第31話
考えてもどうしようもないのにあれから先生のことばかり考えてしまった。
そうしていたらあっという間に今日は月曜日だ。浮かない気持ちで学校に来たけれど、先生を避けることは出来ない。朝のホームルーム、授業、そして今。
「藤木さん?考え事…でもしてるの?もしかして、放課後何か用事でもあった?」
「え………。あ、いえ、用事はないです。ただ、気になってることが。っ、あ、いや…なんでも…ないです。」
「?…そう?なんか今日いつもと違って落ち着きないような気がしたからさ。上の空っていうか。」
先生の言うとおり、あの光景が頭から離れない。
先生とあの人の関係も。
わかっている、わかっているのだけれども、ほんの少しの可能性を信じたい。
………でも、やっぱりそんなことなんてない。
その二つの感情がぶつかって、ずっと考えてしまうのだ。
聞けばいい。
聞けばすぐわかることだ。
でも、事実を聞くことが怖くて、前に踏み出せない私がいる。
今の私は無限ループだ。
「そうですか?あんまり昨日寝てないからぼ~っとしてるのかもしれません。あ、そういえば昨日のテレビ見ましたか?」
「あ~見たよ。どれ?もしかして、10時からのやつ?あれは面白かったな、オカマと毒舌男の言いあいがすごくて、笑ったわ~。」
「それです!私もお腹が痛くなるほど笑いましたよー!!それで、あそこで」
本当に聞きたいことを聞けない私は弱虫だ。臆病者の。
でもそれでいいの?私は何がしたいの?
私がしたいことって…。
私が望むのは。
―――真実を知ることじゃないの?