第27話 強くなる為
─拠点二階、訓練場。
二人は準備運動をしながら話す。
「崇城君の能力は強化増幅、シンプル故に応用が利く。」
「はい、攻防特化って感じですね。」
スッ
「簡単な話、強くなるには理論が大事。生半可な感覚派はそこで詰まる・・・崇城は理論派っぽいからこの戦いで何か掴んでくれよ。」
能力は人によって何もかもが違う。それ故似た実体験や他者から聞いた話から情報を得て自身で深堀するのが一般的だとされている。
だが手っ取り早い話、戦って身に刻み込んだ方が速いとされる。戦いのための能力は戦いでこそ真価を発揮する。
「行くよ、簡単にへこたれるな!」
「強増力ッ!舐めないで下さいよ、一応運動の副部長やってるんで!」
パッ
先動くはデバーノ。特殊な装飾が施された仮面が出現する。
(師匠の能力!あの仮面、前とは違う・・・。)
「〈闘士の仮面〉、ステゴロは好みじゃないけど、殴られた方が殴り方を知れるだろ。」
─接近、崇城は仮面を狙う。
シュ ガ
「おわ!投げ?!」
「体術も仕込まないとな。」
デバーノが持つ仮面に手が届く一瞬、手首を掴まれ流れるように後方へと投げられる。その様子はまるで子供をあやすが如く。
(あれじゃ遊ばれているようなもんだ!師匠の強さの底が知れない!)
「力を限界まで・・・ッ!強増力!」
崇城の脚が赤く筋が浮き出る。
「脚の強化は前に失敗してたげど、何か策でも?」
ヘタな強化は逆に自滅に繋がる。
(まだ仮面をつけてない今!前のような進発力を前方のみに集約させる。)
「ストロング・ダッシュ!」
ガシ!
「グッッ。」
デバーノは自身ではなく崇城に仮面を被せる。
「脚を強化した後力を増幅させる。無意識下の制御・・・不意に力を入れ過ぎれば肉体は壊れる。」
「ガァァァァア!クッ?!」
「痛みだけだ。大怪我はさせない。」
─訓練は正に過酷。
デバーノは自身に仮面を着ける。
「立てるだろ、同じ土俵だ。」
「ハァはぁ・・・強くなる為に!」
崇城は痛みに耐え構える、デバーノは見下ろすが如くスっと立ち腕を前に構える。
「強増力。」
「こちらも、〈強靭体躯〉。」
─力は均衡。
崇城はデバーノが言った言葉を思い出す。
(崇城君の成長速度的に既に応用篇・・・応用。)
思考の狭間に拳が入る。
「ゴバァッ!」
「考え事は後にしなさい、実践なら死んでるぞ。」
(顔面!モロに喰らった・・・痛ェ。)
「鼻血は出てない・・・殴った瞬間に治した?」
(さっきも脚を破壊されたのに治ってたしこれも師匠の能力?)
ドン
「フゥー、集中だ。」
「良い顔だな、崇城君の良さが出てるね!」
「力は深くそして多面的、この言葉は種・・・崇城君思ったより頭硬そうだから、この言葉を軸に理論を立ててみるといい。」
「力は深くそして多面的・・・?なら強増力・ストライク。」
強増力・ストライク、肉体強化ではなく力を溜める動作の強化。一瞬の思いつきと感覚のみで運用していた技。
「隙はあれど通常運用より圧があるね。」
十分に溜まった力は通常運用の約三倍、通常が岩や強化された壁を粉砕する程の威力考えると絶大。理論化した技は更に力を増す。
「ストライク!」
攻撃のみに絞った正拳突き、デバーノに向かう。
「こちらも拳で語り合おう!」
「強靭体躯・凶悪突拳!」
・・・
力の差は歴然だった。崇城の拳はデバーノには届かなくとも、得たヒントは崇城を成長させるだろう。
「崇城君の力と技の反動で腕がへし折れた・・・こんなのは初めてかも?」
崇城は吹き飛び壁に突き刺さっている。
「それにしてもとんでもない力だ・・・崇城君、君は君が思った以上に強くなるよ。」
「師匠・・・もう少し手加減してみては?気を失ってる。」
「千瞳君、崇城君を部屋に運んだげて。傷はないけど流石に意識は無くなっちゃたか。」
千瞳は崇城を抱え訓練場を出る。
「凄いな・・・師匠にあれ程の傷をつけるなんて。お疲れ様崇城。」
To Be Continued




