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「さーて、そろそろ行くか……」


 額に浮かぶ汗をタオルで拭った少年は手にしていた木剣を立てかける。日々の日課、というにはまだ日が浅い素振り練習を終え、彼は身支度を整える。必要最低限の荷物を纏め、部屋を出て鍵を閉めると、隣の部屋に視線を移した。


「……今日で春中月も終わり、だけどよ。結局今週も先週も、1回も朝食を一緒に食べなかったな」


 寂しげにそう呟いた少年、テイガは1つ、小さな息を吐くと食堂へ足を進めた。


 入学当初はユウシよりも早起きし、ユウシを起こしに行くことが多かったテイガ。しかし先月の第4週辺りを境に起こされる日々が増え、今月の中旬頃には起こされることもなければ、起こしに行っても返事がなく、既に部屋にいなくなっていた。


 なんとか気にしないように振る舞っても、やはり不安に思う気持ちは消えない。そんな気持ちが表に現れたのか、夜は寝つきが悪く、朝は普段なら二度寝してしまうような時間でも、どうにも目が冴えてしまって寝られなかった。


 今もユウシが努力している、そう考えたら居ても立っても居られず、テイガは部屋の中で素振りをしたり、外にランニングをしたりするようになった。そして今週1日目になり、朝ユウシの元気な声を聞いて飛び起き、よそよそしくはあれども多少以前のユウシに戻っていたのを知って、自身もまた頑張ろうという気になる。


 その後は心配のあまり男子寮に侵入しようとしたモモコを食い止めたり、柄でもない手紙を書かされたりしつつ、今日に至る。ドア下に無理矢理ねじ込んだ手紙が無くなっていたことから、応援の言葉は届いているとは思っており、ユウシがやり遂げるだろうという思いに嘘偽りはなかったが、やはりそれでも幾分か不安は残り、いつも一緒に遊んでいた親友がいない日々は少し退屈だった。


「あ、おはようテイガくん」

「ああ、おはようフーシュ。で、モモコはなんで怒ってんだ?」

「怒ってなんかいないわよ、別に」

「そうかよ」

「なによ」

「別に」

「ダメだよ2人とも!喧嘩はよくないよ!」

「はは、フーシュ、問題ねえよ」


 食堂前でいつものようにテイガはモモコ達と合流する。フーシュと知り合ってから1ヶ月が経ち、テイガとモモコはフーシュと仲良くなり、言葉遣いもお互い砕けたものになっていた。ただテイガとモモコは連日喧嘩を繰り返していたからか、互いに少し気まずくなり、会話もあまり続かなくなっていた。


「明日から春後月だね、もうあと1ヶ月で春が終わっちゃうよ」

「入学してから1ヶ月半か。早いと言えば早いし、遅いと言えば遅い気もするな」

「何よそれ、どっちなのよ」

「別にどっちでもいいだろ」

「もー!止めてってば!」


 フーシュはよくも悪くも喧嘩の気配を察するのが早くなり、喧嘩を(強制的に)丸く収めるユウシとは異なり、喧嘩をなんとか未然に防ぐことで対処するようになった。また、そのまま放っておくとすぐに火種が発生してしまうため、別の話題を持ちかけることも忘れない。


「月替わりと言えば、2人とも、試験の準備は大丈夫?」

「「座学の試験はパスで」」

「そういうとこは気があうのにね」


 やっぱり本当は仲は良いんだろうな、と思うとともに、早く戻ってほしいと願うフーシュ。出会ったばかりの和気藹々としていたころが懐かしく思える。


「あとは魔法と武技だろ?俺、1回武技受けてみよっかな~」

「そう言えばテイガくん、練習してるって言ってたよね」

「見よう見まねだけどな。まあ魔法もほぼ1週間でDだし、武技もDなら難しくはねえだろ」

「魔法……ユウシはどうなのかしらね」


 モモコが呟くように言った。途端に3人の会話が途絶える。もちろん誰も現状を知らないから、ということもあれば、簡単に軽口を叩ける内容でもなくなった。それだけ全員ユウシのことを気にかけていた。


「テイガ、ユウシは元気そうにしてたのよね?」

「俺が見てないとこではな。実際に話したときはつまんねえ罪悪感抱えてそうな顔してたけどな」

「じゃあホントはどうなのか、分からないってこと?」

「楽しそうな声は聴いたって、何度も言ってるだろ」

「ホントかどうかはっきりしなさいよ!」

「んなもん俺が知りてえよッ!」

「っ!」

「……お、落ち着いて、ね?」


 テイガの本気の怒鳴り声に怯むモモコとフーシュ。テイガはすぐに我に返り、重いため息とともにガシガシと頭を掻く。


「あー……ごめんな、フーシュ。やっぱり大丈夫じゃねえかも」

「ううん、心配なのはみんな一緒だよ。でも、まずはご飯食べてゆっくりしよ?」

「……そうね、ごめん」


 謝罪こそしたものの、すぐに空気が元にもどるはずがない。3人は無言で食堂に入っていく。ここ数日は手紙を書いたこともあって少し雰囲気が良くなっていた3人。しかし月末であることを機に戻ってしまい、フーシュは今日1日をどうすれば楽しく過ごせるか考えていた。そして食事の列に並んで空いている席を見渡し、気が付いた。


「え、あの、2人とも見……」


 フーシュがテイガとモモコに振り替えったときには、もう2人は走り出していた。こちらに気づき、しかし接し方を迷っていたのか、控えめに手を振るユウシのもとへと。


 - - - - -


 時は少し戻って、ユウシは食堂の1階の中央辺りにて、入り口から遠すぎず近すぎずの位置を選んで腰かけていた。目の前には朝食はなく、それはもちろん、テイガ達を待って一緒に食べるため。しかしもともとユウシはまだテイガ達と会うつもりはなかった。予定では明日、魔法の試験とついでに座学の試験を受けて合格し、Dランクが反映された後の学生証と共に魔法のお披露目をしようと考えていた。


 そのため春中月の最後の休日2日間は安定して杖を光らせるための練習や、一応受けるつもりであった座学の試験勉強に使おうと考えていた。しかし今日、顔を合わせたシガナに止められ、今日中に会う方がいいのでは、と提案される。


 曰く、せめて元気でやってることぐらいは早いうちに伝えたほうが良い、と。まだ杖に光を灯せないうちは元気な振りをしても表情を隠せないユウシは逆に心配させるだけであるために会わない選択も間違いではない。しかし今まで仲の良かった友達がずっと会わないままなら、たとえ文面上は元気でも、心配していない筈がない、とユウシが貰った手紙のことを聞いた上で伝えられた。


 そう言われたユウシもまた、テイガはまだしも、しばらく会っていないモモコや、手紙で2人が喧嘩ばかりだと教えてくれたフーシュが心配になった。そのためユウシは緊張した面持ちで着席し、3人の到着を待っていた。そして次第に生徒が増え、食堂内が賑やかになる中、テイガ達が現れた。


 久しぶりに会う3人に、どう話しかければいいのか、どう接するのが正しいのか。まずは挨拶か、謝罪か、世間話か。そんなことを考えているうちに3人と目があってしまい、少し照れ臭くなって小さく手を振ることしかできなかった。が、もはや向こうにはそれは関係がなかったようである。食事を貰うことも忘れ、テイガとモモコが全速力で駆け寄り、勢いよく机に手をついた。


「ユウシ!ユウシなの!?ユウシよね!?」

「おま、大丈夫なのか!?」

「えっ、あ、なんていうか」

「アンタ、ホンッット心配したんだから!」

「今ここにいるってことは大丈夫なのか?大丈夫なのか!?」

「その、そういう話も、説明」

「少しぐらい話に来てもよかったのに、どうして会いに来てくれなかったのよ!」

「いや待て、そっか、無理に話さなくても大丈夫だ、いや、相談するか?ちょっと待て?」

「お、落ち着いて!落ち着いて!?」


 モモコはひたすら自分の想いをユウシにぶつけ、テイガは予想外のタイミングでの再会に混乱していた。2人ともユウシの声が届いておらず、周囲の視線も集めてしまっていたため、ユウシはどうしようかと頭を悩ませた。


「ゆ、ユウシくん?」

「あ、フーシュ、さん」

「久しぶり、ですね」

「うん、久しぶり……」


 テイガとモモコの後ろから、遅れてフーシュが顔を覗かせた。ユウシはフーシュの反応から、2人を宥めるのを手伝ってもらおうと考えついた。考えついて、お願いしようとして、ぎょっとした。


「よかった、元気そうで……よかった、です……うぅ」

「ふ、フーシュさん!?」

「安心、したら、涙が……」


 ユウシはフーシュを泣かせてしまった。こうなればユウシにこの場を収める手立ては時間の経過の他無い。幸か不幸か、フーシュが泣いてしまったことでテイガとモモコが我を取り戻した。そしてモモコがフーシュを庇い、テイガがユウシをなんとも言えない表情で見つめる。


 それだけならまだしも、周囲の視線は当然厳しいものとなる。既にユウシが悪者とした話が少なくない数為されていた。だが、ユウシもユウシで再会してこうも心配されると、どれだけ自分が大切にされていたのかを実感させられる。その結果、ユウシも涙を堪えきれずに泣き始める。


「ぐすっ、ごめんね、ありがとね……」

「ふぇええん……」

「……はぁ、ったく。どうすんだよこの空気」

「待ってテイガ、この空気、前にも似たようなことがあったわよ」

「んあ?……あ」


 それは強制仲裁後に食堂前でしゃがみ込むユウシをテイガとモモコが見ていた場面。あのときは弱いものいじめをしていると勘違いされ、テイガとモモコが非難と軽蔑の視線を受けていた。


 では今回はどうか。現状を簡潔に言い表すのなら、泣いている男女とその付近で二人を見る男女。間違いなく見ている男女は関係者と判断され、話を聞いて野次馬しに来た新たな生徒は不運にも、以前の食堂前の光景を覚えていた者だったらしい。新たな噂話が広まろうとしていたのを感じ取り、テイガとモモコの血の気が引いた。


「ユウシ!フーシュ!泣き止め!落ち着け!」

「泣いても良いけど、せめて端に移動しましょ!?ね、ね!」


 友好関係の広い2人にとってこの不本意な噂が広まるのはとてつもなく痛手である。事実、以前できてしまった噂も訂正しきれていない。結果としてテイガとモモコが苦しむこととなり、2人が泣き止んで移動するまでの間、入学後最大級といって過言でない程に頭を悩ませるのであった。


 - - - - -


「みんなとってもユウシくんのこと、心配してたんだよ」

「うぅ、そのことについては何も言い返せない……」

「まあもう過ぎたことだし、今は落ち込むときじゃねえよ」

「そうね、アンタの今日のご飯で許してあげるわ」

「えー、僕の朝ご飯?」

「全部じゃね?」

「全部ぅ!?」

「冗談よ」

「よ、よかった……」


 およそ10分後、一同ようやく落ち着いて食事をとりに行き、4人で机を囲んだ。途中ユウシがみんなと食べるのが懐かしいと言ってフーシュがまた涙ぐんだりもしたが、無事手を合わせて朝食を食べ始めた。


「ねえねえテイガとモモコ、僕がいない間喧嘩とかしなかった?」

「そりゃするだろ、お前がいないんだから」

「そうよ、何当たり前のこと言ってんのよ」

「そっかぁ、ごめんね、とは言わないよ?なんで上から目線なの?ねえ、おかしくない?」


 実際ユウシがいても喧嘩自体は止められない。あくまでユウシは仲直りの仲介役である。


「フーシュさんが2人が喧嘩ばかりで悲しいって言ってたよ?」

「そうだよ、テイガくん、モモコちゃん」

「それは悪かったけどよ」

「私も謝る……え?そんな話、いつしてたのよ」


 先ほどの再会から今に至るまでにそんな会話はなかったため、モモコはもしや秘密でこっそりあっていたのではないかと疑ったが、ユウシが手紙に書いてあったと告げると納得して頷き、得意げな顔で身を乗り出した。


「どう?あの手紙で元気になった?」

「スッゴく元気出た!もう、こんっくらい!」

「言葉で言えよ、子どもか」

「違いますぅー、大人ですぅー」


 身振り手振りで表現するユウシにテイガがツッコめば、ユウシはテイガの手紙を思い出した。


「テイガ、僕のこと手紙でも小さいって言ってたでしょ!」

「あー、もう何かいたか覚えてねぇな」

「そうなの?テイガ、アンタに手紙はユウシを応援することを書いてって説明したわよね?」


 聞けば3人は互いの手紙を見ることはしなかったため、それぞれ2人がどんなことを書いていたのかは知らないのだという。


「テイガ、ホントに覚えてないの?」

「何が言いてえのかは知らねえけど、半分以上はマジで覚えてねえぞ」

「じゃあユウシくんに見せてもらう?」

「は?」

「あ、ここにみんなのあるよ!」

「なんで持ち歩いてんだよ!おい、出すな!開くな!読み上げようとすんな!」


 ユウシが鞄から手紙を取り出すのを見て焦るテイガ。よっぽど読まれたくないのか、食器を置き、次口を開こうものなら奪い取って破り捨てようかという気迫を見せている。ユウシは弱みを握ったような悪い笑みをしつつ、それぞれの手紙を大事にしまいなおした。テイガは後悔と共に頭を抱え、モモコとユウシがからかうが、そんな3人を見てフーシュが微笑んだ。


「ユウシくんがいると、テイガくんもモモコちゃんも楽しそうだね」

「そうね!……あ、いや、フーシュが悪いとか、そういうわけじゃないわよ?」

「おいモモコ、今のはよくないんじゃねえか?」

「そうだよモモコ、そんなに僕が大好きだからって」

「そうじゃないけど!違うのよフーシュ、ごめん!」

「う、うん、大丈夫、ほんとに気にしてないよ」

「僕は今のちょっと気にしちゃうよ?ねえ」


 むしろ冗談なのに食い気味に否定されたユウシが若干傷ついているが、モモコにとってはどうでもいいことであった。ただフーシュも元気な2人が見れて嬉しかっただけであり、全く気にした様子はなかったため、モモコは安堵の息をついた。


「で?相変わらず食べるのが遅いユウシさんよ」

「えっ?あれ?」


 見ればまだ半分しか食べ終えていないユウシと比べ、モモコとテイガは食べ終わり、フーシュもあと数口で完食といったところであった。ユウシは慌てて口に詰め込むも、テイガの話は終わっていなかった。


「誰も聞かねえし、お前も言い出そうとしないから、もう俺から聞くからな。……ユウシ、この後の講義はどうすんだ?」

「……んん」


 ユウシが1人で行動するきっかけとなった魔法の講義の件について、テイガが触れる。ユウシもまだどうすべきか完全には決まっておらず、すぐに返事を返すことができない。


「正直俺は、俺らはお前の気持ち次第としか言いようがない。お前が諦めないってんなら俺らはお前ができるようになるまで待ってるし、やっぱり剣が良いとか言い出しても怒らねえ。ただ、言いにくいんだけどよ、秋から冒険者を目指す生徒向けの講義ってのが始まるらしくて、そこで魔物とも戦うんだってさ」

「そうよ、アンタも冒険者になりたいんなら、そのときまでに戦えるようにならなきゃいけないらしいわよ?」

「……んーん」

「でも、もしかしたら大丈夫かもしれません」


 あまりユウシを諦めさせたくはないテイガとモモコは遠回しに厳しい現実の話をしようとする。それは前にゼイドがしていた話であり、ユウシは自分の考えを述べようとするが、その前に口を挟んだのはフーシュだった。


「その冒険者向けの講義について先生に聞いたことがあるんだけど、冒険者になっても、魔物と戦わない依頼を中心に生計を立てることができるんだって。そのぶん依頼のお金は安くなって、ちょっと大変かもしれないけど……」

「確かにそうすることもできるかもしれねえけど、俺はそれは最後の手段だと思うぜ。やっぱ冒険者になるからには、俺は各地を旅して、魔法や剣で魔物を倒して有名になりてえからな」

「……んん、んーんー」

「私もどうせやるなら上を目指したいわよ。でも、それよりも一緒に冒険者になるほうが大事じゃない?」

「私も、ユウシくんがいないと、テイガくんもモモコちゃんも、元気じゃなくなっちゃうと思うからモモコちゃんに賛成だよ」

「そりゃ俺だってそう思うけどさ」

「ん!んーんん!」

「さっきからなんなんだよ、お前ぇは口開けてから話せよ、ユウシ!」


 今後に関わる大事な話の最中なのに、いまいち真剣味に欠けるユウシ。口に食べ物を頬張ったまま喋っており、さすがに何度も繰り返されたはイラっと来たテイガに頬を指でつつかれている。ユウシは危うく口から物が飛び出そうになったが、なんとかこらえて飲み込んだ。


「っと!待って!ちょっとだけ待って!」

「ちょっとって、どれぐらい待てばいいのよ」

「1日!」

「いや結構長ぇな」

「でも、明日までには絶対なんとかするから!できるから!いや、決めるから!」


 既に成功させているユウシは当然自信満々に言うが、その物言いは少し怪しい。実際モモコはなんとかできるなら、と素直に頷こうとしていたが、賢いフーシュと付き合いの長いテイガはユウシを疑わしい目で見ている。何も嘘は言っていないが、真実を隠しているために、ユウシは冷汗をかいていた。


「……まあ、今日も明日もそこまで大きくは変わらねえから別にいいけどよ」

「!うん!」

「明日になったら今日までの約半月、俺らが見てない間に何をしてたのか、全部教えろよな」

「えっ」

「終わるまでは何も言わねえっつったけど、終わってからなら聞いても問題ねえだろ?」


 テイガがそういえば、モモコもフーシュも同意して頷いている。しかしユウシ、シガナ、ユカの3人で行った特訓内容は秘密であり、誰にも話さないよう言われていた。ユウシは悩み、上を向き、下を向き、唸り、上を向き、食器を手に取り、残っていた食事を口に詰め込み、よく噛み、飲み込み、立ち上がって、食器を手にして答えた。


「ぜ、善処する!それじゃまた明日!」

「ちょっと、ユウシ!?」

「どこに行くんですか!?」

「ちょっと勉強ー!」

「待ちなさいよ!」


 座学の試験を受けることを言い訳に、ユウシは食器を片付け、逃げるように食堂を出ていった。せっかく会えたために揃っていけていなかった街の観光に連れて行く気満々だったモモコはそれを許さず、ユウシの後を追いかけた。


「ユウシくん、元気でよかったね」

「だな。ただなぁ、正直普通に練習してたとは思えねぇんだよなぁ」


 残されたフーシュとテイガ。フーシュは改めて根を詰めすぎていたユウシが肩の荷が下りたような顔をしていたことに安堵していた。対してテイガは、同様に親友の慣れ親しんだ態度に胸をなでおろしたものの、最後の質問に対する回答は怪しすぎた。


「というか、さっきので確定だな。実際のところ、あいつが何か教えてるんだろうけどな」

「え?あいつ?」

「ま、詳しいことは明日、ユウシの口から聞こうぜ」


 テイガもまた、何かを知っているかのような話しぶりだが何も語らず、フーシュも気になりはするが、本人たちに話すまでは静観しようと質問しなかった。そして2人は気持ちを切り替え、食器を片付けて食堂を出て、モモコの後を追うのだった、否。追おうとするのだった。




「ユウシ!捕まえたわ!」

「も、モモコ、速すぎるよ……」

「ふぇえええ!?」

「いや、絶対そこは明日まで会わない流れだったろ!?」


 モモコに捕まったユウシは一旦全てを忘れ、この日は4人は街の観光を満喫したのだった。

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