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第二十二話「言い訳が必要な行為」 アバン、OP、Aパート

 この状況は経験則にないものだった。

 大雑把に場所を推測するなら行政首都ロプノールで間違いない。

 しかし、ここはリシャールの知らない場所。

 知らない場所があること自体は問題ない。

 行政首都ロプノールは謂わば、一週間の世界ア・ウィーク・ワールドの縮図だ。

 世界のことを全て知悉出来ない事と同じように、行政首都ロプノールのことを全て知ることは出来ない。

 行政首都ロプノールの中であることは、赤いランプに照らされた周囲の光景を見ればわかる。

 一見、宇宙船の中。

 だが身体に馴染んだこの人工重力は間違えようがない。

 今から考えると明らかに薬物の仕込まれたコーヒーを休憩室で口にして――気付けばこの場所だ。

 椅子に座らされているだけで特に拘束はされていないが、周囲には出入り口は見あたらない。

(……拉致監禁か)

 身に覚えがありすぎる。

 二ヶ月前に仕事でヘマをやった。正確に言うと、仕事についてはあまり関係ないのだが、表面上の事象だけを見れば仕事でヘマをやったように見えるだろう。

 問題はここから先だ。

 そのヘマについて、何の音沙汰もなく職に復帰できたのである。

 あまりにも対応がおかしすぎる。

 ヘマをやらかす前から、すでに職場では浮いていた自分だが、それならそれで喜び勇んで自分のクビを切りそうなものだが。


 ――そういう風に不審を感じていたところだ。


 今からその帳尻が合うということだろう。

『お目覚めのようですね』

 突然声が響く。

 なるほど。直接会うこと無く済ませるつもりなら、こういう状況下に置かれていることも理解できる。

『すいませんが、あなたとサシで向かい合えるほど私は度胸が据わってはいないのでね。この状況の絵を描いた黒幕のシェブランです』

 これ以上ないほど、人を舐めた自己紹介だが妙に潔い。

 しかしシェブラン――

 確か急進派の議員の腰巾着とも言われている男だったはずだが。

 この行政首都ロプノールの住人でありながら、一体どの部署の人間なのか誰も知らない。

 なるほど“黒幕”を名乗る資格は十分だろう。

「ウフフフフ、僕の名前は名乗らなくても良さそうですね。それでこれだけの仕込みを行って、一体何の用ですか?」

『それについては色々あるんですが。例えば、あなたが天国への階段(EX-Tension)で名乗っている名前はRAで間違いないのかとか。フォロン、アーディの天国への階段(EX-Tension)の居場所についてとか』

 明け透けに過ぎるその言葉に、リシャールは微妙な笑みを浮かべて黙り込む。

『……などといわれても、要望が多すぎますからね。そこで私は一つのお願いをあなたにすることにしました』

「へぇ」

 少し意外な展開だ。

 なるほど確かに色々な欲求が相手にはあるようだが、その中で相手が何をもっとも重要視しているか。

それがわかるだけでも、この状況に付き合う意味はある。

 だがシェブランの欲求はリシャールの予想を大きく上回るものであり、そして背筋の毛を逆立たせるのに十分なものだった。


『リシャールさん――私達の仲間になりませんか』


 その声には、確信を持って事を為す巨悪の笑みが含まれていた。


◆◆◆ ◇ ◆◇◆◇◆◇ ◇◇◇◇◇ ◆◆◇◆ ◇◆◇


 フォロンとの戦いの機会が増えていた。

 元より、能力的にはクーンは相手にならず、アガンに至っては引き籠もりだったわけだが、“篭”一派はそれ以上の人手不足に陥っているのだろう。

 以前、GTに天国への階段(EX-Tension)の危険性を説いたフォロンだが、結局のところ勧誘のようなものをされたのはただ一度だった。

 いや正確に言うと勧誘ではなく、この事案から手を引けということだったのだろうがGTは結局引かなかった。

 一つにはリュミスによって新しい目標を与えられたこと。

 一つにはモノクルと先に約束をしていたこと。その約束を破ることはGTにとって“裏切り”でしかなく、根本的にその選択肢を選ぶという発想がなかったこと。


 ――そして、なによりもGTは戦闘という行為に酔っていた。


 フォロンが説得を諦めたのも、実際のところは何度か戦う内にGTのそうした本質を見抜いてしまったからだろう。

 おまけに、今のGTにはその根本的な理由を誤魔化すことの出来る理由を抱えている。

 先の説得の時には、環境の急変につけ込むことも考えていたのかも知れない。

 実際、GTはその直後にかなり揺らいでいたが――今ではお互いの姿勢がかっちりと固まっている。

“篭”一派は幹部を二人失い、残り一人も素性もほぼ割れている。

 この局面で、もう一度GTに誘いを掛ける。

 それは、フォロンのプライドが許さないのだろう。


 ドンドンドンッ!


 ブラックパンサーが火を噴く。


 ギンギンギン!


 右手を打ち振るって、その銃弾を弾き飛ばすフォロン。

 重要な取引現場なのか、この現場には最初からフォロンが張り付いていた。

 フォロンの好みであるのか、区画には何の細工もされていない乳白色の世界。

 そこで取引しているのは、相も変わらず無個性なスーツ姿の男達。

 モノクルからの報せで、GTは現場に着くと同時に全員の頭を吹き飛ばそうとした。

 そこに立ちはだかるのが、フォロン――そういう展開が何度も続いている。


 ターン!


 そうやってフォロンを引きつけている間に、リュミスが気配を消して狙撃を行うのもいつも通りなのだが、フォロンはそれにも対応してしまう。

 確かに、リュミスの気配には気付いていないようなのだが、放たれた銃弾の気配までは消せない。

 フォロンは銃弾に追いついて、


 ギン!


 これも弾き飛ばす。

 もちろん、その間も大人しくしているGTではないのだが、ここまで防御に徹せられるとこれを打ち崩すのも難しい。

 しかも、今ではこのフォロンの防御に信頼性も増してきているのか、実際に取引を行う男達もGTの出現にも慌てることなく、よどみなく事を進めさっさと切断ダウンしてしまう。

 もちろん、フォロンもだ。

 そして一度このように空振ってしまうと、実際に取引が行われている“当たり”の不透過地域がわからない以上、やがて成果のないままに接続時間の限界を迎えてしまうことがほとんどだ。

「……ダミーの区画を大量に作るようになりやがったな」

「考えれば常套手段だけど」

 フォロンが去った後の区画で、GTとリュミスは言葉を交わす。

「今までそれをしなかったって事は、なにか事情があるんだろ。あるいはクーンがいなくなって余裕が出来たか」

「……そういう可能性もあるわね」

「どっちにしろ、これじゃ現場はどうしようもない」

「悪巧みが得意なモノクルは何してるのよ――なんか最近RAも出てきてるし。捕まえたんじゃなかったの?」

 リュミスの指摘に眉をひそめるGT。

 ほとんど同じ想いをGTも抱えているのだ。

『やぁやぁ、悪巧みが不調な私ですよ』

 突然モノクルの声がした。

 GTの胸のバラからではなく、リュミスの吊した剣から。

 目を見開いて、とっさに反応できない二人。

『リュミスさんが仮面をやめてしまったので、こっちにしました。そして言い訳と今後の方針です』

モノクルの言葉に二人は顔を見合わせて、うなずき合った。

「……聞こうか」

『リシャールを一端解放したのは“篭”一派の中枢部分の位置を、RAに知って貰うためです。ここのところ相手幹部の拘束が続きましたので、位置を変えている可能性も高いと思いまして』

「それは解放したからといって、知ることになるものなの?」

 リュミスが素直な疑問をぶつけると、

「これだけダミー区画をばらまいてるんだ。司令を出している中心区画は必ずある」

 モノクルが答える前にGTが答えた。

 その表情に何だか、悔しさが滲んでいるように見える。

 結局はこの状況も、モノクルにとっては予定の範囲内だという、それが気にくわないのだろう。

「で、今後の方針というのは?」

『リシャールを再び拘束しました。これから本格的に落としに掛かります。この間にあなた方が出撃すると、向こうもRAに招集を掛ける可能性がありますから』

接続ライズしないのね」

『いえ、天国への階段(EX-Tension)で適当に遊んでいてください。天国への階段(EX-Tension)に居ないということは、言い換えればいつでも出撃できるということですから』

 いちいち理屈が通っているのが、何故か腹立たしい。

 その苛立ちに任せてGTがモノクルに尋ねる。

「そんなにのんびりしていて大丈夫なのか?」

『ここ数ヶ月、いたちごっこに無駄足を踏み続けましたからね。モノクル()が戦略の立て直しを図っている――そう推測させるのに十分でしょう』

「お前は間違っている」

 突然に、GTが告げた。

『……何かおかしかったですか?』

 どこか愉快そうにモノクルが応じると、GTはボルサリーノを目深に被って、こう答えた。

「お前の悪巧みは――絶好調だ」


           ~・~


 さて、遊べと言われても、というのがGT――ジョージの本音である。

 こうなると天国への階段(EX-Tension)熟練者ベテランであるところのリュミス頼りになる。

 GTは潔くさっさと切断ダウンすると、あとはリュミスに任せることにした。

 ハンモックに引きこもって、さっさと眠り込んでいたジョージが起こされたのは、体感時間でおよそ三時間後だった。

 どう考えても、その時間全部を接続ライズ出来ていたわけがないから、リュミスも切断ダウンして、しばらくは経っている――体感時間が正確なら。

 だから緊急事態でもないはずだし、今更自分がハンモックに引きこもっていても悪くなる機嫌は持ち合わせていないはずなのに――リュミスの表情は優れない。

「何かあったか?」

「……ちょっと、モノクルが気味悪くなってきて」

「どうした?」

「遊園地、覚えてる? あそこがリニューアルしたらしくて」

「早い……ような気もするけど、天国への階段(EX-Tension)だとそんなものか」

「――ローダンが以前のこともあって私達を招待したいって」

 ジョージも思わず顔をしかめる。

 遊べ、と言われたタイミングで、遊びの誘いが来る。

 何もかもモノクルの掌の上で転がされているような――そんな錯覚をリュミスが覚えても仕方がない。

「……で、どうする?」

「それを相談しようとも思ったんだけど、そもそもどういう風に相談するべきなのか……」

 全てがモノクルの手配だとして、それに無理矢理逆らうのも子供過ぎる。

 モノクルが、何事かを考えてこちらを裏切ったとしても、それも天国への階段(EX-Tension)でのこと。

 必ず、ジョージによって復讐されることになる。

 それを忘れるほど迂闊な男とも思えないのだが――

「ま、行っておくか」

 そんな中、ジョージが決断した。

「そういう偶然もあるだろうし、何かの罠だったとしても突破できない未来は、それこそ見えてこない」

 そう断言されて、リュミスも肩をすくめる。

「そうね……次のライブのヒントもあるかも知れないし」

「遊園地ねぇ」

 ジョージはあまり期待しない口調で呟いた。


                ~・~


 こうして不安八割、投げやりな期待が二割というぐらいで再開したローダンの遊園地へと向かうこととなった。

「見た目はあんまり変わらないな」

 入場前に、ざっと外観を眺めてみたところ、ジョージが解体した観覧車とジェットコースターのレールが見える。

天国への階段(EX-Tension)じゃ、ちょっとお約束を求められるところあるからね。外から見て“遊園地”という感じじゃないと、客が集まらないのかも」

 早速分析を開始するリュミス。

 GTの格好はいつでも同じの黒スーツ。

 リュミスはボーダーのチューブトップの上から白のジャケット。それに黒のタイトなミニを合わせている。

 どうも、本気でライブのヒントを拾おうと、仕事気分を高めているつもりのようだ。

 何とか、GTに頼らずに新しいライブの形を見つけたい、という想いというか執念があるのだろう。

 遊園地の女性スタッフは、GTを目印にしていたらしく、その姿を見つけただけで営業スマイルを貼り付けて二人を迎え入れた。

 ゲートを潜ると、まず大きな広場になっているのは同じ造りだ。

 というか、元の区画を利用しているのは間違いないのだから、この辺には手を入れてないのだろう。

 元々、二人は遊具に乗るつもりもないのでそのままグルリと観察を続ける。

「前はカフェが目立っていたが……店の種類が増えたか?」

「そうか……遊園地には元々集客力があるから、この敷地の貸し出せば儲けも出るし客もまた呼べる。遊具を整理してスペースを作ったわね」

 ほとんどかたきでも見る視線で、色々な店舗を睨め回すリュミス。

 その時、上空から轟音が響いてきた。

 ジェットコースターが、通りかかったのだ。

 無言で、その姿を見つめる二人。

 だが、この時本当に神経を集中させているのは聴覚の方だ。

 あの時も、異変に気付いたきっかけは異様な音を察知できたからだ。

 そして今日は――何も聞こえてこない。


 ――ジェットコースターの乗客から聞こえてくるはずの嬌声も。


「……苦戦してるみたいだな」

「でしょうね。あの事故の後に、あまり乗ろうとは思わないだろうし」

 GTは、そこで視線を観覧車に向けた。

「あ~……観覧車も乗ってないな」

「イヤな……予感がするわね」

 遊園地自体の客入りも、以前ほどではない。

 物珍しい施設に釣られてとりあえず入場してみたが、そこから先は噂を聞いて積極的に遊ぶこともしないのだろう。

 こうなると、リピーターが生まれずこの遊園地はやがて死に至る。

 ローダンがそれに気付いていないわけがない。

「――やぁやぁ、今回はお招きに応じてくださいましてどうも」

 イヤな予感が形になってやって来た。

 熊のマスコットキャラクターらしい着ぐるみの中から顔を覗かせたローダンである。

「こうして、見事に復活が叶いましてどうも」

「「嘘をつくな」」

 思わず二人の声が被る。

 だが、ローダンは笑顔を絶やすことなく、

「実はお招きついでにさらなら発展に向けて、ご相談したいことがございまして」

 もみ手をしていないことが不思議に思えるほどの、低姿勢でローダンが畳みかけてきた。

「相談?」

「リュミスさん。わたくしも『APPLE DICE』のPVを拝見させていただきました。実に見事なものでした。少し――嫉妬してしまうほどに」

「ど、どうも」

 何だか笑いながらナイフを突きつけられているような感覚を覚えて、思わず腰が引けるリュミス。

「GTさんも、あのPVには参加してらっしゃった?」

「少しな」

「首謀者が何を言うか」

 謙遜ではなく、明らかに関わりたくないという気持ちが透けて見えるGTの反応にリュミスが即座に突っ込みを入れた。

「ほう。首謀者」

 ローダンが身体ごとGTへと向きなおる。

「折り入ってお話があります。そこのカフェにでも。さぁさぁ、どうぞ」

 ローダンは着ぐるみの体積を利用して、二人をカフェへと追いやった。


                  ~・~


 説明は主にリュミスが行った。

 GTが説明を拒否したという事情以上に、ローダンが聞きたがったのはPV制作に当たっての参加者と、その参加者がPVにどれだけの権利を有しているという契約関係の話だったからだ。

「なるほど。では使われた曲以外は、全部あなた方が買い取ったということですね」

「“私”が買い取ったの」

 即座に訂正するリュミス。

 それに深くうなずくローダン。

「それなら、ややこしくならずに我々が幸せになります――そうそう製作者の名前も宣伝しましょう」

「何を勝手に話を進めてるのよ」

「リュミスさん。それにGTさん」

 ローダンがずいと身体を乗り出してきた。

「あのPVの影響力をなめてはいけません。あれは天国への階段(EX-Tension)の徒花になるかも知れませんが、いや、徒花になりそうだから職人プログラマーにとっては歯ぎしりする代物なのですよ、どうも」

「……徒花?」

 GTがその言葉に反応する。

「ええ。この天国への階段(EX-Tension)にも映像編集技術がもたらされる兆しがあります。今は簡単な画像加工が精一杯ですが、撮って出しという状態からは抜けだしつつあります」

「そうなの!?」

 思わず、声を上げるリュミス。

「ええ。確かな筋からの情報です。だから、以降PV作成といっても、あれほどの苦労をすることは無いかも知れません。加工はともかくとして編集が出来れば、かなり手間が省けますし」

「本当に苦労したわ……」

「儲けは出てるんですか?」

「……まぁ、少しは」

 言い淀むリュミス。

「そこで提案です。撮影に使ったセットを、私の遊園地でアトラクションとして公開しましょう、是非どうぞ」

 そのローダンの言葉を、二人はすぐには理解できなかった。

 確かにセットはある。

 正確に言うと、撮影の後の残骸のようなものが。

 片付けるべきなのかも知れないが、撮影のために新しい区画を開いたので、どうせ訪れるものもいないだろうとそのまま放置している。

「……どうやって遊ぶんだ?」

 GTが思わず尋ねてしまう。

 ただの残骸――それがGTの認識なのだ。

「遊び方は、しばらくは来場者に任せます。GTさん、私はアレを撮るための技術を広く公開すべきだと思うんですよ。インテリアや仕掛けはともかくアレを撮影するためにカメラを固定したままレールの上を走らせたでしょう?」

「お、おう。よくわかるな。まぁ、古典的な方法だが……」

「それでもなんでも、天国への階段(EX-Tension)では革新的な技術なんですよ」

「なるほど……」

 ローダンの言わんとしているところを理解し始めたリュミス。

「自分の考えが合っているのか一目確かめてみたい。そういう玄人受けする部分があるということね」

「あるいは技術革新があるのか確かめてみたい。それにあのPVのファンにもうけると思いますよ」

「それはちょっと疑わしいけど……」

「大丈夫です。実際に、あの独特の世界に実際に足を踏み入れてみたいと思う人はたくさんいるでしょう。それにですね……」

「それに?」

「あのPVの舞台は天国への階段(EX-Tension)に発生した、参加者が自然に思う天国への階段(EX-Tension)を象徴する謂わば聖地となったのですよ、どうも」

 そのあまりに大げさなローダンの物言いに、二人は絶句してしまった。


                 ~・~


 赤いライトに照らされた部屋の中。

 当たり前に時刻を示すようなものはない。

 食事はまだ与えられていないが、水だけは最初から部屋の中に用意してあったらしく、その場所を教えられた。

 そのうちに、トイレの位置も示されることになるだろう。

 だが、シェブランからの説得はあの提案以降行われていない。

「ウフフフ……“仲間になれ”……」

 なんと合理的な、と呆れてしまう。

 確かに自分がその提案を呑んでしまえば、自動的に自分はフォロン達の場所を教えるという理屈になる。

 提案は一つだけ。

 それを受け入れる作業も一つだけ。

 だが、享受する果実は大量。

 なんという悪党か。

 それが自分たちの敵――そう敵だ。


 GT。

 ――GT。

 ――――ジョージ・譚。


 敵でありたい。

 あの男の敵でありたい。

 そう思って、今まで何度も何度も戦ってきたが未だに充足を得ない。

 もし――今、願いが叶うならば……


◆◆◆◇◆◆ ◇◇◇◆◆◆◇◇◇ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


小休止回のラストです。

ぶっちゃけてしまえば。

あとは最終回まで、ほとんど突っ走ることになると思います。


まぁ、この話の後半が残ってますが。

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