、はい」


「ごめんなさい、次に行きますね。ええと次はProductionSkillです。これは物を製作するためのSkillです。何種類かありますがプレイヤーは一つしか獲得することができません。どんなものがあるかは、これも世界に降り立ってから確認してください」


 生産系のスキルがなぜ1つしか得られないのか疑問に思うオールであったが、答えが出るはずもなく次に行くよう促す。


「あとはWeaponSkillとAssaultSkillですが、ご自身で体感していただきます。そのために基本武器とホワイトモデルを用意しましたので」


 そう言って女神リーベは白いマネキンを指差す。


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