第16話 言っても聞いても見なくとも。
─公園
「行け、言わ猿。聞き猿は足を狙え。見猿は言わ猿の補助をしろ。」
三体の猿が素早く動く。崇城は一番脅威を感じる言わ猿に標的を絞る。
「三体の猿、やるなら一撃で。」
「強増力・ストライク。来いよ猿!」
「ウッキーッ!」
言わ猿の猛攻、素早くしなやかな腕は攻撃の軌道を読みずらくする。だがその攻撃が届くことはない。既に崇城の拳が言わ猿を捉える。
「ウキッ!」
(まずは一体!)
崇城の重い一撃は確実に当たるはずだった。見猿により攻撃タイミングをずらされなければ。
「ウッカ~!」
肩を捕まれバックキープで首を絞められる。
「グッ、力がえげつねぇ。」
(だけど、この体制なら、地面に叩きつけれる。)
崇城は体に組み付いてきた見猿を能力でがっしりと掴み跳躍する。聞き猿に足を引っかかれるが、崇城は止まらない。
「その程度じゃ止まらないぜ!」
「ウッキッ。」
叩きつける体勢に移ろうとする瞬間。崇城はとある違和感に気づく、耳が聞こえないという事に。
(なんだ、何も聞こえない!?感覚が狂う。)
崇城は今まで感じたことの無い違和感に襲われる。高く跳躍した状態でちょっとした錯乱に近い状態に陥る、その隙を見逃さず、見猿は拘束から抜け出す。
崇城の錯乱に近い状態ではその事に気づくことはなく、崇城は受け身も取れず地面へと激突する。
「ゴハッ!は、はぁ、は!」
(息ができない・・・、着地できなかったッ。)
「皆そんな感じになるんですよね。あぁ、聞こえないか。能力解除。」
少年が指を鳴らすと、崇城の耳が音を取り戻す。
「僕の能力、ちょっと考えば分かるでしょ。」
〈見聞言猿〉。言わざる、聞かざる、見ざる。それぞれにあった内容の猿を三体召喚する。召喚された猿は傷をつけた相手にその内容にあった効果を与える。
「はぁはぁ・・・、あの猿の攻撃は絶対に受けれないって、訳か。」
「回復できたようですね、では。行け見猿言わ猿。」
崇城は同時に詰めてくる二匹を見る、それぞれの動きを観察し思考する。
(猿は猿だ、素のパワーは俺より圧倒的。能力を使ってようやく上回れる。)
猿一体を倒すのに手間はかからない。だが、猿同士の連携はまるで、三匹が一匹のように思わせる程、繊細。
(動きを封じる!)
「強増力・ストライク!!」
崇城は叫ぶ、それと同時に二匹の猿は両サイドへ飛び、挟み込むように攻撃を仕掛ける。
「そう来ると思ったぜ!」
崇城の狙いはただ一つ、地面を崩すこと。
「オラァァ!」
「「ウッキッ!?!」」
「強増力・ストライク!回し蹴り。」
地面を穿つ衝撃は二匹の猿を空中へと飛ばす。崇城は無防備になった猿をためにタメた強靭な蹴りにより二匹の頭部を飛ばす。
「これでどうだ!お得意の連携も動く為の足場がなきゃ、できないだろ。」
「これ程までに、無謀な人とは。虫唾が走る。」
崇城の攻撃により、残り一匹となる。
「さぁかかって来い。」
「終わりです。」
少年の一言いうと、既に聞き猿は崇城の眼前まで迫る、崇城の無意識に迫る強力の拳は崇城を凄まじい勢いで、殴り飛ばす。
「ウキ!」
ドゴン!
「お兄さんはどうしようもないバカで単純で、正直目も当てられない。」
「お兄さん言いましたよね、将来の為とか色々、この世界に将来なんてないですよ、様々所では魔獣や犯罪者ば跋扈してる。」
「この世界で生きるには、強さが必要なんですよ。」
崇城の意識は微かに残っている。
「地面を崩すのは素晴らかったですよ。でも、その後の油断で全部台無しですけど。」
「それと最後にです、ここは皆が協力して作った公園ですので、破壊行為は避けてくださいね。」
少年は崇城を見下ろし、蔑むように去って行く。崇城はそのまま眠るように気絶するのであった。
───────崇城 優人───────
敗北。
To Be Continued
とある能力メモ・壱
弔来村の宿屋の女将さんの能力
〈遥遠くの故郷の味。〉マザー・ラブミー
故郷の味とはママの味。一度食べてしまうとあの頃の朝の食卓を思い出す。うっううぅ、ママァ!




