第十六話「雲の上にて」 アバン、OP、Aパート
曇り空から晴れ間が覗く。
黄金色の光が照らすのは、雲上の世界。
一般に想像されるところの“天国”が、そこに具体的な形を成しているように見える。
だが、ここは天国への階段。
そんな光景も、現実にある風景をなぞらえているだけだ。
そしてそれは、その光の下、神々しく輝く十字架も同じ事。
もちろん、そこに信仰があれば仮初めの世界の十字架も、あるいは意味を持つのかも知れない。
――もっとも現実の世界での歴史がそうであったように、この十字架もまた血で濡れることとなる。
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人類が宇宙、それも超光速機関を開発して外宇宙へと乗り出した時、いわゆるカソリックは衰退の道をたどり始めたと言われている。
超光速機関開発の折に、太陽系を神から与えられた“楽園”と解釈し、そこから飛び立つことを可能にする超光速機関を“禁断の知恵の実”であると解釈した司教が、その雛形を葬ってしまおうと画策していたことが判明すると、カソリックへの非難の声は一気に爆発した。
古くはローマ帝国の知識を隠匿し、人類の文明を大きく後退させ、十字軍によって無用の乱を起こし、さらには世界を独善的な考えで勝手に分割した、トリデシリアス・サラサゴ両条約。
そんな数々の暴虐に対して反省の色を見せないどころか、新たな人類の可能性まで摘み取ろうとまでしたことで、ついに人類は“キレ”た。
第三次世界大戦を経て、沈滞ムードの中にあった人類は超光速機関を葬られた場合を考えて心底身震いしたのだ。
カソリックは、再びの暗黒時代を人類にもたらそうとしている、と。
ついにカソリックに対して、人類は三行半を叩きつけた。
もちろん、それによって一つの宗教がとどめを刺されたわけではないのだが、外宇宙で知的生命体に接触した場合、その教義は根底から崩されることになり、カソリックと名乗りながらも教義には大幅な変更を強いられることとなる――一神教にとって、それはもはや自殺でしかないのだが――と予測され、ここから逆転の目はない。
一方で、宗教のしぶとさを示すエピソードとしては、そのカソリックに異端として断じられ、徹底的な弾圧を受けたグノーシス派などの分派が、生き残っていたことが判明した。
もっとも、古代の姿そのままというわけではなかったが。
さて、そんな迫害の歴史を持つ分派の宗教的中心地は、時に要塞のような構造を持つ。
天国への階段に再現されたこの古城は、カタリ派の要塞としての歴史を持っているが、今ここで取引を行おうとしているのは宗教関係者でも何でもなく、欧州系のシチリアマフィアだ。
皮肉なことに、この取引の主導者は珍しくもガチガチのカソリックである。
どうやら適当に城の発注をしたらしく、その来歴は知らないらしい。
このボスの名前はダラーラ。組織内ではパパ・ダラーラで通っている。
組織で扱うものは主に麻薬、武器。
接続延長薬はガルガンチュアファミリーの専売事業であるので、今のところ手を出してないが、いずれは食い込みたいと考えていた。
何しろ天国への階段での取引の効率化は、もはやそれ無しでは、組織が運営できないほどに必須のものだからだ。
少しでも上位に食い込み、その恩恵により深く預かりたいとダラーラは考えていた。
どんなファミリーでも、自分たちの商品を安全に保管できる場所はある。
だが、それを他の形に変えようとしたときに隙が生じるのだ。
その点、天国への階段で全ての段取りを終えておくと、金にしろ商品にしろ、外に出しておく時間が最小で済む。
芋づる式に官憲を呼び寄せる心配がないのである。
ダラーラは、当然の帰結として、このシステムを生み出したフォロン達にさらに取り入ろうと考えていた。
そして、クーンが何か失敗したらしいことを聞きつけもした。
こうなると、次の選択肢は一つしかない。
――クーンの後釜を狙う。
この一点である。
そこで、通常なら好みの舞台を整えるだけに留まっていたフォロンへ、
「こういう形で、ＧＴを迎撃してみたい」
と、申し出てみた。
勝てるのか？ と言われればそこで大言を吐いて良い相手ではないことはわかっている。
だが、時間を稼ぐことなら出来る――かもしれない。
ＧＴを一カ所で足止めできれば、他の取引への被害も抑えられるし、何より一つの希望が灯る。
～・～
「ダメです！ 一次防衛線破られました！」
「確認されてから、まだ二分も経ってないぞ！ 生き残りは？」
「ぜ、全滅です……」
「……こ、これが“虐殺時間”か」
別にごっこ遊びをしているわけではない。
司令部を構成しているのは、ダラーラが雇った傭兵だ。
百戦錬磨とまでは言わないが、現実世界では十分に名の知れた傭兵団だ。
だが、そんな経験など何の役にも立たない。
根本的なことを傭兵達は理解していなかった。
武器の違いや、練度など問題ではない。
相手は――人間ではないのだ。
ゴゥウウウウウウウウッ！！！
モニターの向こうで装甲車が爆発炎上した。
燃えさかる炎を背景に来るスーツ姿の男が確認できる。
そしてボルサリーノ。
胸元に赤い薔薇。
戦場を舐めた出で立ちではあるが、その舐めた男に部下は手もなく捻られてしまっている。
男――ＧＴは当然カメラの存在に気付いたいた。
わざわざそちらに視線を向けるとニヤリと笑い、そのついでに銃口も向けた。
ガッ！
銃声とノイズがモニターからあふれ出て不協和音を奏でる。
それとほとんど同時に、二次防衛線からも被害報告が入り始めた。
ほんの一瞬前まで、ＧＴは一次防衛線を突破した地点にいたはずだ。
そこから二次防衛戦まで、おおよそ五百メートル。
移動速度のつじつまが合っていない。
ＧＴが人外であることの証明だ。
ズンズンズンズンッ……
音というよりも地響きが、城の一番強固な場所に作られた司令所に響いてくる。
一次防衛線から、二次防衛線までの間に、地雷原がある。
それをＧＴはすでに突破しているはずなのだが、わざわざ爆発させて回っているらしい。
何故、地雷の位置がわかるのか？
という疑問は脇に置いて、その現象だけを受け入れれば、待ち伏せしている部下達など、ＧＴにかかればすぐに狩り出されてしまう事もわかる。
もとより、一次防衛線は抜かせるつもりだった。
そして地雷原、装甲車の火力、さらには部下達による包囲殲滅までが、当初予定されていた戦術である。
だが、ＧＴは速度を維持しながらも、全ての配置戦力を無力化していった。
残すは最終防衛線のみ。
こちらは小細工無しの、ランチャー兵器を大量に配置した文字通りの防衛線であるが――
「依頼主を脱出させる」
指揮官は苦渋の決断をした。
ＧＴの撃破が第一目標であったことは言うまでもない。
クライアントは「最悪、時間稼ぎでも構わない」と理解のあるところを示してくれていた。
だが、ＧＴの姿が確認されてから、まだ十分も経ってはいない。
天国への階段の接続時間一杯ぐらいは粘れると踏んでいたのに、これでは自分たちがいてもいなくてもほとんど同じ結果だ。
通常であれば、官憲もしくは司法警察軍の手の回らない地域での対テロ活動が主な職務である彼らにとって、現状はたった一人のテロリストに蹂躙されているのと同じ事だ。
このままでは、自分たちの沽券に関わる。
いや、沽券だけではなく信用問題だ。
確かに天国への階段は現実ではない。
それを盾に、自分たちの力が発揮できなかったと言い立てることは可能だろう。
だが、この酷すぎる失態はとてもではないが言い繕える限度を超えていた。
せめてクライアントを守る姿勢を見せなければ、明日からの稼業に支障が出るレベルだ。
「は！」
副官も、そんな指揮官の懊悩を理解しているのだろう。
軍人らしく、疑問を口にすることも反論を試みることもなく、即座に了承の意を示した。
戦場の倣いで敬礼はない。
「アイメア軍曹に車を回させます。カルバとクインツも同乗させましょう」
指揮官はその献策にうなずくと、
「君も同乗しろ」
「しかし……」
「私は最終防衛線で指揮を執る。もはや貴官の仕事はない。それよりも、先ほどのプランでは懐に潜り込まれたときに小回りが効かない。貴官がその役目を担え」
「――了解」
「では、な」
これがこの二人の天国への階段での別れとなった。
～・～
天国への階段におけるこの要塞は、カルスト台地のような寒々とした丘の上にある。
そこから、一台の軍用車両が猛然と滑り落ちてきた。
タイヤはほとんど摩擦係数を失っており、僅かに回復する瞬間を狙ってカウンターをあて、何とか車体を立て直しているような状況だ。
あまりにも急ぎすぎに見えた軍用車両の速度は、次の瞬間、納得の挙動になる。
――――……ゴッッ！！
要塞が突如爆発したからだ。
周囲一帯が緋に染まり、空には黒煙が渦を巻いて空からの光を遮ってしまった。
今――
――一瞬で地獄が出現した。
「来たぞ！」
そう喚いて、ミサイルランチャーを構えたクインツが、攻撃を開始した。
――何に？
もちろん、爆発の中から現れた黒スーツ姿に対してだ。
驚くべき事に、その姿に何の変化もない。
爆発の余波を何ら被ってはいない、エレガントな佇まいのままだ。
発射されたミサイルは、ＧＴの右手が閃いた瞬間にその全てが爆散した。
さらにはカルバのバズーカに、副官のアサルトライフルからの銃撃と、さらに攻撃が続けられる。
そう。
もはやＧＴは至近の距離に迫りつつある。
バズーカの弾頭は、撃ち落とされた。
ライフルからの連射はことごとくをかわされた。
傭兵達を責めるわけにはいかないだろう。
こんな化け物、天国への階段以外に存在できるわけもない。
助手席に身を潜めていたダラーラは、その小太りの身体を丸めて、ただ恐怖に震えていた。
何もかも桁が違った。
ＧＴの強さも、速度も、非常識さも。
そして、自分の恐怖への想像力の浅さも。
いつもはただ、一瞬で殺されるだけだった。
だが抵抗を試みて初めてわかることもある。
――ＧＴこそは悪魔だ。
ダラーラは、身体を丸めたまま十字を切った。
だが、それに答えたのは突然襲いかかってきた横薙ぎの遠心力。
ＧＴの銃が後輪をバーストさせたらしい。
ドライバーが忙しくハンドルを切って、何とか姿勢を保とうとするが、一瞬でも横っ腹を見せた段階で状況的には詰んでいた。
残されたもう一つの後輪、そして同じ側の前輪が続けざまにバーストしてしまう。
事ここに至っては、もはやどうしようもない。
ドライバーはブレーキを踏み、シフトダウンを繰り返し、何とか上下関係を維持したまま車を停車させた。
それだけでも大した技量の持ち主であることはわかるが、それが状況の改善につながるわけではない。
ＧＴは停まってしまった車両の横に、当然のごとく出現した。
そこには、今の今まで車と同じ速度で走っていたことから想像できる、息の荒さも、服装の乱れも何もない。
もはや一人だけ、世界の理の外にいるようにすら感じられる。
「……さて、俺が手間を掛けた理由はわかってるな」
黒スーツを着た悪魔が、ダラーラに語りかける。
「お前が腹に抱え込んでいる、取引の契約書だよ。出せ」
ＧＴは躊躇なく銃口をダラーラへと向けた。
もちろんダラーラは理解している。
これは取引を持ちかけているのではなく、ＧＴからの命令。
「く……！」
大型携帯兵器を抱えた二人は、もうこんがらがっていて戦力には数えられない。
だが、副官はまだ余力があった。
何とかＧＴへライフルを向けようとするが、ＧＴはそちらを見ることなく、無造作に副官を蹴飛ばした。
いよいよもって、ダラーラの命運は風前の灯火だ。
「う……うわぁあぁあぁあ……」
悲鳴までもが震えている。
獲物を前に、ＧＴが笑った――ように見えた。
そして、次の瞬間――
――ＧＴがいきなり車両から離れる形で跳躍した。
ゴゥンッ……！
飛来した何かが、ＧＴが先ほどまで立っていた付近の地面大きく抉った。
「あ……あ、ＲＡさん！」
ダラーラが、ほとんど英雄――いや救世主を呼ぶようにＲＡの名を呼んだ。
そう。
確かにＲＡがそこにいた。
先ほど駆け下りた丘の中腹あたり。
そこにラムファータから白煙をくゆらせているＲＡが佇んでいる。
かなりの距離がある――はずだったが、ＲＡの射撃には支障はないらしい。
そして、それは移動においてもだ。
白い影がブレた、と思った次の瞬間には白い軌跡を引いたＲＡがＧＴから車両を庇う形で割り込んでいる。
「ウフフフフ。ここは僕に任せて早く契約書を安全なところに」
ここでダラーラだけが契約書から引き離されて殺されると、ＧＴ――ひいては連合にダラーラが関わった取引のほとんどが知られることになる。
ＧＴは先ほどまでそれを目論んでおり、ＲＡはそれを阻止しようとしていた。
ドドドンッ！
ＧＴがいきなり発砲。
かわしてしまえば背後の誰かに当たる以上、ＲＡは避けられない。
だがＲＡは慌てず騒がず、フォロンのように銃弾を横薙ぎに払いのけてしまった。
しかも払う動作に、ラムファータの引き金を絞るアクションを組み込んでいる。
ＧＴは、その銃弾をブラックパンサーで撃ち落とした。
「――いけませんね、ＧＴ。関係ない人を巻き込むなんて」
「何言ってンだお前。俺の獲物は元々そいつだ。何かおまけが一杯付いていたがな」
傭兵連中が“おまけ”ということらしい。
「違いますよ。僕が出てきた以上、いつだってあなたの標的は僕になるべきだ。違いますか？」
その言葉に、ＧＴはやぶにらみの表情を作り左手にＰ－９９９を出現させた。
「ウフフフフ」
そんなＧＴを見て、嬉しそうに笑うＲＡ。
その右手にもシキョクが現れる。
ダッ！
お互いに地を蹴り、黒と白が交差する。
～・～
安楽椅子から起き上がるジョージ。
その表情は不機嫌そのものだ。
相も変わらずの着た切り雀の格好。
白シャツ、チノパン、サスペンダーである。
「あ、おかえり」
リビングで、何事か作業していたリュミスがジョージの表情については全くのスルーで、そう声を掛けた。
こちらも、一度の失敗で諦めたのか目の荒い――どうかすると素肌がのぞけそうな水色のサマーセーターに、膝丈のジーンズ姿である。
「……おかえり、はおかしくないか？」
「じゃあ、なんて言うのよ」
「…………」
体感では、つい数秒前までＲＡと殺し合っていたのだ。
精神の疲労が激しいところに、この問答はいかにも面倒くさい。
ちなみに、ＲＡとの殺し合いはここ最近ずっと時間切れの引き分けで、今日もまた同じ結果となった。
その分、さらに疲労感が増している。
ジョージはもう何も言い返すことなく、自分のハンモックへと引き返そうとした。
「ちょっと。何してるの、こっちへ来て」
だが、リュミスはそれを許さなかった。
ジョージは嫌そうな表情を浮かべて振り向く。
「……何で？」
「あなた考案のライブ企画なのよ。それが形になってきたんだから、ちょっと確認して貰わないと」
「え？」
ジョージの目が驚きに開かれた。
「本気で“アレ”をやるのか」
「やるわよ。面白そうだもの。それに天国への階段でしか出来そうにないし」
ジョージが、今度言い出したのは客席を球状に配置する形式だ。
客席は螺旋状になっていて、整理券の順番に入場させてドンドン上へと詰めていくことになる。
この整理券の順番は完全に運だ。
だからどの位置になっても、それぞれの場所でライブを楽しめなければならない。
そこでリュミスの配置だが、ジョージは客席の中央に鳥かごの様なものを設置することを提案した。
リュミス自身は、これによって上から下から鑑賞されることになるのだが、そこを嫌がっていてはそもそもステージ活動など出来はしない。
さらにジョージは衣装にまで注文を付けた。
「これで、歌うとなるとどうせ跳んだり跳ねたりは出来ないな。じゃあストライプのカクテルドレスでも着ろ」
「着ろって……ああ、なるほど」
鳥かごの外側は、いわゆる十字の格子ではなく、主に縦方向だけに格子があるタイプだ。
この中にストライプの衣装を着たリュミスがいれば、外から見るとリュミスが現れたり消えているするような錯覚を味わえることになる。
配色に気をつければ、かなり妖艶な演出も可能だ。
リュミスは改めて、ジョージを見つめる。
殺すことしかできないと言っていた男の、こういった発想の原点はどこにあるのか？
連合も裏社会も一目どころではないほど、この男を丁寧に扱うが、こういった舞台設営への嗅覚を持っていることに気付いている者がいるのだろうか？
そんな疑問が、リュミスの頭の中にあふれかえる。
「…………おい、聞いているか？」
ジョージの声が遠くから聞こえてきた。
「あ、あ、ゴメン。ちょっとボーッとしてた。あとは何？」
「前から言ってた奴だよ。お前、曲は増えたのか？ 前、今の手持ちだと新曲中心にしての一ステージは難しいって言ってたよな」
「……ちょっと厳しい。なかなか良い曲に巡り会えなくて」
リュミスがここ最近の“篭”戦に不参加の理由の一つがこれだ。
もともと天国への階段で、曲を発表している参加者の中から、これは、と見込んだ曲をリュミスは契約を結んで借り受ける形式で持ち歌を増やしてきた。
なので、接続時間がその曲の探索作業の方に割かれるので、そもそも戦闘に参加できないのだ。
そしてもう一つがＲＡの存在だ。
ＲＡがどういう理由か獲得した、あの驚異的な戦力。それを前にするとリュミスの能力では、ＧＴは彼女を守りながら戦うことを強いられてしまう。
有り体に言えば、足手まといになるのだ。
リュミスがそれに気付いているのかどうか――
「彼女が、現実世界でのあなたの“重し”になってくれれば“私ども”としては何の問題もないわけでして」
という感じで、雇い主からがこの状況を放置どころか歓迎状態なので、その点については特に話題になることもなく、スルー状態だ。
だから、ここ最近の二人の話題は、こんな風にもっぱらライブ関係中心になる。
「お前、自分が苦手な曲調だからって避けてるんじゃないのか？」
「正直なことを言えば、そういう面もあるかもね。聞いている分には善し悪しがわかんない――そうか、実際に歌えばいいのか」
「おい」
「わかってるわよ、私がちょっと疲れてるみたいなのは。補給もあるし適当なところに降りることにする。パラキアも新素材を組み上げる必要性があるって言ってたし、今度のライブまでにはちょっと時間がかかるわね」
「その間に、なんとかＲＡに勝っておきたいな……」
珍しく、ジョージが愚痴のようなものをこぼす。
だが、その口元には笑みが浮かんでいた。
敵同士には違いないが、ＲＡの存在はジョージの生活にも張りを与えているようだ。
それを少しだけ寂しく思うリュミス。
だが、そんな想いを振り払い、同時にジョージを手で追い払った。
「じゃあ、ハンモックに戻っても良いわよ。寝るのかどうかは知らないけど、飽きたら風呂に入りなさい」
「臭わないだろ？」
「そこは問題じゃないから」
にっこりと微笑むリュミスに、ジョージはこっくりとうなずいた。
生存本能が警鐘を鳴らしたらしい。
こうしてＧＴは今までの仕事を継続し、リュミスはライブの準備に追われ――
――連合標準時で、おおよそ三週間が経過した。
◇ ◆◆◆◆ ◇◆◇◆ ◇◇◇◇ ◆◆
実はこの十六話は、重要なのはＢパートなんですよね。
なので、Ａパートは目一杯趣味に走らせていただきました。
あるアニメの、あるシーンを頭の中に浮かべながらＧＴを書いております。
パクリと呼ばれるような勢いで。
それと書きそびれてましたが、ＲＡの新しい武器ラムファータのイメージは村枝賢一先生の「ＲＥＤ」という漫画に登場する「ヘイトソング」という銃を、これまたイメージしています。
これは文章で、いくら書いてもパクリとは言われないので安心です。
皆様の脳裏に像を結ぶ際にいくらかの手助けになれば、ということで図々しくも、ここで書かせていただきました。
参考になれば幸いです。
