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その日まで  作者: 美玲
18/43

第18話

「あ、もうこんな時間ね。藤木さん大丈夫?」



「え?」



―――時間?そんなに経ってた?

美穂先生にそう言われて、時計を見ると、この部屋に来てから3時間近く経っていた。



「もうこんな時間…!私帰りますね。…今日は時間が経つのが早いくらい楽しかったです!!」



「うん、またおいでよ!女の子はやっぱり楽しいわね。可愛いし私藤木さん気にいっちゃった!」



「ありがとうございます。本当にまた来ちゃいますよ?」



美穂先生の言葉が嬉しくて、つい本音を言ってしまった。



「うん、来なよー!そうすると、美穂先生も喜ぶしさ!」



「そこは言わなくていいだろ…。でも、ここに来るのに遠慮はいらないと思う…。」



高橋先生と笠井先生らしい言葉で、ここにまた来ることを勧めてくれたことが嬉しくて、思わず笑みがこぼれてしまった。



「…はいっ!!そう言ってもらえて嬉しいです。」



「っ………。」「可愛いーーー!!藤木さんって、笑顔がすごく素敵ね!!花が開くみたいに綺麗だわ!!」



私が笑うと美穂先生が突然はしゃぎだしたので驚いてしまった。―――だから、私は気付かなかったのだ。…川口先生がどんな顔をしていたのかなんて。



「そ、そうですか?」



「うんうん!!すっごく可愛い!!綺麗!!ね、川口先生?」



「…そうですね。俺も、可愛いと思うよ。」



「?!?!?!」



同性から可愛いと言われるのは、くすぐったいけど、すごく嬉しくて、素直に受け止められる。だけど、異性から、可愛い、って言われるとどうしていいか、わからなくなる。嬉しいけど、恥ずかしくて、本当に?って思ってしまう。だから、先生の、可愛い、の一言にも戸惑ってしまった。



胸がぎゅうっとするのはどうして?



異性だったら誰に言われてもこうなってた?ううん。そんなことない。これは、きっと。



「わ、私、帰りますねっ!!さ、さようならっ。」



どうしていいかわからなくて、私は先生と同じ空間にいることが苦しくなって、結局逃げるしかなかった。………だけど、わかったことがある。





先生が私の心に入り込んでくれば来るほど、苦しくなる。なのに、私をまっすぐに見てくれることにどうしようもなく心動かされて、私、先生のこと前よりもっと知りたいって思ってる。まだ、この気持ちに名前をつけていいかなんてわからない。


だけど、もう始まってるんだ。私にだって止められない。

だから、だから。出来るなら。














―――どうかお願い。これ以上私を惑わせないで。



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