第2霊 厄介少女
やぁどうも。あなたがどういう経緯でこの小説を開いたのかは分かりませんがとても感謝します!
あれ?これ一話の前書きで書くべき?まぁいいや
少ない語彙力と貧弱な文章力で構成されているこの稚拙な小説を読んで頭が悪くなっても一切の責任は負いません。
それでも読んでくださる方に楽しんで頂けるよう頑張ります!
それではどうぞ!
やぁ!読者の諸君!前回は少女という単語で釣ってしまって申し訳ない!
え?釣られてないって?あははははは
まぁそういうな!
………
いるのかどうかも分からない読者に語りかけるのはやめて、今の状況をざっと説明しよう。
現在時刻は昼を通りすぎ、雲ひとつない快晴の空には今日も元気に笑顔を晒しているお日様がまだカーテンのないこの部屋に容赦なく日光を降り注いでくれいている。
気温も暖かく、非常に心地よい。
素晴らしい目覚めだ。
この異常がなければ…
その異常とはまず、一人暮らしであるはずの俺が誰かに起こされたことと、太陽の光に輝くこの部屋で、俺の目前で何故かコンビニ弁当を貪っている昨日の件の幽霊少女のことである。
首にはあのネックレスもかかっていた。
とまぁ俺が置かれているこの状況する意味不明だが、この状況になるまでもまさに意味不明である。
俺は朝、この少女に起こされた。
俺はこの少女に至極当然の質問をする。
「なんでお前はここにいるんだ?昨日成仏したはずだろ?」
至極当然と言ってしまったが、一般の高校生(予定)が本気でこんな質問をすることなんてまずないだろうなと今では思ったりする。
「わかりません。気がついたらここにいました。自分もおかしいなと思ったので、すぐにあなたを起こしました。」
気づいたらここにいた便利だなおい!
しかしどうしよう。
昨日まであんなに美しく見えていたこの少女の笑顔を見ていると、俺の勘がこう叫んでいる
これから面倒なことになるが、逃げることはできないよ☆
と。
昔から俺の嫌な予感というのは良く当たった。
小学校の頃は友達と下校中、いつも通る裏道みたいなのがあった。
ある日また友達とそこを通ろうとするとなにか嫌な予感がしたため友達に今日は普通に帰ろうというと友達は
「なんだ?俺はここを通らないといけないからな!俺は行くぜ」
とか小学生特有のアホな発言をしてモソモソと裏道に入っていたのだ。
俺はその後普通に帰ったのだが翌日学校に行くと友達は大分しょげていた。
なにがあったか聞くと
裏道を通っていたところたまたま裏道を掃除していたおじさんにみつかり、コテンパンに怒られたそうだ。
後に知ったことだがあそこは私有地で立ち入り禁止の看板もあったそうだ。
今では[はいってはいけません!]と小学生でも分かるように書き換えられ、より目立つところに看板が置かれた。
そんなことが今までの人生で多々あり、俺は自分の勘を信じきっている。
その勘が面倒なことになり、逃げられないというのだからきっとそうなるのだろう。
そんなことを思いながら俺は絶望にも似た感情を含んだ眼差しで少女を見つめていると
「なんですか?私のことを見つめて…あ!もしかしてまだ私のことを結衣さんという方だと思ってますか?違いますよ。私は夕華という名前です」
その名前を聞いてギクリとした。
夕華ではなく結衣の方に。
どうやら寝言で名前を呼んでしまっていたらしいその結衣という女性の説明をしよう。
結衣さんは俺の中学時代の中の良い先輩……の彼女さんである。
俺がなんの計画もなく東京へ来て、なんとかなると高を括っていたのを後悔して
今日は野宿か…この東京で?
とか考えているときたまたま先輩に出会い、家に招いてもらったのだ。
結衣さんのことは高校の時代から知っていた。2人が付き合っていることも。しかしただ1つ知らなかったことは
2人が同棲していたことだった。
先輩達は元々親同士も大変仲が良く、高校生になるときには親が勝手に同棲生活の段取りを組んでいたようだ。
かわいい幼ななじみとかもちろん俺にはいません。
このチーターめ…!
街をフラフラしていた理由を先輩に説明すると
「お前は俺の弟みたいなもんだ!なにかと貸しもあるし。好きなだけ泊まってけ!」
と言ってくれた。涙を流してしまった。
このチーターめ!!
そんなわけで、俺はラブラブカップルの家に一週間ほど住むことになったわけだが、
そう考えるだけで肩身が狭かった。
結衣さんは文句の付け所のない容姿に、面倒見がよく、容量もよければ性格もいいと来た。恋愛小説ならメインヒロイン間違いなしだろう。
その相手の主人公約が先輩なのが納得いかないが…
このチーターめ!!!
そして、同じ家に住んでるとどうしてか意識してしまい結衣さんに対し、恋とは違う複雑な感情を抱いてしまった。
それからたまに夢に出て来てしまうのだ。
そして今は目の前の少女だ。
名を夕華というらしい。大きな黒い目に、太陽の光を浴びると赤くも見える真っ黒な髪。前髪は顔全体を隠せるぐらいに伸びているが今は片方に分けているため顔がしっかり見えている。ただ長すぎて片目が見えない。
服装は昨日と同じだろうが、昨日とは違い汚れひとつない真っ白なワンピース。
血色のいい白い肌。
一言で言うと
全く幽霊に見えない!
ただのかわいい15歳の少女である。
おい待て!俺はロリコンじゃない!!
諸君らはこの少女とのラブコメを期待しているんだろうが、それはない!
相手はもう死んでいるんだ。たとえ万が一、億が一にこれがラブコメとしても彼女は対象にならないはずだ。
「あなたは?」
「は?」
「あなたの名前を教えてくれませんか?」
あぁ、まだ名乗ってなかったのか
「俺の名はチンギス・ハンだ」
「………」
「………」
「チ、ちんぎすはんさんですね」
少女が困ったように笑った。
おいおいおいおいおいおい。
「ちょちょちょちょちょちょと待て!」
「な、なんですか?」
「お前チンギス・ハンしらねーの?」
「あなたの名前じゃ…」
「違うわい!!!」
チンギス・ハンとはモンゴルの英雄である。広い地域で行われていた民族戦争を終わらせ、統一した人だ。モンゴル版豊富秀吉みたいなものである。
中学校まだには習うはずだが。
何故自己紹介でこんなことを言ったのかというと、チンギスハンのファンでもなく、歴史オタクでもなく単に自己紹介が苦手なのだ。
昔から自己紹介をする場ではおちゃらけてさっきのようなことをする。
大体はクスッと笑われるか、しらけるかの二択なんだが…このケースは初めてだった。
「悪かったよ。変なことを言って。本名は金戸 智だ」
「さ、智君ですね?本名ですね?」
「あぁそうだよ」
「智君………」
少女は下を向いて俺の名前を一度口に出し、次にこう呟いた。
「さと君……」
………っ!!
なんだ?!今のはっ!!
さと君と呼ばれた瞬間、頭に何か電流のようなものが走った。
なんなんだ…
「さ、智君と呼びますね?」
今の俺の反応を名前の呼び方に怒ったと勘違いしたのだろう、慌てて言ってきた。
「あ、あぁ」
しかし、本当に今のはなんだろうか。何か思い出さないといけないような…
「あ、あのぅ…」
俺が考えていると少女は申し訳なさそうに
「申し訳ありませんが…その、お腹が…空きました」
………は?
俺はパシられた。幽霊に。
というのが今までの経緯である。長々と書いたが要するに
幽霊に起こされる→幽霊にパシられる
以上だ。
よほど腹が減っていたのか彼女の弁当が割と早く無くなって…
いなかった。
というか全く減っていない。なんでだ?
ちゃんと箸でごはんを口まで運んでいる。
「うっふぅー。ごちそうさまでしたぁ」
たらふく食べた少女は満足気だ。
しかし弁当は丸々残っていた。試しにごはんに触ってみると
ものすごく乾いていた。すげぇ
そういえば聞いたことある。仏壇とかに備えた食べ物が異常な速さで乾燥することがあるそうだ。
ってことは
これからこいつの飯は全部丸々残したまま捨てなきゃならないのか…なんか嫌だな
などと考えていると
「ありがとうございました!満足です」
「ほぅ。そりゃよかったな」
本人は気づいていないのか微妙に上から目線になっている。
ピンポンピンポーン
「誰か来たようですね」
多分親父と引越し会社の人だろう。実家の荷物と家具を今日中にこの家に配置せねばならん。
「はーい」
とドアを開けると、予想通り親父がいた。
親父はオールバックの白髪に太い眉、鋭い目つき、そして無駄にいい体格という厳格な父みたいな風貌だ。
恋愛ドラマとかの「娘はお前なんかにやれん!」とか言ってそうな人である。
しかし本当は
「よぉ!智!元気しとーたか?」
めちゃくちゃ気さくでとてつもなく優しい。俺は本気で親父が怒ったところを一度しか見たことがない。それもその一度とは親父の大切なものを壊したとかではなく、俺が自分の命を軽く投げたときだったりする。
「親父悪いな。わざわざこんな遠くまで」
「なに、お前の元気な顔が見れたら満足じゃ」
とニカっと笑う。笑うと割と愛嬌のある顔になる。
「まぁ、入ってくれよ。あ、皆さん今日はよろしくお願いします」
背後にいた引越し会社に頭を下げる。
「よし、じゃあ失礼するかな。新しい智の家はどんなんじゃ?」
と言いながらリビングまで歩いて行った。
俺は引越し会社に指示を出そうとしたとき、リビングから「おいっ!」と父の声がした。
そしてハッと思い出してしまった。
待て…リビングには…
あいつがいる!
ダッシュでリビングに戻り、言い訳を必死に考える。
「あ、いや、その…そいつは、なんていうかその…えと…あぇ、幽霊っていうかなんていうか」
「幽霊?なんのことじゃ?この弁当箱がか?」
「え?」
そこには少女の姿がなく、俺が食って空になった弁当箱とカピカピに乾いた弁当箱だった。
「なんじゃ、おまえ!これから引越しの作業するんじゃろに?はよ片付けぇ!」
「あ、はい!」
よかった。なにがって?
親父は食べ物を粗末にすることを許さない人だ。俺もそうだ。出された食事は嫌いでもちゃんと食べる。
つまり、この弁当が乾燥しきっているなんてしれたら目玉を食らう。
弁当を片付けようとしたとき
「おい。その乾燥した弁当…」
なにぃ!!バレていた!!!
これはヤバイ!!
しかし次の言葉は意外だった。
「片付けてもいいのか?幽霊さんとやらの食いもんじゃないんか?」
「え?」
まさか…わかるのか?
「さっき幽霊がどうとかいってたじゃろに。お前は男だが弁当2つも平らげるほど食べるわけでもない。つまりその弁当は幽霊の文なんじゃろ?やけに乾いとるのもおかしいしな。なにかあるんじゃろ」
お、恐ろしい親父だ…!!
だが、その感情とともに感動も感じていた。
そうだった。
俺は昔幼い頃に、日々の退屈さから一度親父に「とうしゃん!お化けでた!!」と嘘を言ったら親父は
「そーかそーか…。怖かったじゃろに…よしよし。もう大丈夫じゃ」
と言い頭を撫でてくれたことがある。
その後、親父が本気で住職を呼ぼうとしたので俺は泣きじゃくって謝った。
「そーか。お前はそんなに退屈してたのか…。そうじゃなこの辺はあんま子供おらんしなぁ」
と怒るどころか同情し、後日おもちゃまで買ってくれたのだ。
その後俺は親父にだけは一切嘘をつかなくなった。
つまり
親父は俺の言うことをどんなことでも信用してくれるのだ…
つまり親父は散乱した別のゴミを片付けろと言っていた。
俺は引越し会社が準備をしてる間に手短に話した。
ここが問題物件で格安だったこと、その値段の通りとんでもない目にあったこと。
そして、少女のこと。
「そーかそーか。その子はまだおるんか?」
「いや。今は姿は見えないな。でも多分家にはいると思うよ」
「そーか。よし分かった。はよ終わらせよかいの」
そう言って親父は玄関に向かった。
「親父…ありがとう」
俺は親父の背中に向けて言った。
「おうよ」
先ほどはなんだか感動的な展開になってしまったが今はそれに浸る余裕がない。
次々と家具が運び込まれているため指示を出すのに非常に忙しい。
「あとそれはあっちで、それはここ。それはそっちで、そちはあっれぇ?」
軽くゲシュタルト崩壊を起こしていた。
しばらくして家具の配置も終わり、後はダンボールの中にぶち込まれてる雑貨類を引き出しにしまったりするだけだ。
案外早く終わったな。
もう日は暮れ、外は暗くなっていた。
「それじゃ帰るからな」
「おう気をつけてな。親父。ありがとう!落ち着いたらまた連絡するよ。」
「待っとるわ」
そういって親父は帰った。
リビングに戻ると
いた。しかも荷物漁ってやがる。
「ん?これは?………ふむふむなるほど。智君はこういうの好きなんですか。うーーん。私じゃ胸が足りませんね…あっ」
と自分の胸をペタペタと確かめるように触らながら少女は呟く。本当にペタペタと。
「おまままままままなな何してくれてんの?!!」
慌てて本を取り上げる。
おい!勘違いするな!エ□本ではない!
グラビアアイドルの写真集だ!!ほんとうだ!!
はぁ…はぁ…くそったれ…
ガサゴソ…
はっ!
振り向くと少女が別の箱を開けていた。
「こ、これは……」
少女が薄い本を手に取る。
「そ、そそそそそそれはまじでダメぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
人生で初めて少女に泣かされてしまった夜だった。
第2霊 除霊完了
どうも。読んでいただきありがとうございます。
はっきり言ってこの後の展開が全く思いつかない。今回は伏線とかもわかりやすめに張っておいたのですがちょっと後悔気味ですね。
終盤の物語は大体固まってますが、中がね…w
できれば伏線張りまくって読者が物語の流れを予想できるようにしたいんですね…んで今回はわかりやすく張ったんですが分かりましたか?
察しのいい方ならあの一文だけで物語の真相を掴んでしまいそうですが、どうかネタバレはね?
無駄に意味深なことを言うのは得意なのでこれからもバンバン伏線張っていきたいと思います。
さぁ続き書くぞぉぉぉぉ…
話が思いつかん…泣