第12話
「川口先生また女の子に囲まれているよ。モテるんだねぇ、なんというか上にも下にもきゃーきゃー言われてそうだもんなぁ…。軽くアイドルだね~。沙良もそう思わない?」
今日のお昼はサンドウィッチで卵サンドはやっぱり美味しいなぁ。なんて思っていると、先生が教室に入ってくるのが見えた。また女の子が群がっている…。学校って若い先生がほとんどいないから、やっぱり目立つんだよね。それに先生は顔が整っているから余計に人気がある訳だ…。―――私は素直じゃないから、なかなか思った通りに行動が出来ない。人と同じものは嫌というか、同じようにはなりたくないから、みんなが好きって言っているものに自分が多少興味があっても興味がない振りをしてしまうんだ。それは先生に対してもそう…。みんなが騒いでいるときは、そこに群がりたくない。
「ん…?うん、そうだね。私たちの周りにはあそこまで人気ある人いないしね。高校のときもモテただろうから、争奪戦だったかもね?」
「…そういえばさ、先生って他の子に対する態度と沙良への態度違うよね。なんか沙良には壁がないというか…着飾ってないなぁって思った。」
「私が生徒の中で初めてたくさん話したからじゃない?それに私は、先生にがつがつしているわけじゃないから、普通に接しても本気になることはないって先生も安心してるんだと思う。」
「あぁ確かに他の子たちは…頑張っているよね。自分を見てもらおうって必死なのがわかるわ…。」
そう他の子たちは先生に自分だけを見てもらおうと一生懸命に話しかけている。出来る限りのおしゃれをして、化粧して…。紫苑はそんな姿に辟易しているみたいだけど、私はうらやましくも思う。思っている通りに動けて、振り向いてもらいたくて頑張っているのは好ましくも思うし、なにより私と違って可愛い…。少しくらい私も素直になれたらいいのに…。