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その日まで  作者: 美玲
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第2話

今日もこれからいつも通りのホームルームが始まる。担任から授業や行事に関する連絡を聞くのだが、これもまた退屈な時間である。



「おはよう、みんな。今日の連絡をする前に、うちのクラスの来た教育実習生を紹介したいと思う。」



いつもとは違った担任の言葉に反応して、おおーーー待ってました!!とか可愛い先生がいいな~。かっこいい先生がいいな~。などと言って、一斉にみんなが騒ぎ始めた。



教育実習生が来ることをすっかり忘れていた私は、あれそうだっけ?と隣の席にいる紫苑に話しかけた。



「そうだよ~。もう、沙良は興味ないことはすぐ忘れるんだから。でもどんな人かは気になるね。楽しい人がいいな私は。」



「どうせそんなに仲良くなることなんてないから、どうでもいいかな。去年の教育実習生とも仲良くならないまま終わったし、どんな人だったかも覚えてないくらいだもん。」



「沙良ってば、冷めすぎ。ちゃんと覚えててあげてよ。まぁそんなんじゃ今年も、教育実習生とは仲良くならないのかもね?」



「おーい、みんな静かにしろ。それじゃ紹介出来ないだろうが。」



やっと静かになったクラスに、先生の声が響く。



「それじゃ、入って来て、川口君。」



「はい。失礼します。」



その声とともに、スーツを着た長身の男の人がドアを開けて入ってきた。

その姿を一斉に見つめたみんなは一瞬静かになったが、すぐに教室が再び騒がしくなった。



特に、女子がである。なぜなら、入ってきた人が顔の整ったかっこいい人であったからだ。さらさらの黒髪に、顔が小さく、目は切れ長で鼻は高いわけではないがすっとしていて唇が薄い。口角が上がっているのでクールながらも、嫌味のない顔立ちになっているのだと思う。



すぐに観察をした私は、とりあえずそれで満足して、みんなと騒ぐことはなかった。確かにかっこいいが、私は年上には興味がないし、どうせすぐいなくなるのだ。そんな人に騒ぐほど、私は可愛い子ではない。



だから、その後に続いた川口先生の紹介もきちんと聞いてなかったし、顔もそれ以上見ていなかったので、川口先生の第一印象はかなり薄いものだった。どうせ関わることなんてないんだから、どうだっていいと思っていた。








そう思っていたのだ、このときまでは。





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