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5-3

登場人物が一気に増えます!



 街中で騒ぎにならない(?)程度に暴れた3人は、せっかくだからとシタヤ御用達の宿へ泊まることに決めた(ちなみにストーカー行為でメーディエを怖がらせたとして、宿代は全額シタヤの支払いである)。


 荷物を置いて少しばかりの休憩を取った後。

 今回呼び出しを受けた者達がすでにギルドに集結していると聞き、メーディエを宿に残してライティエットとシタヤはギルドへ向かった。


 その道中、シタヤはライティエットを人のいない裏道へと誘う。



「師匠、ギルドに行かないのか?」

「その前に確認したいことがあってな」

「・・・メーディエのことか?」

「いや、あの子は良い子だ。気配がアイツに良く似ておるし、何よりお前があそこまで気を配っとるんだ。ワシがどうこう口出しせんでも問題なかろう」

「なら一体・・・」

「右眼の封印の事だ」

「ーっ!?」

「眼帯は着けとるようだが封印の魔力が感じ取れん。完全に解いとるな、体に異常は?」

「・・・今のところは、無い」

「そうか。・・・うむ、魔力量は以前の1,5倍と言ったところか?急激に増えた事による負荷が気になるが、よく馴染んでおるようだ。異常が無いなら再封印せんでもいけるだろう。だが他のは」

「ごめん」

「・・・何を謝っておるんだ」

「勝手に、解いたから・・・」

「必要だったんだろう?」

「あぁ・・・」

「なら自分の判断を誇れ。こうして元気に生きていてくれるなら、ワシはそれで良い」


 ポンっと置かれた手が夢のそれと重なる。

 相変わらず大きくて力強い、岩みたいな手。

 何度救われたか分からないその手の温もりに、安心と寂しさが同時に湧き上がる。


「・・・まぁしかし、今回ばかりはさすがに肝が冷えたわい。出来ればもう少しこまめな連絡を頼むぞ?」

「ぅ・・・善処、する」

「あぁ」


 終わりとばかりにガシガシと思いっきり撫でて、追加で痛いところをついてやってからシタヤは歩き出した。ライティエットもその後に続く。


 前を歩く大きな背中はランクが並んでもまだ追いつけない強さと逞しさがあって。

 それは悔しさ以上に、誇らしさを感じるのだった。





 賑わうギルドを前に2人は気配を出来るだけ消して裏口から入る。単独の白金ランク保持者が揃って正面から入れば囲まれるのは必須。下手な混乱を避ける為、ギルド側にも許可は取ってある。

 そうしてギルドの2階の奥、防音結界が厳重に施された会議室に2人は足を踏み入れた。


 広い会議室の中心に置かれているのは大きな円卓。

 そこに様々な種族の者たちが10人、一同真剣な表情でライティエットとシタヤを迎えた。


「2人共久しいね、息災でなによりだよ」

「おぅミネ、お前はいつまで経っても変わらんな」

「お久しぶりです、ミネリア頭首」


 入り口の正面、部屋の1番奥に位置する席に座るエルフの女性『ミネリア』が2人に声をかける。


 彼女を前にして先ず目が行くのは顔半分を占めるほどの大きな傷痕と潰れた左眼、そしてクリスタルのように輝く長い白髪だろう。三つ編みにされたそれはストールのように首に巻かれ、そうしていても毛先が床に着くほどに長い。

 見た目はライティエットより若く見えるが、ここに居る者の中で1番の年長者であり、ハンターギルドを束ねている頭である。


 そのミネリアの両脇に座るのは濃い緑の髪に長い髭が特徴のドワーフ『ガーフィス』と、白髪混じりの茶髪に細身の人間『モルド』。

 どちらも高齢だが、ガーフィスはミネリアの次に年長者。モルドはシタヤより見た目は年上でも年齢はかなり下だ。


 この3人が現在のギルド代表。

 彼らの考えはギルドの意思、ギルドの総意になる。

 現役は退いているものの全員が元白金ランカーである彼らはシタヤと並んでハンターの憧れであり、英雄だ。特にミネリアとガーフィスはシタヤと共にハンターギルドを立ち上げた時の仲間であり、15名居た初期メンバーの中で、唯一生き残っているメンバーでもある。

 モルドはギルドの初代代表だった初期メンバーの息子で2代目になる。



「全く!報告を怠るなんてなぁ!!今回の事はおめぇの怠慢だぞライ坊!!」

「ガーフィス、落ち着きなさいな」

「気持ちは分かりますが相手はあの公爵級ルーフェンだったんですよ?」

「大体お前だって現役時代は報告義務を忘れる常習犯だっただろうが」

「シタヤにだけは言われたくねぇよ、この万年問題児!!」

「あーもぉはいはい、じゃれあいは後にしとくれ。ライティエット、とりあえず報告義務を怠った事は不問にしてやるから座って詳細を話しなさい」

「感謝します。ところで・・・まだ全員揃っていないようだが?」


 座りながらライティエットは円卓を見渡す。

 代表3人以外に座っているのはパーティー2組。


 一つはライティエットとほぼ同世代の若者4人で構成されたパーティー『断罪の剣』。人間の剣士『アルス』、猫獣人と人間のハーフの魔術師『キャイ』、エルフの弓使い『シャロッテ』、蜥蜴族の斥候『ガガル』。

 白金ランクになってまだ2、3年程と、この中で1番歴が浅いパーティーだが、パワーバランスも良く、それぞれの技量も高いので今後の更なる活躍が期待されている。


 もう一つは鳥人族のみ3人で構成されたパーティー『天空の守人』。槍使い『マーズ』、二刀流使い『イーザ』、弓使い『フージ』。

 白金ランクとしてはシタヤに続く古参組。3人揃って寡黙故に他のハンターたちとあまり交流はないが、技量はランク年数が物語っている。魔族のアドバンテージの一つである空中戦を3人の見事なコンビネーションで追い詰めるのを得意としており、彼らに会って空中に行く事はそれ即ち死である、と言っても過言では無い。


 そして本来ならもう一つ、種族は違えど全員が魔法剣士で構成されたパーティー『魔剣の使徒』。

 白金ランクとして最初の砦と言われる5年を通過した、恐らくギルド内で今1番勢いのあるパーティーである。

 魔法剣士という戦闘スタイルへのこだわりからか、ライティエットは何度も勧誘を受けている。だがそれを毎度バッサリと断るものだから、いつのまにか一方的な敵対心を向けられる状態になっていた。


 その『魔剣の使徒』が、居ない。


「・・・それも今回話し合わねばならん議題のひとつなんだがね、今は待ちだ。恐らくもうすぐ結果が出て報告が来るだろう。だからお主の話を先に聞きたい。ルーフェンの城で何があったんだい?」


 促されるままにライティエットは事の詳細を話し始める。

 もちろん、メーディエの事は一切口に出さずに。




 ーーー数十分後。

 ライティエットが話終わった後、暫しの沈黙が続く。

 が、


「ーー・・・闇の貴公子からの直接指名で決闘して城を崩壊させた、だとぉ!?」

「ふむ、自称公爵級の魔族に目をつけられたと聞いていたがそこからお主の事がもれたのかね?」

「あっはっはっはっは!さすがわしの弟子!!」

「シタヤ様笑い事じゃないですからねコレ」

「「「然り」」」

「ら、ら、ライ様やばやばニャァ!!」

「ていうかなんでホイホイ着いて行ってるんだ!?」

「本当よ!死んでたかもしれないのよ!!」

「・・・無謀」


ガーフィスの叫びを皮切りにその場にいる全員から怒涛の説教が飛んで来た。笑いや呆れがあるのはご愛嬌だろう、特にシタヤはいつもの事だ。

 だがそれも含め、皆の慌て怒る姿と表情が、メーディエのものと少し被る。


「・・・心配、してくれた・・・のか?」


 まさか、と思いながらもつい聞いてしまった。

 心の中ではそんな筈無い、と即座に否定が入る。

 シタヤはまだしも、今まで周りからは嫉妬や妬みの類いばかりが向けられて来たのだ。殆ど交流の無い彼らから心配してもらえるなど、あり得ない。



「「「「「「「「「当たり前(だろう/でしょう)!!!!?」」」」」」」」」



 けれど、それは自分だけがそう思っていただけだった。


「やれやれ、そういう所は相変わらずだね」

「小童の心配をせん大人がどこにおるか!!」

「全くです」

「「「御身大事にされよ」」」

「ライティエットさんは憧れの先輩なんだぜ?」

「そうじゃなくても仲間の事は心配するに決まってんでしょうが!!」

「・・・同意」

「ライ様生きてて良かったニャァ!!」


 大勢からの言葉に、胸が詰まる。

 シタヤは何も言わず、ただ優しく笑いながら背中をポンと叩いた。

 それが、『ちゃんと見ろ』と言われているみたいで。


 頑なに閉じて、周りを見ようとしなかったのは自分の方だったのだと。

 それに気付けるようになったのは明らかにメーディエのおかげだと。



 気付いたら、まともに顔を上げる事が出来なくて。

 でも、それを責める者は誰も居なかった。






ーーコンコンッ!!



「ミネリア様!魔剣の使徒の捜索結果が出ました!!」




ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


少しでも面白いと思っていただけたら↓から評価、感想コメントなどをいただけると嬉しいです。

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