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FILE1 119

僕はいつもの様に会社で仕事をしていた。

会社とは言え、ここは社長の自宅である。

社長の自宅の仕事部屋で仕事をしている。

仕事部屋には、板が所々はがれている汚らしい机が2卓あった。

この汚らしいボロの机を使って仕事をしているのである。

ボロの机を使うのはあまり気持ち良くない。

仕事部屋は4畳ととても狭い。

壁には2Mほどの大きな穴があいていた。

その黒い穴からは、柱が見える。

普通の家では見られない光景だ。

しかし、この光景は見慣れているので、僕は平静を保つことができる。

穴の中にほこりがたくさんあるので、大分前に空いたのだと推測できる。

地震が起きたら一たまりもない。

小さい地震ならまだしも、大きい地震だったら一たまりもない。

リホームしないと僕の命が危ない。

こんな環境で仕事を好んでしているわけではない。

五流大学卒の僕には仕方ないのだ。


僕は仕事を怠れない。

部屋が狭いので、社長がすぐ側にいるからだ。

僕の机には山積みとなった書類が、どっさりと置いてある。

それを見ると僕は、顔が青くなり目まいがする。

勉強しておくべきだったと、毎日そう思う。

勉強していたら、こんな仕事をしなくてよかったのだ。

親の言う事を聞いておけばよかった。

そう思う事もあるが、僕は

『今さら悔やんでもしょうがない』

そう心に深く刻んでいる。

僕はポジティブな方だからそう刻めるのかもしれない。


僕が仕事をしていると、

白髪頭で、長い蚕の様な長い白ひげをぶらさげた社長が、僕に話しかけてきた。

「のどが渇いた。ジュースを買ってきてくれんか?」

死にそうな声で僕に頼んできた。

僕は断りたかったが、雇われてもらっている側なので断ることができなかった。

心よく引き受ける様な態度を装いながら承諾した。

社長から120円を受け取り、自動販売機に向かった。

僕はコーヒーを買い、社長の自宅の仕事部屋へゆっくり向かった。


仕事部屋に戻ってくると驚くべき光景を見た。

社長が血を大量に吐きながら、苦しみながら悲鳴をあげていた。

僕の心臓の音がいつもより明らかに早くなっている。

僕は平常心を失っていた。

平常心を失っている事もわからない状態だ。

慌てて白ひげの社長に近づこうとした時、

僕のジーパンのポケットから携帯が落ちた。

僕は携帯を見たとたんに119番を思い出した。

慌てた手で携帯をとった。

震えている手で119番を押した。

平常心をとりもどそうと試みた。

しかし、それは無理だった。

プルルルという音が耳に届く。

僕はいきなり社長の自宅の住所を告げた。

僕はかなりパニくってたが、相手は冷静に対処してくれた。

そのため、すぐに救急車が到着した。


ぶるぶると震えながら僕は社長の乗っている救急車へ乗り込んだ。

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