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鳥籠の天使  作者: ヤック・ヤッグ (話数溜め中)
第1章 魔王の目覚め
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第2話 怒らせてはいけない人

授業の終わりを告げるチャイムが夕日に照らされ始めた学校に響き渡る。

地獄の授業が終わり僕は学校を出て、

タイルが眩しいくらいの橙色に染められた通学路を通り帰っていた時のこと。

僕の後ろに気配なくついてくる一人の女性がいた、

その女性の右手は小さなチョコを掴む時の様に、

人差し指と親指が立てられており、

それは僕の頸辺りと同じサイズにまで広げられており、

その二本の指の間には微弱の青い電撃が走っておりスタンガンの様になっていた。

その女性はぎらりと僕の頸あたりを睨みつけ、

気配もなく僕の首にその青い光を放つ電撃を当てようとしていた。

その右手が伸ばされ僕の頸に電撃が触れようとしたその瞬間ーーー


「ゴンッ!」というコンクリートの鈍い音がし、

いきなり背後でなったその音に僕は反射的に振り向くと、

そこには天灯がいた。


「は?

天灯?」

「どうしたんだよ?」

「いや何でも…

て言うかお前委員会の仕事はどうした?」

「爆速で終わらせた」

「有能野郎が」

「お前本当すぐディスるよな」

「まあ良いや帰ろうぜ」

「あーいや先行っててくれ、

後から追いつくから」

「…?

なんだそりゃ?」

「まぁまぁ良いから」


天灯はニタニタと少し引き攣った笑顔を浮かべ、

右手を上下にパタパタさせて僕に先に行く様に催促する。

僕の経験則上こいつがこういうことする時は碌なことにならない。

前なんて…いやあれを思い出すのはやめておこう。


「まぁ良いけどさ、

それじゃあパッパとこいよ」

「はいはい」


僕はそう言い天灯に背を向け歩き出す。

人間面白いもので人と話しているときは案外足元を見ないものだ、

だから僕は足ものに"埋まった"それに気づかず、

少しゆっくり目に歩いたのだった。


「…さてと、

話を聞こうか"星来"」


天灯下を向くとそこにはタイルの敷かれた地面をぶち抜いて、

大体深さ30センチ半径1メートルの大きな円柱型の穴が空いており、

そこに星来が押しつぶされる様に倒れ込んでいた。


新重 天灯の能力

「重力操作」

その名の通り重力を操ることができ、

指定した場所の重力を強めたり、

重力の向きを変えたり、

天灯が出来ると思ったことは大体実現可能だ。


「お前、

さっき桐幸に能力使おうとしたろ、

本来生徒の不正な能力使用を取り締まる生徒会の、

しかもその副会長がこんなことしていいのか?」


天灯は更に星来へ強く重力を掛ける、

現時点でも星来には約1000Nの力が掛かっており、

この重力エリアは確実に生物は生きることができない。


「ぶはぁぁあ」


星来はあまりの強すぎる重力に内臓が耐え切れず吐血をする。

それを見て天灯は我に帰り重力を100N程度まで下げる。

これでも10kg程度の圧力がかかっているがさっきよりかは全然マシだ。

天灯は星来の顔の部分の重力だけをいつも通りにし会話をできる様にする。

そうしたことで星来は顔をあげるが天灯は後ろにいる為、

表情を見ることができずそれがより一層彼女の恐怖を強める。


「んで、

どうして桐幸に攻撃しようとした?」


天灯は一歩前に出した右足に右手を乗せ下に埋まる星来を覗き込む様に眺め問いかける。


「べ、別になにかしようとしたってわけじゃ…」

「ふぅん、

そんな手ビリビリさせて?」

「い、いえただちょっと宮本君と前にお話をして、

それで約束をしたんだけど宮本君がそれを守ってくれなかったから、

どうして守らなかったのかをきこうとしただけでして…」


星来は天灯の気に触れない様にできる限り言葉を選んで話しているのか、

彼女からはあまり聞くことのできない異質な言葉使いになる。


「成程、

随分と武力行使なこった」

「い、いやぁ、

そ、それはぁー」


星来は別に天灯と目を合わせているわけじゃないが、

自然と目が動きそっぽに向けて言葉を考える。

天灯はその今までの彼女からは考えられないほどの焦った姿を見て、

今やっていることが馬鹿馬鹿しくなったのかため息をつき重力を解く。


「え?」

「もう怒る気も無くなった、

勝手に能力使ったっても別になんか被害出たわけじゃないから、

別に学校に言いつけたりしねーよ。

俺の方がやらかしたけど……まぁこれくらいよくあるよくある。

とりあいず桐幸には手を出すなよー」


先ほどまでのさっきが嘘の様に消えいつも通りのはっちゃけた口調に戻る。

いきなりの変化に戸惑う星来をよそに、

自分の壊した道についてどうこう言っているが、

一様言っておくとさすがに全人類が能力者とは言え、

これほどコンクリートが陥没することはそうそうない。

ただ幸いここら辺は一軒家の立ち並ぶ住宅街だが人影はなく、

防犯カメラもないため目撃者は"よりにもよって"彼女だけなのである。

そこまで天灯が考えているのかはわからないが、

世間一般にこのことが流れることはないのである。

そして天灯は大体2メートルある大穴を飛び越え、

先に行った桐幸の元へ小走りで向かったのである。


「……はぁ、

どうしようかなこれ、

学校に言ったら停学まで持ってける気がするけど、

天灯君を見れなくなるのわなぁ〜。

……まぁ言わなくていっか!」


推される方が大概なら推す方も大概なのである。

彼女星来は、

気づいたら誕生していた謎大き組織、「天灯君ファンクラブ」の会長という、

新重 天灯を盲信的に愛する忠実さ信徒なのである。

一通り考えがまとまり星来がゆっくりと体を起こし立ちあがろうとするがーーー


「あ、あれ?

体が動かない、

ていうかめっちゃ痛いんだけど、

…誰か早く助けてー!!」


少し遅れて折れた骨やボロボロになった内臓たちが悲鳴を上げ出した。

そもそも最初の約1000Nの一撃で大体の人は瀕死になるので、

さっきまで元気にしていた彼女がおかしいのである。

そしてその後通りかかった通行人に現代アートを、

見る様な目をされながらも119番されたそう…


ーーー次の日


僕は天灯と屋上で弁当を食べていた。


「そう言えば今日星来来なかったな」


僕はふとした疑問を天灯に言う、

どうせあのお嬢様のことだから、

僕を探ったりして昨日の僕と天灯の会話を知って、

襲いかかってくると思って身構えていたが結局来なかった。


「なんで俺が毎回委員会サボってる前提なんだよ…

あ〜でも入院してるらしいよ」


天灯は弁当からサンドイッチを取り出し、

大きな歯形を残しながら何気なくそんな事を言う。


「は?

Bランク(あいつ)が入院とは何事だよ?」

「何でも全身複雑骨折と内臓損傷のおまけ付きだとさ」

「なに、ゴジラとでも戦ったの?」

「ゴジラと戦ったらもっと大惨事だろ」

「それもそっか。

て言うかほんとに何があったんだ?」

「さぁ?

あのプライドの高いあの人の事だから、

誰にも言わなくって結局詳しいことは誰も知らないだろ。」

「それもそっか」


正直襲いに来ないんなら彼女への興味はそこまでなので、

そこから先のことにはさほど興味はなかった。


「て言うかもう進校試験まで数日だぜ?」

「お前は別に余裕だろ」


進校審査とは、

ちょいちょい僕が言っている中高一貫ここの学校で、

高校に上がるための試験である。


「はぁー、

にしても高校受験かぁー」

「何落ちる前提なんだよ!」

「あのなぁ、

進校審査ってのはこの年でのCランクの中でも優れているやつが、

ギリギリ受かるくらいなるんだよ、

過去何十年の歴史の中でEランクの合格者なんて、

片手で数えられるほどしかいないんだぞ!ていうかなんで僕が受ける前提なんだよ!」


僕はあまりに脳天気すぎる天灯の言葉に軽い苛立ちを覚える、

正直何が来ても試験に落ちる自信がある。


「でも1人合格したってことは0%じゃないんだろ?

それだけで十分だろ」

「お前なその確率四捨五入したら0何だよ、

正直ゲームのガチャでももっとマシた確率だからな!」


天灯は毎回謎に僕を信じてくる節があり、

毎回無理難題を押し付けてくる。

今回も今までと同様であまりの能天気さに怒りを通り越して呆れの感情がでてくる。


「お前ならなんとかなんだろ」

「お前は僕を買い被りすぎだよ、

ほんとその無茶振りやめてくれよなぁ」

「買い被るに決まってんだろ、

それに無茶振りというけどお前ーーー」


カーンコーンキーンコーン

予鈴が鳴り昼休みの終わりを告げる。


「ヤッベ、

ガチで遅刻だけはまずい、

それじゃあまた帰りに!」


僕はそう言い残し雑に弁当を詰め込み天灯を背に慌てて屋上を降りる。


「おう!ばいばい!」


その後僕はギリギリで間に合った、

危うくあのクソ教師の連帯責任宿題2倍が発動して、

クラスメイトから憎悪の目で見られるところだった。

そして気配を完全に消して教師の目から逃れ、

残りの2時間を逃れ下校時刻となる。


「おーい桐幸!

帰るぞー」


パッパと家に帰りたくって少し廊下を早歩きで歩き、

下駄箱で靴を履き替えてきた僕の後ろから声がした。


「今日は委員会大丈夫なのか?」

「舐めるなよ、

ちゃんとおわらせてきた!」

「それは良かった」

「……にしても楽しみだなー、

進校審査。」

「まぁ頑張れー」

「え?お前も出るだろ?」

「…え?」

「え?

出ないの?」

「出ないよ!

痛いの嫌だし」

「理由しょぼ!

折角出られるから出れば良いのに、

て言うか出てよ」

「嫌なもんは嫌だ、

僕は受験の勉強したいの」

「チェッ、

夢のない奴。

そんなんだから彼女できないんだぞー」

「っっ!?う、うっせえ!!」

「とりあいず出るだけでろって!」


天灯は僕の体を揺らしながら言う。

にしてもほんとにどうしたものか、

出てもどうせ落ちるだけなんとよなー

けどまぁ受ける分には無料だし、

別に彼女ができなのと言われてムキになったわけじゃないが!

うけるだけうけてみるか…


「あぁ〜んだよ、

受ければ良いんだろ受ければ!」


「本当か!?」


天灯は遊園地に行く前の子供みたいに目をキラキラさせる。


「ただし僕が落ちたらハーゲ●ダッツ奢れよ」

「勿論!

てゆうかどうせ桐幸は落ちないし!」


全くその自信はどこから出てくるのやら…

そんなこんなで僕は進校審査を受けんことになった。

にしてもハーゲ●ダッツ何味にしようかなー。


そして僕は家に帰り、

夕飯を食べる、

そこで僕母に平然と進校審査に行く事を伝える。

その反応と言えば…


「えぇ!?

あんた審査受けるの?」

「驚きすぎだろ」

「あやだってあんた、

つい昨日までうけないって言ってたじゃん…」

「天灯に半強制的に誘導されただけだから、

それに別に受かるとも思ってないし。」

「何言ってんのよ!

あんたなら大丈夫だって!」

「はいはい…」


なんて事があり今日が終わり。

数日後の金曜日、

僕は制服を着て荷物をまとめ玄関へ向かう。


「それじゃあ、いってきます!」

「はい、頑張ってらっしゃい!」


その様に見送る母を尻目に僕は玄関の扉を開く、

そこからは少し朝日を残しながらも力強い日差しが差し込む。

そして僕は進校審査の会場へと向かうのだった。

どうもヤック・ヤッグです。

1話では記念感覚で書いた後書きですが、前に書いたのが思いのほか楽しくって、ついつい書いてしまった今日この頃です。

まぁ飽きっぽい僕の性格的に案外次の話にはめんどくさかったり、書くことがなかったりで書かれてないかもしれません。

そもそも見る人がいるかもわからないこの小説ですが、今後とも末長くご愛読されていただけると幸いです。

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