第14話 女将さんと犬
─宿の正面玄関
「あらあら。こんな遅い時間にイケメンがこんな宿に入ってくるとはねぇ。」
正面にあるカウンターの奥から恰幅の良い女性が入ってくる。
「お久しぶりですね、女将さん。」
「デッバーノ!まだ生きてたんだねぇ。」
「そこに居るのは千瞳ちゃんと、真奈ちゃんかと思ったけど、新顔ねぇ!」
崇城の顔を見る女将さんは母のような雰囲気を纏っていた。
「初めまして、崇城 優人と申します!」
「あら、お行儀がよろしくてぇ~。」
女将さんは慣れた手つきでデバーノに部屋の鍵を渡す。
「いつもの場所のよ。なんかあった日はすぐ寝ることよ。」
「感謝するよ女将さん。」
「さぁ、行くよ部屋は二階の102号室だね。」
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カウンター横の階段から二階へと向かう。
「ここの宿は二人の夫妻が経営する宿でね。夫妻共に安心の居心地を提供する能力を持つんだ。」
「一晩寝れば、疲れは消えて。女将のご飯の味は故郷の味。これ以上の宿はそうないよ。」
デバーノが語り終えると同時に部屋の前へと着く。
「今日はさっさと寝るとしよう。特に君たちは死ぬかもしれない戦いをしたんだからね。」
そうだよな。あの時、千瞳のファインプレーがなければ、子供達や俺自身も死んでたかもしれない。
崇城は肩をすくめる。
「崇城、心配するな。この世界ではよくある事だ。」
「はぁ、そういうことではないんだけどな。」
─翌日の朝 8時50分、宿の外。
「崇城君には、この村のことをもっと知ってもらう為に、慈善活動的なことをしてもらうよ。」
「困ってる人があれば助けてあげてね。」
「僕達は別件の依頼があるから、午後3時ぐらいになったら宿で落ち合おう。」
二人はそそくさとどこかへ行ってしまう。
「困ってる人なんてそういないよなぁ・・・。」
崇城がそう呟いた瞬間、後ろから子供の泣き声が聞こえる。
「?!何事だ!」
トッ!
崇城が泣き声が聞こえる場所へ行くと、子供と木の上によく分からない犬の風船のような物があった。
「どうしたの?」
「あのねぇ・・・、ワタシのわんちゃんが木の上から降りれなくなっちゃったの。」
(風船が木に引っかかったのか。)
「お兄ちゃんが、わんちゃんを助けてあげるからね。」
(犬の風船、割れないように注意して救わなければ。)
「強化ジャンプだと危ないし、ここはよじ登る!」
崇城はロッククライミングの要領で木を登り犬風船の所まで駆け上がる。
「よし、後は回収するだゴフ!」
崇城が手を伸ばそうとした瞬間、風船だと思ってた犬が凄まじい勢いで崇城の顔面にしがみついてくる。
「ワン!」
「フグ!息ができない!」
不意をつかれた崇城は勢いそのまま地面へと叩き付けられた。
「ワンタ!」
フワフワ
「イヌヌワン!」
「お兄ちゃんありがとう!」
今の崇城にとってその子供の感謝の言葉は唯一痛みを和らげる言葉となった。
「いたい・・・、でもわんちゃんが無事なら良いか・・・。」
To Be Continued




