表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その日まで  作者: 美玲
22/43

第22話

「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」



―――ボヌール。ここは、今時のカフェという感じではなくて、あったかい昔ながらの喫茶店に近い私たちお気に入りの店だ。店は喫煙席と禁煙席に分かれていて、もちろん私たちはいつもカントリー風の禁煙席に座る。禁煙席は、アメリカの田舎町っぽい雰囲気に作られていて、ブランコ型のテーブルがあったりする可愛いイメージ。喫煙席はアジアンなムード漂う大人な雰囲気で、いつも喫煙席の方を見ながら、あっちの雰囲気も好きだなと思う。



「いつもの席でいいよね?」



「うん。」



いつも私たちが座るのは、窓側の角のテーブル席で、角ということもあってかすごく落ち着くのだ。そして、各テーブルに置いてあるおみくじをやったりするのが恒例だったりする。それは、全体が地球儀みたいに丸くて(高さは15cmくらい)、100円を入れて自分の星座に焦点を合わせて、レバーを引くとおみくじが入った直径1cmくらいの小さいカプセルが出てくるものだ。あんまり具体的なことは書いてないんだけど、なんかめずらしくって面白いから、待っている間にそれをやって暇をつぶしたりする。私は、悩みに悩んで、チーズタルトを、紫苑はイチゴタルトを注文した。



「今日もこれやるよね?」



「うん、やろうよ。…って言っても、私、あんまりいいの出ないような気がするんだけど…」



「大丈夫だって!悪かったとしても今日の運勢ってことだから!」



「…まぁ。そだね。」



ふたご座に焦点を合わせて、悪いのが出ませんように!と思って、レバーを引いた。



「赤ボール…」



なんか赤って悪いのが出そう…



「早く開けなよ。気になるじゃん。」



小さい開けにくいボールを開けると、小さくたたまれた和紙っぽい紙が出てきた。



―――小吉。あまり悩みすぎないこと。悩みすぎると判断を誤ってしまうことも。



「…だってさ。なにこれ…見てんのか?って思ったよ。」



「まぁ、なかなか的を得たことを言ってくれるね…。恋愛運のとこは?」



「うん。ええっと…」



―――現状維持が好ましい。



「現状維持…?この微妙な状態のこと…?」



「つまりは悩みすぎるな、深く考えずに、自分の思うまま行動しろってことじゃない?現状もそんなに悪くないと思うよ?」



「…そうかな。そういえば、紫苑に話してないけど、もうわかってるよね?私の悩みも…誰のことかも…」



「うん…相手が相手だもんね。悩んでる沙良の気持ちもわかるよ。…私も口出していいかわかんなかったから黙っていたけど。」



「そうだよね…言わなくてごめんね。なんか…やっぱり言えなくてさ。自分でも認めたくないのもあったし、まだはっきりとは認められてないけど。…先生のこと。」








―――先生。言葉にするととても重く感じる。私は生徒、川口先生は先生ではないけど、私たち生徒とは違う。…対等な立場ではないから私は先生の隣に並ぶことなんて出来ない。





先生との壁を壊す日。そんな日なんて来るのだろうか…




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ