ターゲット2、店長だったもの
これから食事をする人は読まないでください!
食事を終えてお腹も落ち着いたら読んでね。
「妹への料理を作って貰うのに 勝手ながら色々条件を付けさせて貰う」
でかい厨房に案内され彼女が只者ではない事を察し正座して聞いていた。
「とは言っても簡単なことだ この肉を料理全てに入れて欲しい」
取り出したタッパーにはあまり見たことの無い肉が入っていた。牛や豚でも鶏でも無い、正体不明の肉を見て不安が募る。
「何の肉ですかこれ…知らない肉だとどんな料理に向いてるか研究から始めないと」
「絶対に食べるな!」
彼女は怒鳴る。味見もせずに調理しろとは無茶難題じゃないだろうか、もうこの仕事を引き受けた事に後悔し始めてきた。
「せめて何の肉か教えて下さいよ 匂いも嗅いじゃダメとか?」
「匂いは良いんだが…私が居なくなってから確認してくれ」
「居なくなったら味見しちゃうかもしれませんよ」
「絶対に食べるなと言っているだろう!」
怒声と蹴りが飛んでくる。暴力は良くないと宥めながら渋々この依頼を承知した。
味見も出来ない肉、しかも作る料理全てに入れるって中々変な事を頼むもんだ。サラダやスープにも入れなくちゃならねえのかよ栄養バランス考慮させてくれ。おまけにこの肉めっちゃ臭い。彼女が居たら吐いてたかもしれないなど色々文句を呟きながらも何とか料理を試行錯誤した。
そして何とか、あの臭い肉が全てに入ってるとは思わせないフルコースを完成させたのだった。我ながら天才かと自惚れてしまう位に。写真を撮り彼女に送ると料理そのままに帰って良いと返事が来た。その寵愛しているであろう妹が食べている所を見たかったのだが、それも叶わないか。まぁきっと満足してくれるだろう。感想を楽しみにしながら、不安だった初めてのお仕事を終えて帰路についた。
帰り道にフラっと昨日まで働いていた店に着いた。あんな事があって店長はどうしてるのだろうか、少し怖いが好奇心に逆らえず来てしまったのだ。夕方ならかなりの客が入るはずだがどうやらこの日はそうでもないらしい。この店に空いてる日なんてあったのか。俺が働いている時にここまで客少ないことあったか疑問に思った。俺が居なくなったから評判が下がったとかならちょっと嬉しいなと考えていると中から大きな音がした。料理しているには派手過ぎる異音だ。中を覗くと、何故かあの彼女と店長が対立している。
まさか俺の事で話をつけに来たのか。アフターフォローまで完璧とかあの女一体何者なんだよと感動していると彼女は暴力に乗り出した。いやちょっと待て、店長にまで暴力振るうのか。しかも俺より痛そうにしている店長を見て血の気が引いた。彼女の顔は俺と会話する時よりも冷徹で、まるで殺気が篭っているかのような。只事ではない現場だが介入する勇気は出ず静観する事になってしまった。
店長が許しをこいても殴るのをやめず、終いには何か刃物で切りつけ始めた。段々血に塗れていく店長を見て胸の奥から何か出そうになり口を抑える。やがて動かなくなった店長。何が起こったのかようやく整理する。
彼女が店長を殺した。何で?アフターフォローにしたってやり過ぎではないだろうか。このままだと俺も殺されるかもしれない急いで警察に電話しようとした時、彼女がこっちを見て静かに口を開く。
「お…おえぇ…」
吐いたよ。グロ耐性無いのかコイツ。お前が殺したのに。
「い…いるんでしょ…誰かに電話したらころ…うぷ」
気付かれていた。本来なら恐怖するこの状況なのに吐いてる所為でダサく見えて、肩の力が緩んでしまった。
「自分で殺しといて吐くとか グロ耐性無い殺人鬼ちゃんだな」
自分で言ってて思う、どんな冗談だ。サイコパスじみてて笑ってしまった。
「うっさいなぁ…説明するからその前に」
彼女に肩を掴まれ逃げられないようにされた。やっぱり殺されるよね、さよなら俺の人生
「おえぇ…」
顔に吐瀉物をかけられる。殺されるより酷いかもしれない。
「分かったから 説明出来るようになるまで離れてくれる?」
「ごめん いつもの癖で」
どんな癖なんだと驚愕して彼女と見つめ合う。色々謎が深まるばかりかゲロまでかけられて、俺は多分怒ってもいんだと思う。でも彼女の赤くて綺麗な瞳に見惚れて、こんなのに恋する自分にやるせなさと恐怖と後悔を感じていた。
気分を悪くされたらごめんなさい。作者も書きながら気分悪くしてますのでおあいこ…にはなりませんか?
タイトル変えました。「グロ耐性無い殺人鬼ちゃん!」になります。可愛いね。
改めて今まで書いている話を見返すとどの回も誰かが死んでてウケます。ウケちゃダメですね。流石に誰も死なない平和な話も予定していますが自分がサイコパスかもしれないと考えるとこれからが軽く不安です。




