神のまにまに
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
幻想奇譚の番外編です。根拠を言いますと、
ノブレス・オブリージュの後日談。
(読まなくとも通じると思います)
つまり、続編だけを幻想奇譚としている。
そもそも渡が出てこない。
というのが理由です。
雰囲気は幻想奇譚です。
「へぇ。遂に会ったんだ。彼、君が怖がっていた様な神様じゃないだろう?」
「何か……その……レアキャ……豪運戴きました」
梅の花弁が散る庭で、私は梅香の君にお会いしていた。相変わらず芳醇で、目の覚める様な蜜の香りを撒きながら、彼はにこにこと話を聞いて下さる。流石に『レアキャラ二体当たったんですよ』と言った所で、きょとんとされてしまうから、言葉を選んで。
今日は背中を押して下さった梅香の君への御礼参りの日である。『不器用だけど。凄く優しい。会ったら印象が変わると思うから』。あの時は半信半疑の疑が勝っていたけれど、今はその言葉が理解出来る。きっと……優しい。この後も御礼参りに行くつもりだ。
「ん。きっと喜ぶよ。覚悟決めた弱者が大好きだから」
そう言ってするすると梅香の君は頭を撫でた。手を離す際に、軽く指先で頭上をつつく。何だか梅の香が移った気がする。
そんなこんなで、敷地前。全ての邪気を浄化する気を一身に浴びながら一礼をすると、脳を溶かす様な沙羅双樹の香り共に九曜様が御姿を表した。艶やかな黒髪を首の周りに巻き付けて、すぅっと目を見開く。強者特有の威圧感に負けない様に、私も丹田に力を入れた。
「今日は、御礼参りに来ました。えっと……」
お賽銭、お賽銭……小銭入れを探す。がま口を開いたらそこに十円玉が幾つか転がっている筈だった。しかし中身は空。さっき全部入れちゃったのか!! それならばと最前線で使用している長財布に手を伸ばす。しかし入っていたの野口が数枚。んむぅ……最初から締まらないなぁ……。凄い御人の前なのに……。
「今、持ち合わせが無くて……」
かくなる上はと恐る恐る札を献上しようとした時だった。ぽすんと頭に手が乗った。初めてお会いした時と一緒。掌全体を使って掻き回した後、指先には花弁が一つ摘まれていた。九曜様は観察する様に回転させ、ただ、一言。
「これで良い」
「え……?」
此処に来る時に、頭上に落ちたらしい花弁。濃い桃色。それ以外は何も分からない。でも愛らしい事は分かる。九曜様は其れを供物台の上に置くと、そっと私の頬を撫でた。
「無理はするな。そして、これからも励めよ」
「あらまっ。随分と粋ですね」
何時もは一升瓶が置かれている場所に、今日は紅の花弁がちらほらと。幼子が拾って捧げたのかも知れない。いや、もしかしたら賽銭と共にかも知れない。随分とまぁ、粋な。
「悪くない。世話になったあの方を思い出した。また挨拶に行こう」
お前も来るだろう? と九曜様は目配せを。勿論で御座います。何処へでもお供致します。
「ふふふ。あの方は学者以前に風流人ですからねぇ」
一見すると無表情であるが、かなりお喜びのようだ。梅香の君、私も近々、王と共に参ります。
タイトルについて
実はとある和歌がベース。
ヒントはもう沢山出てます。
梅香の君が推しって話、沢山しますけど、何も優しいからだけではありません。
行動の一つ一つが凄く粋なんですよね。
さり気なく鞄に御籤忍ばせたり、来て欲しい時には自分の概念見えるようにしたり。
色々根回しして、後になって喜んでくれるように考えるような。
学問のイメージ強いですが、風流人のような方です。
九曜様のモデルとなった方も、優しいです。
あの後、最高レア二体当たりました。
有難う御座います!!
ただ凄く不器用なイメージがあります。
ある事がきっかけで、正しい解釈に至るなんてザラです。
夜にお供え物のどら焼き持って行ったら、不機嫌そう。
甘いもの嫌いなのかなー。と思って、また夜にお詫びに行こうとしたら、仕事が立て込んで中々行けない。
行けたのは休日の昼間。
夜に来てはいけない。
という言葉を伝える為に。
長く連れそえば連れそう程、良さが分かってくる。
そんなお方。
だから、その優しさを心から信じなくてはならないと、そう思い始める今日この頃です。(出来れば梅香の君レベルで)
『お前は一体何をしたら、俺を信じる?』
それはそうとして、厳しい方だとも思ってます。
『これぐらいで満足されては困る。より高みを、より上へ。死ぬまで満足するな。死してなお求め続けろ』
そんな事を常に言われてそうです。