魔法少女の付き人
この小説ともう一本の小説の様子を見て、よさそうな方を次回作にしようかと考えています。
魔法少女と聞くと、僕としてはおじゃ魔○だったり、可愛く純粋で健康的な女の子たちが日や悪と戦う少女たちのことを思い浮かべる。
その認識で間違いない。後者は微妙なところではあるが。
そして、その魔法少女たちは実在した。実在してました。普通に女子高生してました。そして、設定もありがち。「セカイガホロビソウダカラー」と謎の二頭身モンスターが、携帯に化けて身を隠してました。
どうして僕がそんなことを知っているのか。
それは……僕が時折彼女たちの戦闘を見守っているからである。
まさか、魔法少女の変身前の姿が僕の友達だったときはちょっとショックを覚えたが……。
そんな僕らの日常は波乱ばかりである。
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春も過ぎ、初夏の匂いが漂うこの季節。
桜の花は散り、緑の葉が新しく桜の木を彩る。
そんな陽気にとらわれて、僕の席は窓際で後ろから二番目の席で寝ていた。
授業中だが、成績は……察することができる。
昨日は僕の大好きな特集があったのでついつい夜更かししてしまったのだ。
「ねえねえ、起きないと当てられちゃうよ」
「ん? 悪い」
後ろから話しかけてきたのは、魔法少女その一。僕の幼馴染である、日向日葵。笑顔が特徴的な女の子だ。一応僕が毎度戦いを観察していることは知らない。知られるといろいろまずいからである。
「そこ、私語は慎め」
「すいません」
やる気のない生徒にも注意を促すあたり、この先生はいい人だと思う。普段は必要最低限真面目を演じていたため、目立ってしまったのだろう。せっかく起こしてもらったのだ。せめて黒板の板書をとっておかないと授業内容が分からなくなる。
僕は、ノートを取り出し、汚い字でノートの板書を写し取っていった。
おかげで授業が終わるころには普通に授業に参加していた。今回の授業が国語でよかった。
最悪原文を読み漁れば内容は理解が可能な教科だからだ。後ろの幼馴染も成績はいいので、教えてもらえばいいのであるが。
「では、今日はここまで」
授業終了のチャイムが鳴り、僕は背伸びをした。
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「日葵! ごはん一緒に食べようよ」
「うん。少し待ってて」
後ろでそんなやり取りをしているのは、日葵と魔法少女その二。月野星。やはりというべきか、パートナーをやっているとお互いのリアルでもつるむことが多くなるらしい。
いや、逆か。お互いよくつるむからこそ、ペアとして魔法少女になるのか。
ある意味性格が対極な二人が、一緒になってご飯を食べようと誘ってるのを見ると、不思議と胸にぐっとこみあげてくるものが……なんでもない。
「ねえ、空君も一緒にどう?」
日葵が僕を誘ってきた。日葵は星の友達であるわけだし、そんな二人の邪魔をするのは正直気が引けるのだが。……幼馴染には頭が上がらない。
誘ってくれているのに、それを断るのは失礼な話ではないかと思う。なので僕は、二人についていくことにした。
そしてやってきたのは屋上。
高い柵でおおわれており間違っても自殺しようなどというバカな考えを持つ奴なんていない。
「くっそー! 死んでやるー!」
もう帰りたい。
「止めなくちゃ!」
「そうね」
「いいじゃん。かまってちゃんは放っておこう。いいことなんて何もない」
「何を言ってるのよ! あんたサイテーね」
「……止めること、できない?」
日葵は僕を見てくる。
不安そうな目で……。
っち、そんな目で僕を見るなよ。やらずにはいられなくなる。
「わかった。あいつを止めればいいんだな?」
「ありがとう」
とりあえず、要望通り僕は自殺志願者の自殺を止めることになった。
「もう嫌だ。死んでやる」
「おーい。死のうとするのは勝手だがでかい声出すな。飯がまずくなるだろ?」
「ああ、ここでも僕は迷惑をかけてしまう……死ぬほかに道は……」
なんだこのネガティブ野郎。相手するのが面倒くさい。
だが、ここで死なれるのも目覚めが悪い。すでにあいつは柵の向こうだし、僕も一応柵の向こうにまで来ている。
「君は包囲されている。おとなしく観念して、自殺を考え直しなさい」
なんか変な言い回しになったが、とりあえず説得を開始しよう。
「僕にかまうなよ」
暗い顔で、そんなことを言い返してくる。
「かまってちゃん。そんなことして楽しい?」
「……いいだろ? そんなこと」
「面倒だからいうけどさ。死ぬ死ぬ簡単にいうやつが簡単に死ねると思ってるの?」
「……」
「一応ここ屋上だけど、下は木なんか植えてある花壇だから打ち所が悪くない限りそうそう即死することはないし、そもそも大怪我をする程度で済むぞ? 正直死ぬならもっと徹底した場所を選べよ」
「あのバカ……! 説得じゃなくて煽ってどうするのよ」
「空君……」
「いや、君がここで死のうが僕には関係ないし、むしろどうでもいい」
「くっ……なら!」
「でも、未練はないな?」
「……」
無言で顔をそらす。
ここまで来たならあとは感情論に任せて押さえればひとまず自殺は免れるだろう。
「お前に面白いものを見せてやる。ちょっと来てみ?」
「?」
そう言って、彼をおびき寄せる。
僕はポケットから文庫サイズの本を一冊取り出す。
「これだ」
「これは……!」
これは現代の日本において文化の一端を担うライトノベル。
可愛い女の子の表紙が特徴的。もちろん萌えない絵もあるが面白いものは面白い。頭の中を空っぽにして読むには最適なものだ。ここで信者を増やしておくのも悪くない。
「どうや? この絵。際どいやろ? 際どいやろ?」
「お、おう。こんなものが日本で売られているのか……こういうのって僕らの歳で買えるの?」
「基本全年齢対象だから何の問題もなし。こんな素晴らしいものがあるのに君はまだ死ぬだなんてぬかすつもりかい?」
すると、彼は僕の両手を包むように握り締め、
「悪かったよ。僕が悪かったよ」
「そうだ。それでいい」
「予想の斜め下を行く解決方法ね……」
「ははは……」
外野。ラノベを馬鹿にするのは許さんぞ。
「とりあえず、屋上に戻ろ……」
「そうはいかないぜ」
「えっ?」
僕らは間の抜けた、声を出した。
屋上のそのやや上。中庭の上空にて僕らを見下ろす一つの影。
「な、何者だお前は……!」
むしろ何度か見たことはあるが、そこは、知らないということになっているので、演技でごまかしておく。
「あ、あいつは……!」
「なんでこんなところに……」
後ろ二人は奇襲ともいうべきこの状況に戸惑っている。
まあ、僕もいきなり学校に保護者が押しかけてきたらびっくりするので、そういう気持ちはなんとなく想像できる。
「さあ、お前の暗闇を拡大しろ!」
そういって、黒いビームみたいなものを両手からだし、僕の隣にいた男に直撃する。
痛そうな顔を見せないが、痛くないのだろうか。
そんなことを一瞬頭によぎったが、そんなことよりこの状況が僕にとってかなりまずい。
僕柵の外だから落とされたら大怪我するんじゃないかな……。
「ウオオォォォォォォォ!」
自殺志願者だった少年は、僕の近くで大きくなり、屋上の金網をぶち破って屋上に侵入する。その隙間から逃げようかと思ったが、巨大化した彼が邪魔でやはり通れない。
邪魔だな。
「グオォォォ!」
そんな咆哮とともに、厚さ一メートルはあろうかという巨腕が振られる。普通の人間が当たったら間違いなく大参事なレベルだ。
「いくわよ! 日葵!」
「わかったよ! 星!」
なんか、二人が空気だな。早く対応してこいつを倒してほしい。
そんなことを思って、目をそらしていたからだろうか。
振り下ろされた巨腕が僕の近くにさく裂し、僕は屋上から落とされた。
そして、屋上ではまばゆい光が放出されるのが見える。
そう、二人が変身したのだ。
観察開始だ。
僕は、受け身をとって、花壇の土に着地する。
けがはない。彼女たちが特別であるように、彼女たちが特別ならばその僕も特別になることができる。基本は観察だ。僕の仕事は今はそれ。
校舎内でも騒ぎは拡散したらしく、正面門から、人が飛び出してくる。
僕はその中を通り、自分の教室へ向かう。
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轟音が教室内へ響く。
この二つ上の階である屋上で二人が戦っているのだろう。
ラストの必殺技は見届けなければ……そう思い、急いで荷物の中からフード付きの上着を取り出す。正体を隠すためのものだ。
それを着て、僕は隣の校舎の屋上へ向かうことにした。
フードは深くかぶり、間違っても正体はばれないように。これは、ルールだ。
僕の役目は、今は観察。そしていざというときのために備えておく。
向こうの屋上で、彼女たちは戦っている。時に炎を、時に雷を杖から放つ。
だが、やはり十メートル近くも行く巨体で人間だと再生能力が強いのか致命的な傷は与えられていない。
いや、彼女たちが本能的に人間を傷つけることを恐れているからか。
そういう意味では敵の目の付け所はよかったのか。
僕は敵が何者かは知らないし、何が目的かは知らない。
だが、僕は一つの力を託されただけ。一つの声とともに。
「さて、そろそろかな」
彼女たちは、やはり手加減のない存在に手加減して戦っている結果はボロボロだった。
肩で息をしているし、何より脚にきているのか足がふらついている。
だが、敵はやはり手加減せずその大きな両腕を振り上げる。
あれでつぶされたら、さすがに彼女たちと言えど、本当にタダではすみはしないだろう。
じゃあ、助けに行きますか。
両足に力を入れて、飛び立つ。
向こうの校舎とこちらの校舎の距離は約二十メートル。
『間違っても人間の力で飛び越えられるほどの距離ではない』。
そんな距離を軽々と飛び越えて、あの巨体に襲い掛かる。
「うおぉぉぉるあああ!」
全力で体をひねった後ろ回し蹴りをお見舞いする。もちろん被ったフードははずさないように。
「んー。初めてだから加減が分からないな……」
「あんた……誰?」
魔法少女たちは、僕に声をかけてくる。今の襲撃で声を出してたと思うけれど、気が付かないのかこいつら馬鹿?
「初めまして、俺は……フードマンとでも名乗っておくよ。名前は次回までに考えてくる」
「次回がそもそもある未定よね?」
「メタ発言すなし」
とりあえず、僕は倒れた巨大な人間を見る。
正直、さっさとこいつを助けたい。僕のお友達だ。助けるためになら。
「こいつをぼっこぼこにすれば、問題解決か」
「ちょっ、そいつ人間よ! 殺すつもり!?」
「ボロボロにしないと解呪できないんだろ? なら、それだけだ」
「ならって……」
「甘い。魔法だかなんだか知らないけれど、勝手に人の世界で暴れてんじゃねえよ。俺は、この世界の守護者。ほかの世界からやってきた住人が勝手に侵略しに来たのか、何かを追ってきたのかは知らないけれど前者なら協力する。後者なら、今すぐ、敵をぶっ潰す」
「とりあえず、そんなことはどうでもいい。早く終わらせるぞ」
「ねえ、ちょっと!」
「物理攻撃は俺に任せろ。援護や遠距離攻撃はそちらに任せる。一分でけりをつけるぞ」
「ね、ねえ?」
「なんだ? さっさと終わらせたいんだが」
早くしないとキャラがぶれる。ぼろが出る前にさっさと終わらせたい。帰りたい。
「できるだけ。ケガさせないであげて?」
「わかった。善処しよう」
友達に致命傷を負わせたくないというのが本音だ。言われなくてもそうする。
「最悪、魔法で直すから」
あ、そういうご都合主義はあるんですね。さすが、魔法少女。
「じゃあ、パンチ!」
起き上がった巨体の首筋に、パンチを食らわせる。
本気でやるとあいつの頭が吹っ飛びそうなのでできるだけ、手加減した。最初の幅跳びもそこまで力を込めたわけではない。魔法少女たちもきっとこれくらいの芸当ができる。
女の子の恥じらいということか……。
「じゃあ、ラストスパート!」
「わかった!」
二人の合図とともに、魔法の杖が光りだす。
あれは、敵を浄化する魔法……だろうか。
では、そろそろ逃げておこう。これ以上いるとばれそうで怖い。僕はそのまま屋上から飛び降りて校舎の中へ入り急いで服を着替えて、ちょっとだけ力を使って僕は逃げ出した。
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ことの顛末。
結局敵の足跡はつかめませんでしたまる
もう、さっさと消えろよ。僕こんな力いらない。日常生活でうっかり使わないようにしてるんだよ。
「はあ、僕だけ不幸な目に遭ってる気がするっちゃ」
「何の真似してるの?」
「いいだろ? 別に」
「いや、まあいいけど」
日葵は相変わらず元気そうだな……。
一応僕は彼女が魔法少女だなんて知らないし、僕がフードマンであることは向こうも知らない。よほど確定的な証拠がない限り僕がフードマン(仮)であることはまずばれない。下手したら痛い子扱いを受ける。
「魔法少女……ね」
「何か言った?」
「いや、何にも」
「そう……」
魔法少女はある意味小さい頃の憧れではあったけれど……意外とうれしいものではない。
「今日、勉強教えてくれない?」
「うん。いいよ」
正体を明かすのは……まだしばらくは先だろうか。
すいません。不完全燃焼さを感じたと思います。
この小説は思いつきを短時間で形にしたものなのでぶっちゃけ設定はそこまでありません。
なので、主人公がなぜ力を手に入れたのかわからないと思います。
まだ試作段階ということと、もしれんさいできたらのプロローグというかテロップみたいなものだと思います。
魔法少女はそこまで詳しくないですね。プリティでキュアなあの子たちは魔法少女にカウントしていいのでしょうか?




