表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/85

2-7


◆◆


 出来るだけ用事を最小限にして真っ直ぐ宿に戻って来たのだが、着いたのは夜中に差し掛かる時間だった。空を昼間よりも深く暗い闇が覆っている。

 宿にはその闇を丸く切り取るようにあちこちランプが灯されており、お陰でライティエットは魔法を使わなくても自分達のとった部屋にたどり着くことが出来た。


 あまり音を立てないようにと扉を開けて、先ず目に飛び込んで来たのは椅子に座ったメーディエ。

 彼女は椅子に座ったまま安らかな寝息をたてて眠っていた。


 何故ベッドで寝ていないのかと疑問に思ったが、周りを見て一つの予測が頭をよぎる。


「まさか・・・待っていたのか?」


 彼女の足元や椅子の空いたスペースにはいくつもの薬や包帯などの医療品類と保存の効く香辛料類の入った瓶と袋。そしてライティエット側のベッドサイドにある小さな机には軽食が2つ置かれている。どちらにも手は付けられておらず、保護魔法までかけられているから温かいままだ。

 買ってきた物を確認しながら帰りを待っていたのは明白と言えるだろう。


 ライティエットは音を立てないようにそっとメーディエを抱き上げた。警戒すべき状況なのに彼女が起きる気配はない。


 ライティエットは改めて思い出す。

 昨日とかわらない町の様子、ギルドマスターからの異変を感じなかったという情報。そして念の為にと設置して置いた結界がどれも発動していない状況。

 メーディエが何も問題を起こさなかったのは一目瞭然だ。

 まだこちらを油断させる為にわざと何も起こさなかったという可能性は捨てきれないが。それでも今回自分の留守中に何もなかった事は、彼女を信頼するにあたって考える材料になると言えるだろう。


 メーディエを見つめるライティエットの目がふっと柔らかく緩む。

 羽根のように軽い体、自分と同じ石鹸を使っている筈なのに甘く感じる香り。ベッドに寝かせる時に、少し、離しづらく感じたのはきっと気のせい。

 布団の柔らかさに包まれて更に眠りを深める眠り姫にライティエットはそっと顔を寄せる。




「ありがとう・・・メーディエ」



 聴こえるか聞こえないかの微妙な声量。耳栓をしているから、確実に届く筈のないライティエットの声。

 それでもその声と言葉にメーディエは微笑む。

 その笑みに後ろ髪を引かれながら、ライティエットも軽く装備を解いてベッドに向かった。


 連日の野宿と討伐依頼に疲れきっていた身体はベッドに横たわった瞬間、泥の沼に沈むように深い眠りへと落ちていく。



 ライティエットは気づかない。


 それが一人旅を始めてから一度も得ることの出来なかった、深く安らかな眠りだったということを。


 そして彼が、メーディエに優しい笑みで「おはよう」と「おかえり」を言われ安堵した事に驚き。

 更に起きたのが昼をとっくに過ぎた時間だという事に再び驚くことになるのは、


ほんの少しだけ、未来の話。




第二夜 END

第二夜はこれにて完結です。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。


これからもまだまだ続きますので最後までお付き合い頂けたら幸いです。

第三夜は少し時間を頂きまして、1ヶ月以内に更新出来たらと思っております。どうぞお楽しみに。


少しでも面白いと思っていただけたら↓から評価していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ