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第三話「天国への階段(EX-Tension)」 アバン、OP、Aパート

 人類が超光速航法を確立してから、ほぼ一世紀が経過していた。

 しかしながら奥ゆかしい人類はそれを以て、

「人類は銀河系に進出した」

 とは宣言しなかった。

 行政首都ロプノールを起点として半径三日ほどの行程でたどり着ける宙域。つまりは人類の生存圏はおおよそ一週間という行程の中に収まっていることになる。

 それでもA級航海士――概ね直線バカ――による最大到達距離を基準にしてはいるのだが。


 ――誰が呼んだか“一週間の世界ア・ウィーク・ワールド


 W.W.97


 それが人類の“現在いま



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 ブルネットの豊かな巻き毛。

 綺麗な青い瞳。

 少し野暮ったいが――だからこそ純朴な雰囲気を残した――海鮮物を主に扱う食料品店の看板娘は満面の笑みを意識して浮かべた。

 何しろ相手は上得意中の上得意。

 両手で余るほどに愛想よくなれる理由を探すこともできる。

「はい! いつもありがとうございます! 今日もロブスターですよね? 入荷した分は別にとりわけさせてもらってます」

 語尾にハートマークをサービスしたいぐらいの気分ですらある。

「今日は五尾でよろしいですか?」

相手はこっくりとうなずいた。

 これについては確認するまでもないのだが。

 看板娘はいそいそと最大サイズの紙袋を用意して、ボイルしたロブスターを詰め込んでいく。

 実際のところ、この惑星「カルキスタ」で海鮮物という奇妙な代物が存在するはずはないのだ。

 このカルキスタはレアメタル――AD時代の呼称の名残であるが――の鉱床が豊富で、特に宇宙船の外壁素材として有益なモリブデンの産出量が豊富なことで知られている。

 が、そういった豊かな鉱物資源の代償としてか、この惑星には海と呼べるほどの水たまりが存在していない。

 もちろん地球化テラ・フォーミングの際にそういった部分に手を加えられているが、それは主に工業用水としての価値を期待されてのものだ。そこで食用生物を養殖しようという発想は――さすがにない。

 そのため食料品の多くは他の惑星から運搬に頼る部分が多く、海鮮物に至っては嗜好品と言っても過言ではない状態だ。

 カルキスタの位置は、行政首都ロプノールからはおおよそ二日。

 辺境というほどではないが、マクロ的な意味でさほど交通の便が良いわけでもない。運搬費用に因って自然とそういった嗜好品の類は値段も高くなるという寸法である。

 その嗜好品を、この上得意の客は頻繁に買いに来るのである。

 最初の内は現金という、面倒なもので買いに来ていため多少構えていた部分もあったが、最近はチャージされたカードからの支払いと、ごく常識的な手段に切り替えてくれたために、ますます好感度上昇中だ。

 受け取ったカードから、ロブスター五尾分の代金をマネーリーダーで受け取る。

 まったく値引きを頼んでこないのも、この客の美点である。

 もっとも、これだけの上得意ともなれば喜んで応じて、細く長くお付き合いしていきたい――ということはもちろん口にしない。

 看板娘が奇妙に思うのは、カードの残高が前に見た額とぴったり同じということだ。

 この客は、ロブスター以外の買い物をしないのだろうか?

 もちろん、それも尋ねたりはしない。

「お待たせしました~」

 万感の思いを込めて語尾を伸ばし、ロブスターの詰まった紙袋を両手で抱えて看板娘は上得意に差し出す。

 相手は起用に左手一つでそれを受け取り、空いた右手でカードを受け取る。

 洗練されたやりとりだわ、と看板娘は心の中で自画自賛した。

 上得意は早くもよだれを垂らしそうな表情を浮かべているがそれは気にしない。

 むしろ、そんな表情も可愛く思えてくるお金の魔法。

「ありがとうございました! またのお越しをお待ちしております!!」

 ――念を押さなくても来るには違いないが。


 紙袋を抱えた男は店が面していた大通りから、すぐ脇の路地裏に潜り込む。

 一応は清掃の行き届いた大通りとは違って、この星では一歩裏側に潜り込むと一気に雰囲気が変わる。

 そもそもカルキスタでは恒星の光はぶ厚い雲に遮られる天候状態がデフォルトだ。

 まず、一気に薄暗くなる。

 路地裏ではその暗さに紛れ込むように、ゴミが転がり、野良犬や野良猫たちが野生を取り戻して闊歩している。

 老朽化の始まったビルの壁には当然の如く落書き、そしてアングラなポスター。天国への階段(EX-Tension)で活動する地下アイドルのライブ通知。

 全くの混沌カオスだ。

 男はそんな路地裏を数えきれぬほど角を曲がり、廃ビルにしか見えない薄汚れた賃貸ビルの裏手にたどり着いた。

 勝手口のドアを開け、階段を上り二階へ。

 そして鍵のかかっていない扉を開け、ようやくのことでねぐらにしているらしい部屋にたどり着いた。

 部屋の中は事務所用の賃貸スペースで、なおかつ家具が全くないので生活臭が何もない。

 窓から一番離れた隅にハンモックが吊してるだけだ。

 いや――生活臭はある。というか臭いそのものであるが。

 何の臭いかは言うに及ばずである。

 男は大事そうに紙袋をハンモックの懐に抱かせると、早速一尾取り出した。

 二つに割って大口を開けて――


 ――男の左腕が震える。


 忌々しそうに、その時計を確認する男。

 文字盤が二つ並んでおり、一つはこのカルキスタの時刻。

 今ひとつがW.W.標準時を示す時刻。その短針が間もなく“6”を指そうとしていた。

 男は剥いたロブスターの尻尾にかぶりつくと、きびすを返して再び外へ。

 再び何度も路地を回り回って、先ほどとは違う大通りに出現する。

 もっとも先ほどとは規模が違う――幹線通り沿いと言っても良いだろう。

 様々な素材で建築された見栄えの良い建造物の群れ。概念としてのビルの範疇に収まらない奇抜なデザインなものも多い。

 その中の真っ黒な石材で建設された三階建ての建造物。

 そこに潜り込むようにして男がエントランスに入り込んだ。

 このビルは雑居ビルではない。あるサービスを行う企業が、そのためだけにこの星に建てた。

 だから、入ってすぐのところにサービスを案内する女性コンパニオンが常駐している。

「いらっしゃいませ、ジョン様。いつものお席でよろしいですか?」

 儀礼的な確認に、男は軽くうなずいた。

 この店のサービスを男は年間予約している――という表現は正確ではない。

 どこかの誰かが予約している席を、男が利用しているといった方がより正確だ。

 コンパニオンに案内されて――実際には案内は必要ではないのだが、他の利用者に対して「プライベートは守られていますよ」とアピールするためのコンパニオンだ――男はいつもの席に着く。

 そこでコンパニオンとはおさらば。

 男は内鍵を閉めて、リクライニングシートに似た、専用の機器に身を預ける。

 すぐに認証が始まり、せり出してきたコンソールにいつもの如く自分の名前――もちろん偽名のジョンではなく本名の方だ――を走査面上に描く男。

 意識が遠のき、男の分身体アバターがO.O.E.つまりは天国への階段(EX-Tension)に出現する。


                  ~・~


 GTがO.O.E.で出現するポイントは欧風調にまとめられたとある一室だ。

 柔らかな絨毯。豪奢すぎて大げさに思えるほどのマントルピースを備えた暖炉。常に最高級品の酒と氷が用意されたソファセット。

 欧州に特有の厳しい冬。

 その冬の間を引きこもって過ごすのに十分な設備をこの部屋は備えている。

「GT。今日はとりあえずお話をしましょう」

 出現したGTに話しかけるのはクラシカルなショートタキシードに身を包んだ壮年の男性。

 ソファに腰掛けている姿も実に絵になっている。

 灰色の髪を綺麗になでつけ、整った顔立ちではあるが笑い皺の刻まれた表情はいかにも柔らかだ。

 もっとも今は、その笑い皺も苦笑を形作るのに使われているが。

 そして片眼鏡モノクル

 この部屋の雰囲気と相まって、見ているだけで軽い時間旅行タイムトラベル気分を味わえる――


 ――そう。


 もちろん、この男がGTの直接の雇い主であるモノクルだ。

「いいぜ。ロブスターがあるのなら」

「用意してますよ」

 さすがにそのあたりは抜かりがない。

 GTはモノクルの向かいのソファにどっかと腰を下ろした。その前にロブスターの乗った皿が現れる。

 何度か、それっぽく調理したロブスターも用意されたことはあるのだが、結局のところGTが一番気に入っているのはただボイルしただけのロブスターであるらしい。

「話といっても簡単なんですが――殺さないでください」

「努力はしている」

「そういう議員先生のような受け答えはいらないんですよ」

 GTは目の前のロブスターを指で弾いて、その殻を粉々に粉砕した。

 神業と言っても良いだろう。

 今のGTが殺すことの次に得意な技である。

「そもそも、お前が俺に黙ってもう一人……ええと、なんだったっけ?」

「“エトワール”です。そう名乗られるそうです」

「そうそう、そのエトワールだけど、お前の意図としては俺に暴れさせといて、その裏で何かしらの情報収集をメインに考えていたんじゃないのか? 俺の戦闘のサポートじゃなく」

「……わかってるじゃないですか」

「そりゃあなぁ。俺にサポートが必要いるとは思えないし」

 むき身になったロブスターの身にかぶりつくGT。

 そしてむしゃむしゃと遠慮のない咀嚼。

 モノクルは「はぁ……」とわざとらしくため息をついた。

「区画の制圧速度を上げてますね。それも意図的に」

「…………」

 GTの咀嚼が止んだ。

 これは間違いなく、モノクルの指摘通りであるからGTも反論のしようがない。

 今までは一応建造物に気を遣って行動していたのだが、最近ではブラックパンサーのでたらめな威力に加えて、その身体能力まで駆使して、何もかも直線的に行動して皆殺しにしてしまっている。

「何がそんなに気にくわないんですか? こちらがどういう風に連中に対抗しようがあなたにとってはどうでも良いことでしょう? ああも早く片付けられると情報収集も何もないんですよ」

「……俺の仕事の領分に口を出されて面白いと思うか?」

「また、そんな子供みたいな」

「仕事って言ってるだろ!」

「厳しいこと言わせていただきますとね。あなたが仕事と呼べることをしているのは、今回が初めてですよね? 仕事については私に任せてもらえませんか?」

 黙り込むGT。

 ほとんど拗ねた子供のような有様だ。

「……別にあなたが無能だから他に仕事を頼んだわけではないんです。あなたはずっと一人でやってきたのでチーム戦という形式に不信感があるのかもしれませんが」

 モノクルの口調が柔らかになる。

「ただ私は事態の早期解決を目指しているだけなんです」

「……しかしな。“答えなければ殺す”という常套手段が使えないこの世界で、情報を引き出すのはかなり困難だぞ」

 GTが建設的な方向で会話に乗ってきた。

「だから今は時間がかっても。奴らの心に恐怖をすり込むことが大事だ」

「……私が事態の早期解決を目指す理由は二つ。一つはもちろん早く終わらせて、あなた方への支払い額を減らすこと」

「勝手に増やしたのはお前だ」

「それとこちらの方が重要ですが――時間がかかればかかるほどあなたの素性が向こうに知れる可能性が高くなります。私はこれを避けたい」

 ポリポリと自分の頬を掻くGT。

 ここで、自分なら心配無用だ、と言い返すほどGTは愚かではない。

 現実の世界ではGTもまた、ごく普通の名前を持つ、ただの人間に過ぎない事をGT自身が弁えていた。

「……しかしだ。仮に俺が殺しすぎていたとして……」

「まだ言いますか」

「殺しすぎていたとして、それを緩めるだろ。そうするとどうなるんだ?」

「ピンチに陥った、ああいった区画の利用者が奴らに助けを求める。それを忍び込んだエトワールさんが見聞できれば――」

 GTの目が半目にたわめられる。

「――お前、それ本気で言ってるなら、付き合いもこれまでだ」

「望み薄なのはわかってますよ。でも裏社会は所詮、縁故社会でもあります。中枢に連なる連中の恩人なりが取引に区画を利用していたら? 追い込まれて愚痴でも何でも本名を言ってくれれば……」

 GTはフン、と鼻を鳴らした。

「まぁ、全然無いとは言えなくなってきたな。だけど“クーン”ではわからなかったんだろ?」

「……痛いところを突いてきますね。でもそれも、あなたが殺しまくらなければ可能性があるわけです」

「うーん……」

 どうにも話し合いは平行線だ。

 もっとも、平行線であるからこそ話し合うのだという逆説的な捉え方も出来るわけだが。

「……会って、もらいますか」

「は?」

 突然のモノクルの申し出に、GTは思わず声を上げた。

「会うって、そのエトワーにか」

「もう、ル、言ってしまいましょうよ。ええ、そのエトワールさんです」

「何で? 別に会う必要ないだろ?」

「現状の役割のままなら。ただ私は将来的に、お二人の協力体勢が必要になるのではないかと考えています。で、あればまったく知らないままというわけにもいかないでしょう」

「協力……?」

 それはGTにとっても意外な言葉だったのだろう。

「私も疑問があるんですよ」

 その反応を予測していたのか、モノクルは慌てずに言葉を継いだ。

「先ほどのあなたの主張『恐怖をすり込む』ですが、その方策も私も一応考えていました。でも効果がない――何故でしょう?」

 GTは口をへの字に曲げた。

 その答えがわからないほどGTもバカではない。

「――一番単純に考えれば、あなた以上の戦闘能力の持ち主が向こうにいる」

「…………無いとは言えないな。俺も何でこんな事になってるのかわからないんだし……向こうにそういった奴が居ないとは言い切れない――お前は知ってそうだが」

「なるほど。ではその信用を、この際は一つ利用するとしましょう」

 モノクルは真っ直ぐにGTを見据える。

「敵にはあなた以上の能力の持ち主が居ます。そう仮定して事に当たることにします」

「……わかった。雇い主がそこまで言うなら、俺も、もうどうこうは言わないよ。不利な条件が一つ増えたと思うぐらいにする」

「……要するに、エトワールさんをまったく信用してないからそういう態度になるんですよね。お互いに認識していない方がリスクが分散できると考えていましたが、やはり会ってもらった方が良いようです」

 GTは降参とばかりに両手を挙げ、そのままの勢いでソファから立ち上がった。

「それで、今日の区画は? 試しに心持ちゆっくり殺してみても良いが」

「あ~~……それなんですけどね。エトワールさん、今日は忙しくて無理なんですよ」

 GTはその返答に、身動きを止めじっとモノクルを見つめる。

 そして、ゆっくりと一つ瞬きをして、

「……それ、アリなのか?」

 と、ゆっくりと尋ねた。

「アリ、です」

 モノクル自身も、無茶を言っているという自覚があるのだろう。それだけのことさら真っ直ぐにGTを見つめる。だが、それで何とかなる相手でもなかった。

「――いや、無いだろ。それならそもそもお前に、俺に文句を言う権利があるとは思えないぞ。今まで新人は何回待機できてたんだ?」

「そんなこと……あなただって今まで殺し尽くした区画覚えてないでしょ」

「それはそうだが……」

「勘弁してください。あなたについて行けるだけの身体能力の保有者は極めて希なんです。多少は融通を利かさないと、人材も集められない」

 GTはその答えに興味を覚えた。

 まず、自分について行けるだけの身体能力の保有者だということ。

 そして、そういった能力の持ち主をわざわざ選んでいるからには、モノクルの目的の優先順位としては、エトワールに割り振るべき仕事は諜報活動ではない。

 恐らくは自分に協力させて、敵の首領(なのだろう)に対抗させることを考えている。

 そしてそういう順番になるのは、

(確実に、事態の大元を知ってやがるな)

 それに感づいたGTは笑みを浮かべた。

 何も知らない盆暗よりも、腹に一物抱えた悪党の方が頼りになる。

「それで、今日はどうしますか? RAさんの言うところの虚名を継続させておくことも、やっておいて損はない――あなたが接続ライズしている間は“虐殺時間ジェノサイドタイム”だと向こうに知らしめますか?」

「せっかく来たしな。やるだけはやっておくか。当たりが引ければ、それはそれで幸いだ」


 ――幸いでなかったのは、そんなGTの襲撃を受けた裏社会の皆様だ。


 散々に追い回されて、頭が弾け飛ぶ感覚を味わいながら切断ダウンに追い込まれていったのである。


                  ~・~


 その翌日――


 定期連絡に訪れたGTを出迎えたものはモノクルの書き置き。

「急用が出来ました。セッティングは済んでますので、添付している場所に行ってください」

 GTがその書き置きを手に取ると、不可解な模様が描かれた紙切れ。それを見ることで、なぜかGTはどこに向かえばいいのかを認識できた。

 O.O.E.内では距離の概念が曖昧だ。

 “行こう”と思えば、いつの間にかその場所に着いている。

 というのが、実感としては一番近いだろう。

 今回のGTの場合は、一応は閉鎖空間に居たので、ドアを開けて外に出る。そして歩くという現実世界での慣習を行うことによって、指定の場所にたどり着いた、という実感を得ることとなった。

 ただ、その実感を視覚情報が裏切った。

「……なんだ、ここは」

 GTは思わず呟いてしまった。

 まず目に入ってくるのは鉄骨で組み上げられた輪っか――観覧車。

 同じく鉄骨で組み上げられた曲線――ジェットコースターのレール。

 おおよそ実用的ではないやけに尖った部分が多い建造物――おとぎ話の中のお城。

 他に色とりどりの風船に、原色を散りばめたファンシーな売店。

 そして漏れ聞こえてくるのはブラスバンドの楽しげな音楽。

「もしかして、遊園地……という奴かな?」

 GTは、ここに踏み込んだ場合の戦闘プランを考え始める。

 それがGTの今までの人生経験から導き出される、ごく自然な対応。

 警戒態勢と呼んでも良いだろう。あるいはそんな心構えが過剰反応したのか――GTは突然振り向いた。

 右手も腰のホルスターに伸びている。

 危険が迫ったから、そうした、という理由づけられるような行動ではなかった。

 反射的な行動。

 では、何に反応したのか。

 振り向いたGTの目に女性の姿が映る。

 トップスはライトグリーンのブラウス。ボトムスは膝丈のパンツ。

 革のロングブーツ。それと同じ素材の剣帯には細剣レイピアが吊されている。

 ピンク色の髪は高い位置でポニーテール風にまとめられていた。

 そして、何よりも特徴的な羽根飾りの付いた仮面マスク

「はじめましてGT。私がエトワールです」

 お互いに初対面ながらも、確信に満ちた声で女性――エトワールが自己紹介。

 GTもまた確信した。

 この相手が、あの茫洋とした気配の主。モノクルが見込んだ能力の持ち主。


 ――第一印象がそれ以上に胡散臭いが。


 もちろん右手を差し出したりはしない。

 その代わりに、右手でボルサリーノを軽く持ち上げて挨拶。

 エトワールも口元だけで、にっこりと微笑んだ。


◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆


作中造語「天国への階段」のルビ振りは当初「EX-Tension」でしたが上手く機能しなかったために、カタカナにしてます。そういう造語だと心の隅にとどめておいてくれれば幸いです。


追記。

勉強してルビ振りが出来るようになりました。

ちょこちょこ変えてます。

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