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その日まで  作者: 美玲
26/43

第26話

「おはよ沙良。今日はすっきりした顔してるね。それに、先生とも仲良い感じだったし?」



「おはよ、いい感じかどうかはわからないけど、確かにいろんなものが取れたとは思う。…ポジティブ思考でいくことにしたんだ。そしたら、楽しくなったよやっぱり。」



「うん。沙良はそうでなくっちゃね!暗い沙良は沙良じゃないよ。うるさくないと変な感じするもん。むずむずっていうか、なんていうか。」



「なにそれー!!ひどい!そんなにうるさくないじゃん…!」



いや、うるさいかもしれない…。ほとんどいつも話してるし…否定できないか。



「ははっごめんごめん。明るいのが沙良のいいところだからね。気にするな!!」



「フォローするなら、言わないでよ。…本当Sっけあるんだから。」



「ん?なんか言った?」



「いえいえ、な~んにも。あ、チャイム鳴った。ほら、席戻ろ!」



紫苑ってば地獄耳なんだから…



















「あ、いたいた。」



「先生。どうしたんですか?」



お昼になって、紫苑と二人でお弁当を食べていると川口先生がやってきた。

用事かな?聞きたいこととか?先生はわからないことがあると私に聞いたりするから。

まぁ、聞くと言っても簡単なことだけど、私に聞いてくれるのは嬉しい。


…だって、些細なことでも先生と話できるんだから。



「藤木さん、今日も来ない?今日なら、こないだ会えなかった2人に会えるよ。」



「あ、そうなんですか?行きます。紫苑も今日は行こうよ。」



「うん、佐藤さんもおいで。」



「あ~じゃあ行こうかな?他の先生たちも見てみたいし。」



「ん、じゃあ決定ね。…藤木さんたち何食べてるの?」



あ、このことか。確かに学校でこれ食べてるのは不思議かも。



「昨日作ったロールケーキです。なんだか急に食べたくなって、衝動的に作ってしまったので、おすそわけにみんなに配ったんですよ。」




実は私お菓子を食べるのも好きだけど、作るのも好きでお菓子作りは趣味のひとつであったりする。ときどき無性に作りたくなって、昨日はそれに当たったみたいだ。ちょうど生クリームとイチゴがあったから、カロリーは気になったけど、食べたくなってちょっと豪華にロールケーキを作ることにしたんだ。




ココアの生地で生クリームたっぷり、中にはイチゴを入れて巻いて、外側には溶かしたチョコレートをかけた、こだわりのお菓子。いつも好評だから、なにかあったりするとみんなに作って配ったりするんだ。




「へえ、そうなの。器用なんだね。すごく美味しそうだよ。」



あ、先生にも渡せばよかった…すっかり忘れてた。

どうしよう…あ、…。



「あの、一口どうぞ。これ。」



「え…?いいの?」



「って、口付けたのじゃ嫌ですよね!!」



「いや、全然!食べたいよ。」



「そうですか…?じゃあ…はい―――」



そう言って私は無意識のうちにそのままロールケーキを先生の口元まで持っていった。



「え…?」



「?」



なんで先生止まってるのかな?そう思って見たけど、わからなくて困ってたら、紫苑が言った。



「…あ~ん。してるじゃんそれ。」



あ~ん?あ~ん、ってなんだ。そう思って手元を見た。


………。

………。

………。



あ…!

そっか、だからか!うわ恥ずかしい。癖になってるんだ!!


私は人に食べ物をあげるときに、食べさせてあげることが多かったから、いつもの感じで自然にやってしまったんだ。



「す、すみません!!つい癖でっ!」



そう言って手をひっこめようとしたら、その手を先生が急につかんでそのまま…




食べた。




いや、食べたのはいいんだけど…




私の指についたクリームを舐めとったよね…?




「うん、うまい。生地もしっとりしてるし、イチゴもいいアクセントだね。」



改めて自分の指を見て、はっとした。



「?!?!?!」



「あはは!!沙良顔真っ赤!!か~わいいー」



「っ本当だ!っっはは!!」



「いうあ…いや、ちょ…あの、え?え?え?!」



だって、今先生私の手をつかんだままロールケーキ食べて、その体勢だけでもすごく恥ずかしいのに、そのときに私の指に先生の唇が触れたんだよ…



こんなの耐えられないよ…恥ずかしすぎる…


先生も最初普通に困ってたのに…その時点で気付けばよかった…



こんなのドキドキするよ…誰だって…しかも相手は先生なんだから…




「ったく。面白い反応だな~。じゃあ、放課後ね。…ごちそうさま。」



最後に先生は私の顔を見て、意地悪な…にやっとした顔で言った。



これは絶対、朝の仕返しだ。これに比べたら、私のなんて可愛いものじゃない…

でも…ずるいよ。ずるい。







こんな…こんなのドキドキが止まらないよ。

どうしてくれるの先生。




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