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更新が止まっていてすみません!
家族の体調不良が続いて執筆が難しくて・・・。
今月は週一か遅くても隔週更新出来るように頑張ります!
「・・・ところでライティエット」
話は終わり、解散前に休憩として皆に茶が配られた。
それを飲んで緊迫した空気が幾分か落ち着いたのを見計らって、ミネリアがライティエットに声を掛ける。
「お主、最近可愛い女子と一緒に旅してんだって?」
ーーゴブッ!?
「え、なによそれ!!初耳だわ!?」
「「「堅物のライティエット殿が・・・」」」
「ついに貴方にも春ですか?良いですねぇ若いって」
「ガッハッハッ!ライ坊どんな子だ?酒は飲めるか?」
「ゴホッ、ゲホッ!・・・黙秘」
「「ええぇー〜っ!!」」
「髪の長いなかなかの美少女なんだろう?しかも魔法の腕もかなりなものとか」
「っ!!?」
「にゃにゃ!?ミネリア様もしやお詳しいですにゃ?」
「ハンターの情報は全てアタシのところに来るからね。このくらい当然よ」
「詳細、求ム」
「オイラもオイラも!先輩の恋話超聞きて〜っ!!」
茶を吹き出して咽せるライティエットを誰も心配しない。
むしろこの中で1番そういうネタが無いと思われた人物のゴシップネタに全員が食いつき、ミネリアとライティエットに詳細を聞こうと盛り上がっていった。
そんな雰囲気が苦手なライティエットが耐えられる訳がなく、
「・・・・・・ーー帰る」
即逃走。
「あー〜ーっと待て待て!!悪かった、悪かったから待て」
「・・・アンタらの酒のアテになる気はないんだが?」
「なんじゃ、つまらんのぉ」
完全に立ち上がって帰ろうとするライティエットをミネリアは慌てて止めた。周りもガーフィス以外は空気を、というかライティエットの苛立ちを読んで黙りこむ。
「ガーフィス、お主は黙ってな!全く、そうじゃなくてだね。今回の依頼は場合によっては長期間だ、さすがにその間1人で宿に残すのは心配だろう?だからアタシが責任持って預かろうと思ってね」
ミネリアの提案は定住型のハンターが長期間の依頼を受ける時に良く提案されるものだ。
命をかけて依頼に向かうハンターが、せめて何の心配もせず向かえるように。残していく家族や恋人の様子を見に行くのはもちろん、子どもが小さい場合などは預かる事もしてくれる。
メーディエは小さな子どもでは無いが、表向きはライティエットに護衛された一般人である為、ミネリアは提案してくれたのだろう。本当に単なる一般人ならばありがたい申し出だが、メーディエは違う。
「必要ない、です」
「お主なんでも即答だねぇ。遠慮しなくて良いんだよ?」
「遠慮とかではなく、アイツは付いてくるから」
「は?」
「「「「「なんだって!!!?!?」」」」」
言った後、ライティエットはしまった、と思った。さすがに正直に言い過ぎた、と。
表情には全く出ていないので一部を除いてバレることは無かったが。
「ちょ、待て!さすがにそれはアカンだろう!?」
「・・・なぜ?」
「なぜって、むしろこっちが聞きたいわよ!何で連れて行くのよ、危ないでしょうが!?」
「「「シャロッテ殿の言う通り也」」」
「そうですよ、いくら貴方とシタヤ様がおられるからって、危険過ぎます」
「アタシも同意見だ。ギルド頭首としても許可しかねる」
皆の意見にライティエットは小さく溜息を吐く。
当然の反応だ、誰も間違っちゃいない。間違ったのは宿で留守番させますとか言わず、馬鹿正直に答えてしまった自分だ。
だからもう、下手に取り繕うより、話した方が早い。
「魔法だけの勝負だと俺は勝てない、と言っても?」
メーディエの実力を。
「ーー・・・え?」
「・・・ライティエットさんが、冗談?」
「言うと思うか?」
「否。・・・ェ、事実?」
「さっきからそう言ってる」
ライティエットの答えに皆、ポカンと口を開けて黙ってしまった。
それも当然、ライティエットはこの会議室にいるメンバーの中で一二を争える程の魔法の使い手なのだ。その彼が魔法で勝てないということは、ここにいる誰もメーディエに魔法で勝てないということになる。
だがそれは、本当にただの一般人なのだろうか?
「まぁあの魔力量と練度からしてそうだろうなぁ。お前さんはまだまだ荒い部分が多いし」
「シタヤ様!?ライ様の練度が荒いって言われたらキャイ達はどんだけダメダメなんですニャ!!?」
「はっはっは、ガンバレよ若人!」
「うにゃ〜ーーーん!!」
皆の浮かび始める疑問を攫うようにシタヤとキャイの声が明るく響く。
シタヤがわざと話題を変えてくれたのに感謝して、ライティエットは更に納得させる話題へと話の舵を切った。
「それにアイツは強い魔力の所為でモンスターに狙われやすい。長期間同じ場所にいるのはそれこそ危険だ」
「む、確かにそう言う理由でお主に護衛を依頼していたな。それにモンスターの異常発生時もお主と共に活躍したと聞いておるし・・・・うむむぅっ、分かった。今回だけ、特別に許可しよう」
「おいおい、ミネリア!」
「良いのですか?!」
「仕方あるまい?それにライティエットを超える魔法使いならば、早々2人の足を引っ張りはせんだろう。しかし尚のこと命を最優先だ、分かったね?」
「はい」
そうして話し合いは終わり、一同解散となった。
ゾロゾロと白金ランカー達が出ていく中、シタヤだけが久々に旧友と会ったんだからと、ミネリア達と共に会議室に残る。それをライティエットが警戒して視線を送るが、シタヤはヘラりと笑って手を振るだけ。胡散臭いことこの上ないが、今何かしら言ったところで墓穴を掘るだけなので引くしかない。
それにメーディエのことは黙っていてくれるだろう、という信頼はある。
故に視線を送るだけで、ライティエットは仕方なく退室した。
そんなライティエットを見送って、シタヤは喉奥を鳴らした。
まさかこんなライティエットを見る事が出来るとは。ニヤニヤと笑ってしまうのが止められない。そしてそれは旧友達も同じ。
元よりシタヤはメーディエのことを話すつもりは無かった。
それよりも面白い話のネタが今の彼、いや、彼らにはあるのだから。
「ーー・・・ふふふ、なぁシタヤよ」
「なんだ?」
「アレは、もしかせんでも無自覚かい?」
「そうだろうな」
「ライ坊もあんな顔出来んだなぁ」
「本当に。随分柔らかい眼差しで驚きましたよ」
メーディエの話をしている時のライティエットはいつもより表情が豊かだった。
他から見れば全く変わらず鉄仮面で無表情だっただろうけれど。14歳から彼を知っているミネリア達は勿論、それこそ産まれた時から知っているシタヤからすれば一目瞭然だ。
「くくくっ、一緒に旅するのがますます楽しみになった」
「シタヤ様、からかっちゃ駄目ですよ?節度ある年長者として見守ってあげなくては」
「モルド、そんな高尚なもんをコイツに求めんな!」
「お前さんに言われたかないねっ!」
「テメェよりはマシだっ!!」
「どんぐりの背比べだよ阿呆ども。全く、お主達は本当に100年経っても変わらんね」
ずっと見守ってきた大人たちにとって、ライティエットのあの変化は本当に嬉しい。
全てを諦めた眼で、ただただ魔族を殺す為だけに生きているような人生を歩んで欲しくなかった。そんな大人たちの思いは彼に届かないまま10年の年月が経っていたが、ここに来て良い兆候が見られたのは奇跡と言えるだろう。
出来るならば、彼自身がそれに気付き、ハンター以外の生きる意味を見つけて欲しいと思う。
「何にせよ、無事に帰ってきておくれ」
「あぁ、任せろ」
死地に向かわせる事しか出来ない大人の、本当に我儘な願い。
それは祈りとなり、本人の知らぬところでこっそりと降り注いでいる。
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