第10話
「そういえば、川口先生は高橋先生とずいぶん仲よさそうですね?」
私が少し気になっていたことを紫苑は聞いてくれた。紫苑からすれば、たいして気にもなっていないことかもしれないが。
「あぁ。あいつとは…って、高橋先生とは2.3年同じクラスだったからね。顔見知りなんだよ。言うほど仲良くは…」
「あいつって…思ったより仲いいんですね。」
同じクラスだったんだ…。その割に仲いいというのを認めたくなさそうだけど…。
「川口せんせーい!!早く戻ってきてくださいよ!!」
「あ、はい!…それじゃあ、俺は戻るね。」
「どうぞ、仲良く二人でやってくださいねー!!」
「いや、だから…。あ、藤木さん佐藤さんのとこまでボール飛ぶといいね。細い分力が足りないのかな?」
「え?!見て…?!って先生言い逃げですかー!!」
先生はどうやら私たちを見ていたようだ。いつの間に見ていたんだろう…。
…恥ずかしいから見ないでほしかったのに。
「なんで見てるんですかー!!」
そう言ったときに思わず顔がゆるんでしまったのは仕方がないと思う。
だって、私を見ていてくれたなんて。
やっぱり嬉しいと思ってしまうよ。…先生。