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My Story  作者: とらっく
最終章~『MYSTORY』 ~
19/20

第二話

初めて小説を書かせていただきます。

それ故、右も左も分かりません。

迷惑をかけてしまうこともあるかもしれませんが、よろしくお願いします。


注意 この小説には『妖怪』、『陰陽師』に対する自己解釈が多く含まれています。


それでも気にしない方はどうぞ、お楽しみください。



第ニ話














あれから、急いで服を着替えて、出発した。


僕の所為で予定が大いに狂ったけど。


まず、ファーストフードを食べた。


田舎にある数少ない世界的ファーストフード店で、遅い朝食をとることになった。


案の定、店内はスカスカだった。


僕は中学生だ。


それなのに、一人暮らし。

父さんも母さんも、牢獄の中だ。


これを隠す気はない。

むしろ、開示する。


それが、僕が出来る罪滅ぼしだ。

いや、罪増やしだ。


まあ、とにかく、家計というか懐事情があれなのだ。


スカスカなんだよ。


「おいしー!! 何これ!? ぱないッ!!」

「地味にへこむよ、その反応」


まあ、凪に申し訳ないけど仕方がない。


しかも、店員から冷ややかな視線を送られてることに気づいていない。


まあ、そんなわけで遅い昼食を食べ終わり、店外へと。


太陽の下に。


「暑いね」

「熱い」


熱い。


何でこんなに熱いんだ?


ん、漢字が違う?


気のせい気のせい。


「ねえ、終夜あれなんだろ?」

「……」


何時かの時のように、人だかりを見つけた。


丁度、あの散髪店の前に。















「おお!!」

「さすが、波佐見のとこの娘!!」

「親父より上手いんじゃないのか!!」

「てへへへへ、そんなことないよー」


結論から言うと。


そこには、鋏を手にした波佐見計斗と。


茶髪のボブカットで、穏やかそうな雰囲気を放つ少女と。


商店街の親父共が集まっていた。


思わず。


「何してんだよ?」

「あれ、終夜先輩、こんちはー」


そんなに眩しい笑顔でこっちを見るな。


眼が痛い。


「えへへへ、お姉ちゃん、ありがと」

「いえいえいえいえいえいえいえいえいいえいえいえいえいえいえいえいえ」

「いえが多い」

「どういたしまして」


なんだか魔法の詠唱みたくなってる。


いや、どちらかと言うと呪いの類だね。


「で、何してるんだよ」

「見て分かりません?」

「分かった。大道芸だね」

「客引きですよ」


違った。


「こうやって、パフォーマンスによって客を集めるんです」

「中学生だろ!? 仕事しちゃまずいだろ!!」

「趣味です。テヘッ」


おいおい、僕らの町に法律はないのか?


十三歳の中学生が働いてるよ。


大丈夫なのか、日本。


テヘッと舌を出して可愛く笑えば許されるのか?


「で、さっきの子は誰なんだよ」

「えっと、確か、く、くれな?」

「外国人?」


クレナ?


聞かない名だし、第一外国人なんてこんな所に来ない。


まあ、すっかり凪を放って置いて何だけど。


意見を聞こうとして、ギョッとした。


「凪ちゃん、元気にしてるかい?」

「は、はい」

「お腹、空いてないかい?」

「へ、平気です」

「お風呂入ってる?」

「も、勿論です」

「結婚してくれ!!」

「嫌ですぅ!! っていうか、奥さんいるでしょ!!」

「写真を!!」

「べ、別にいいけど」


……。


あれ、あれれれれれれれれれれれれれれれれれ?


凪がこちらをちらちらと横目で見る。


「終夜参拝こそ『れ』が多いですよ」

「なんだ、終夜参拝って。僕は新しい宗教なの?」


そんなことより。


調子に乗ってる計斗はほっといて。


何故、凪の事をこんなに知ってる?


ちょっとした有名人じゃないか。


一体、どうして?


僕よりも、名が知れているんだ?


「えっと、その、うーんと」

「凪ちゃんのお陰で見つかったあの結婚指輪、大事にしてるわよ」

「凪のくれた白い羽、僕のお守りだよ」

「洗濯物拾ってくれてありがとな!!」


凪が笑顔で手を振りながら。


僕にではなく、人々に向けて手を振りながら戻ってきた。


僕の元に。


戻ってきてしまった。


「な、凪ちゃん!!」

「な、何?」


いきなり声を荒げたたしか八百屋の主人に首をかしげる。


僕の隣で。


ちょっと、待てよ。


待て、待て、待て、待て!!!


「そ、その子と知り合いなのか?」

「え、終夜のこと?」

「ヒッ!!」


何処からとも無く悲鳴が聞こえた。


小さな、恐れの声が。


「そ、そいつは人殺しだ」

「え?」

「そいつは!! 自分の両親を殺したんだぞ!!」

「な、何言ってるのよ、え、終夜?」


僕と人々を交互に見る。


「離れろ、離れろ」

「凪ちゃんから離れろ」

「化け物!!」


これが、僕の名が知れ渡っていない理由。


雑賀、終夜と言う名ではなく。


『化け物』、こっちが知れ渡ってしまったから。



僕の名は、知らない人が多い。



「死ね、死んじゃえ!!」

「ちょっと、や」

「やめろ!!」


気象の荒い声が響いた。


波佐見、計斗。


僕の正体を知った上で、何ひとつ同情も譲歩も敵対も嫌悪もせず。


話しかけてきてくれた。


「うちの店の前でそんな事しないで!!」


売り上げが落ち込むでしょ、と。


人々を睨みつけて言った。


その言葉を聞いて、少しずつ人々は消えていった。


最後に、一人の男の子が残った。


凪にそっと近づいて。


「凪ねえちゃん、僕絶対お姉ちゃんを助けてあげるから」

「え?」

「あいつから、救ってあげるから」


そう言って、僕を見た。

そう、その眼だ。




何故、お前がそんな眼をする?






「ひ、う、わあ、げ、お」

「お前に、何の権利がある?」


その目で僕を見ていいのは。


あの子だけだ。


それ以外の奴がそんな眼で僕の事を見るならば。




万死に値する。




「終夜先輩、あなたも、これ以上うちの店の評判を下げるような真似をするなら」


何時の間にか握っていた鋏から金属音が鳴った。


切る、と。


繋がりを。


少年の足元の石が、消えた。


何の前触れも無く、消えた。


いや、前触れはあったけど。


僕にしか、認識できない。


「それは、困るよ」

「そうですか。良かった」


ごめんなさいと、僕に頭を下げた。


「僕のほうこそ、ごめん」


そう言って。


その場に、気を失った男の子と。


動けない、凪を残して。


僕は、消えた。


僕のことを認識できる者を消した。















「な、凪ちゃん!!」

「な、何?」



「そ、その子と知り合いなのか?」

「え、終夜のこと?」

「ヒッ!!」



「そ、そいつは人殺しだ」

「え?」

「そいつは!! 自分の両親を殺したんだぞ!!」

「な、何言ってるのよ、え、終夜?」



「離れろ、離れろ」

「凪ちゃんから離れろ」

「化け物!!」



「死ね、死んじゃえ!!」

「ちょっと、や」

「やめろ!!」



「凪ねえちゃん、僕絶対お姉ちゃんを助けてあげるから」

「え?」

「あいつから、救ってあげるから」


「終夜先輩、あなたも、これ以上うちの店の評判を下げるような真似をするなら」


「それは、困るよ」

「そうですか。良かった」


「僕のほうこそ、ごめん」


何で、?


私と終夜はデートをしていたんだよ?


楽しみにしてたんだよ?


なのに、どうして?


「凪さん」

「いや、いや」

「凪さん」

「うそ、うそ」

「凪さん」

「なんで、なんで」

「凪さん」

「……」


私の頭の中で、言葉が再生される。


(「そ、そいつは人殺しだ」)


終夜が、人殺し?


(「そいつは!! 自分の両親を殺したんだぞ!!」)


だって、終夜の両親は牢屋に入ってるんじゃ?


(「離れろ、離れろ」)

(「凪ちゃんから離れろ」)

(「化け物!!」)


終夜が化け物?


私を助けてくれた、終夜が化け物?


「凪さん」

「ごめん、ちょっと混乱しちゃって」

「笑わないで」


私が精一杯の笑顔を浮かべる。


ほかに、どんな顔をすればいいの?


「笑えば良い訳じゃない」

「……じゃあ、どうすればいいのよ」

「それが分からない内は駄目」

「じゃあ、あんたは何が分かるの?」


終夜の何が?


「少なくとも、凪さんよりは分かっています」


言い切った。


「終夜先輩のことぐらい知っていますよ」

「……」

「あなたは、何も知らない」

「……」

「それでは」


言うだけ言って、計斗は古びた階段を上っていった。


その姿が見えなくなるまで、私は睨みつけていた。


憎い、その背中を。















「はは、化け物発見」

「ああ?」


後ろから声が聞こえた。


振り返る。


振り返れなかった。


振り返る前に、蹴り飛ばされた。


背中に跳び蹴りを食らった。


「痛ッ!!」


地面をうつぶせで滑る。


全身が砂利で摩り下ろされるような感覚。


大根の気持ちが分かった。


痛い。


「とうッ!!」


掛け声と共に。


僕の頭が蹴り飛ばされた。


誰に?


僕に跳び蹴りをした少女が。

茶髪で、小柄の少女が。


一瞬で滑る僕の頭に回りこんで、蹴った。


「ゲホッ!?」


おかしい。


人間業ではない。


どう考えても、おかしい。


ゆっくりと立ち上がる僕に追撃は来なかった。


もう一度、少女を見る。


茶髪のボブカット。

赤いジャージが上下。


落ち着いた顔立ち、なのに雰囲気から分かる。


『武』。


「さあ、化け物が立ち上がったぞ」


まるで、楽しむように僕のほうを見ている。


実況するかのように、説明口調だった。


「あたしは、『正義』。化け物退治をしに来た」

「ああ、そうか。良かった」


それなら、分かっているよね?


覚悟は、出来ているね?


「そうこなくちゃ、つまらないじ」

「さようなら」


一撃。


悠長に喋っていた少女のみぞに、膝を立てた。


しかし。


避けられた。


誰にも認識できないはずの、僕の行動が。


「ふふ、丸見え」

「な、なんだ、お前の能力は!!」


認識を操っているのに、それを裏返らせた?


どんな能力だ?


「『耐性を操る力』、だよ」

「耐性?」


やってあげる、と。


言って、少女は僕の不意打ちを喰らった。


いや、『不意』ではない。

認識できないだけだから。


認識不可能の回し蹴りを受けた。


腹に。


受け止めたんじゃなくて、受けた。


それなのに。


それなのに。


動じない。


心も体も。


「今のは、痛いけど、平気」


こんな少女くらい、軽く吹き飛ばせるくらいの威力があった筈。


それなのに、動じない。


「衝撃に対する耐性をあげたから」

「まさかッ!?」


そういうことか。


少女の蹴りに対する耐性を上げた。


ゲーム風にいうと、防御力を上げた。


そうすれば、自然でありながら、不自然に蹴りの威力は低下する。


蹴りの姿勢で固まった僕の腹に拳がめり込んだ。


声が、あげられなかった。


呼吸が止まった。


「何処見てるのさ」


続けて、視界がぶれた。


僕の頭が刈り取られるように蹴られたと気づくのは。


僕の口から血が零れたあとだった。


「これは力じゃなくて、私の才能だけど」


武術を扱い、防御力を操る少女。


人々の僕の『認識を操る力』の耐性を高めた。



つまり、僕は。

雑賀終夜は。

化け物は。


人々に、認識されてしまった。




僕のことを知っている人間は少ない。

雑賀終夜の存在を知る人間は少ない。


だけど。


名前も住んでる場所も何もかも分からない中学生。


正体不明の中学生が居る。


これが、都市伝説ならぬ、田舎伝説。


それが、僕。


影が薄いはずだった。


それが、この少女の所為で。


影が戻ってしまった。


「じゃあ、ごめん」

「は?」

「殺す」


僕は、声を掛けた。


認識した。


僕に取り憑いた、神さまに。


祟り神に。


「百鬼夜行の終焉を司りし神に告ぐ」


僕の影が、疼いた。


「願わくば、もう一度」


僕のために動けと。


決まり文句を呟いた。


次の瞬間……。


僕は、沈んだ。
















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