表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

現実恋愛、きっとシリーズ。

子供の頃に戻る、だけどきっと僕は君を幸せにできない。

ある日、仕事終わりの俺はある事を思った。


子供の頃に戻りたい。


そんなことを思ったのだ。



俺の名前は『笹原 寿幸(ささはら としゆき)』、今年で二十六歳。


俺はつまらない大学生活を過ごし卒業して、今もつまらない毎日を過ごしている。



卒業後俺はすぐに普通の会社に就職した。


そこからは毎日同じ事の繰り返し。



職場で毎日毎日上司に理不尽にキレられ、帰ってきて飯を食う。



最近変わったことと言えば、高校から付き合っていた彼女に振られたのだ。


彼女は俺に不満を抱いていたらしい。


俺が就職してからはメッセージだけのやり取り。


会うのは一ヶ月から二ヶ月に一回、俺が気が向いたときだけだった。



そんな俺に彼女は嫌気が差したらしく、別れることとなった。




そんな時に俺はふと思ったのだ。


『子供の頃に戻りたいと。』



昔の自分は何になりたかったっけ。


昔の自分はどんなやつだったっけ。



・・・思い出せない。


だけど、毎日が楽しくて、新しくて、ワクワクしていた。



その感情は今、何処へ言ったのかなぁ・・・。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



気がつくと、俺は実家へ居た。



「なんで実家にいるんだ・・・?」



そんな疑問を抱いたが それと同時に、懐かしい匂い、懐かしい音を感じた。



ボーッとしていると、誰かが歩いてくる音が聞こえた。



「としゆき! 遊ぼうぜ!」



その言葉を言った少年の顔を見て、俺はここが昔の夢の中であることに気付いた。



なぜなら彼は高校の時に喧嘩別れした相手、『柏田 伊吹(かしわだ いぶき)』だからだ。


そんな彼が、子供の時の姿のまま自分の目の前に現れるなんてありえない。



そして俺が唖然としていると、また一人女の子が現れた。



「としゆき! どうせ暇してるんだから私たちに付き合いなさい!」



・・・あぁ、懐かしいな。


彼女の名前は『小泉 夏菜(こいずみ なつな)』、俺の元カノだ。



そんな夏菜の子供の時の姿に俺は・・・。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



部屋中にアラームの音が鳴り響く。



ずいぶん懐かしい夢を見たな。


仕事、行かなくちゃな。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



「お前はいつも同じ失敗ばかりだな笹原!」



今日もまた、部長の説教を受ける。


部長の名前は『金子 浩二』。


俺が務める職場の部長だ。



「指摘しても治らないとなれば、もうクビにするしかないか?」


「あぁ・・・、すみません。」



ハァ・・・、いつも少しミスしただけでこれだ。


ミスしなかったらしなかったで何も言わないくせに。



・・・部長の子供の頃はどんな人だったんだろう。



そんなことを思うと、目の前が朦朧とし始めた。


そして、俺はそこで意識を失った。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



目を覚ますとそこはさっきと同じ夢の場所に自分は居た。



また同じ夢だ。


ボーッとしてると、伊吹が俺に言った。



「としゆき、ボーッとしてないでいくぞ!」



・・・そうだな。


夢の中でくらい、子供らしく振る舞ってもいいよな。



「あぁ! いこうぜ伊吹!」



そう言って俺は伊吹に付いて行くと、あることに気がついた。



さっきまで居た夏菜が夢から消えている。


そこにどこか不信感を覚えたが、夢の中のことである為それ以上は考えなかった。



そして 伊吹は俺をいつも遊んでいる公園に連れて行くと、そこには自分より大きな子どもたちが居た。


その子供達の一人が俺達をみるとすぐに近寄ってきて言った。



「おい! ここは金子 浩二様達の縄張りだぞ!」



金子浩二・・・? 何故部長がここに居るんだ?


そんな事を考える間もなく、俺と伊吹は複数の上級生たちと取っ組み合いになった。




そして、上級生達から俺達は逃げ、家へと帰った。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



・・・目が覚めると、そこはまだ夢の中だった。



そして俺は気になった。


何故昔の自分の夢の中に金子部長がいるのかを。



そしてそんなことが気になった俺は、昨日金子部長が居た公園へと向かった。




公園へ着くと、そこには金子部長もとい子供部長がいた。


いや、一人で公園に居たのだ。


そんな一人の子供部長に俺は話しかけた。



「ぶちょ・・・。 お兄さん、なんで今日は一人なの? 昨日の友達は?」



そう俺が言うと、子供部長は怒ったような顔で言った。



「うるさい! アイツらは友達じゃないんだ!」



部長は、昨日までの友達と喧嘩をしていた。


多分、皆部長のあの偉そうな態度にイラついたんだろう。



そんなことを思った俺は、部長に言った。



「じゃあお兄さん! 僕と遊ぼうよ!」



下心のない、子供の無邪気な心でそう言った。


そうすると、部長は俺に言った。



「・・・しょうがねえな! ちょっとだけ遊んでやるよ!」



それから俺と部長は、子供らしい遊びをして夢の中で遊んだ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



目を覚ますと、俺は職場の屋上に居た。


そして、横を見るとそこには金子部長もとい大人部長が居た。



「金子部長・・・!」



思わずびっくりした俺は、マヌケな声でそういった。


そして、驚いた顔をしている俺に部長は言った。



「なんだよ急に・・・。 で、今日の夜食事にでも行くか?」



その時の俺は、まだ何故部長が自分に親しそうに食事に誘ってくるのかがわからなかった。




そして、仕事終わりの夜。


俺は部長にしぶしぶ付いていくと、居酒屋へとはいっていった。


そして、居酒屋に付いて注文するなり、部長は俺に言った。



「最近、無理しすぎじゃないか・・・?」


「えっ・・・?」



何故か、いつも俺に厳しい部長が自分に優しくなっていた。


本気で心配そうな表情で、本気で心配そうな声で。


そして、俺は部長に言った。



「部長・・・。 どうしたんですか?」



そう言うと部長は俺に言った。



「部長は社内だけでいいって。 俺たち、昔からの古い付き合いだろ。」




その時、俺は気付いた。


あの時の夢が、現実化していることに。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



それから、俺と部長の関係は良好。


あの夢が現実化した事はまだ驚いている。



何故あの時、部長が夢に出てきたのか。


そんな事に驚いた。



そんな事を考えながら、俺が仕事終わりの帰り道。


いつも通り飯を買いに行くと。



「・・・寿幸か?」



自分の名前を確かに呼ばれた。



そして自分の名前を呼んだのは、伊吹だった。



俺は伊吹の顔を見た瞬間、少し気まずくなった。



そして、俺は伊吹に言った。



「うん 伊吹久しぶり、それじゃ。」



そういうと、伊吹は俺の肩をつかみ言った。



「待てよ! ・・・あの時はその、ごめんな。」



伊吹のその謝罪にはきっと意味なんてなかった。



なぜなら俺と伊吹が喧嘩した理由は、俺が悪いのだから。



「別に、それじゃ。」



そういって、俺はその場から去ろうとした。


なぜこんなに雰囲気が悪いのだろう。


子供の頃はもっと、ずっと・・・。



そんなことを考えると、また意識が朦朧とした。


そして、俺はまた意識を失った。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



目を覚ますと、そこはまた子供の頃の自分の夢だった。



そして俺は思った。


変えられるのなら、過去を変えれるのなら。


もしかしたら、伊吹と俺が仲良くできた世界を作れるかもしれない。



そう思った俺は、すぐに伊吹の家へと向かった。




そして伊吹の家に着くと、俺は伊吹を呼んで近くの河原へと連れて行った。



そこで俺は伊吹に話した。



「なぁ、伊吹。」


「なんだよ。」


「俺、夏菜のことが好きだ。」


「・・・。」



そう、俺と伊吹が喧嘩別れした理由は。


俺が伊吹を裏切ったのだ。



伊吹は昔、俺に夏菜へ抱いてる感情を打ち明けた。


そして俺は応援し続けたのだが、途中俺は気付いた。



自分も夏菜の事を好きだということを。



そして俺は知っていたのだ。


夏菜が自分に好意を抱いていることを。



そして、俺は夏菜に告白し無事付き合うことに。


しかし、伊吹はそんなクズな俺と喧嘩をし絶縁。




そうなるのであれば、自分から先に行ってしまえば・・・。


そんなずるい感情で俺は伊吹に言った。


そうすると、伊吹は言った。



「俺も夏菜が好きだ!」



知っている。


だけど驚いた。



面と向かって俺に対して、伊吹は自分も好きだと言い切ったのだ。


そして俺は伊吹に言った。



「じゃあ、恨みっこ無しでの勝負だな!」



そう言うと伊吹は子供らしい無邪気な笑顔で俺に言った。



「あぁ! 恨みっこなしだ!」



―――――――――――――――――――――――――――――――――



そうして目を覚ますと、俺はコンビニに居た。


変わっていないのか?とも思ったが、ある事に気がついた。



そう、いつもより多くビールを持っているのだ。


そして、レジの前で待っていると。



「寿幸! お前はいつものチューハイでいいよな?」



そう伊吹が言った瞬間俺は確信した。



「あぁ、いつものでいい。」



―――――――――――――――――――――――――――――――――



それから伊吹と俺の関係も良好。



そして、あることに気がついた。


夏菜と俺の関係は最初と変わっていないらしい。



そんな時、俺はあることを思いついた。



そう、夏菜と俺の昔を変えようと思ったのだ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



条件はわかっている。


過去を変えたい人の前に居て、そしてその人の幼少期の事を考える。


そうすると自分がその人との過去を変えられるということを認識した。



そして今日、俺は夏菜の家の前に来た。


震える手で、インターフォンを押す。



しばらくすると鍵を開ける音が聞こえた。


そして、夏菜がでてきて言った。



「どちら様で・・・。」



その瞬間、夏菜の『高校時代』のことを考える。



そうするといつものように、目の前が朦朧とする。


そして、意識を失った。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



無事。


高校の頃に戻った俺は、早速夏菜の元へと向かう。



夏菜の家へと向かう途中、偶然にも伊吹に合う。


伊吹は泣いていた。


そして、涙ながらに伊吹は言った。



「俺は、ダメだったよ。 次はお前だ! 頑張れよ寿幸!」



そう言って、伊吹は去っていった。


その意味は俺はしっかりと理解した。


そして、俺は夏菜の元へと向かう。




夏菜の家に着くと、俺は夏菜を外へと誘った。


夏菜を家から連れ出すと。


俺は途中で立ち止まり、夏菜に言った。



「夏菜、俺はお前のことが好きだ。」



二度目の告白だった。


夏菜に対する告白。



そして、夏菜は言った。



「私も、寿幸が好き!」



そこで夢はもちろん終わらない。


この時点で過去が変わるとは限らないし。


何より、『一番』の問題が解決していない。




そして、俺は夏菜を河原へと連れて行った。



河原に着くと、夏菜は俺に言った。



「まさか、寿幸から告白してくるなんてね・・・。」



そういう風に言われることも俺は知っていた。


そして、俺は言った。



「なぁ、夏菜。」


「なに? 寿幸。」


「俺、きっと夏菜を幸せにできないよ。」


「え・・・?」



夏菜は戸惑った。


そして続けて俺は言った。



「俺、多分本当に夏菜の事を好きじゃないんだと思う。」


「・・・。」


「だから、将来的に絶対に幸せになれない。」


「なんでよ・・・。」


「だからな? 夏菜・・・」


「なんでなの!?」



夏菜は響く声で言った。


そして。



「じゃあなんで告白してきたのよ・・・。」


「ごめん・・・。」


「ごめんで済まされないから・・・、私、昔から寿幸の事好きだったのに・・・。」



知っている。


夏菜は高校時代、その話を明るく話してくれた。


だけど。



「だけど、俺は夏菜を本気で愛してないと思う。」


「・・・。」


「きっと、伊吹に対する競争心とかそういうものだったんだよな。」


「・・・最低だね、寿幸。」



そう言って、彼女は俺の元を去っていった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



目を覚まし、俺は携帯の連絡先を見た。


すると連絡先には夏菜と、そして伊吹の連絡先が消えていた。



二人は幸せに暮らせて居るだろうか。


二人はちゃんと結ばれただろうか。



そんなことを考えながら俺はいつものつまらない日常に戻る。

お読みいただき、ありがとうございます!



もしよければ、こちらの作品もどうぞ!


一生届く事の無い想い、幼馴染はきっと近くて遠い。

https://ncode.syosetu.com/n0866el/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ